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第3話 被害甚大! 困窮するエティオピア王国!! 

 ようやく着いたエティオピア王国。


 アテナ神域のポイエイン国と違い、

この国の規模は小国でアテナ神域とポセイドン神域の交易の中継地点として、

アテナ神域との条約締結後から発展を始めたらしい。


 とはいえ、それもテイラーから聞いていた情報通り、

怪獣が暴れていて、別の交易中継地点を作ったほうがいいのでは?

という意見が商人たちから出始めるほど被害が深刻らしい。


 入り口で守衛のギルドカードチェックを終え、俺たちは一先ひとまず、

この王国にあるポセイドン神殿に行って、先約であるテティスとディーネと別れることになった。

神殿へいくのはポセイドンへの報告とアレス神域の奴隷商人対策だ。

 各神域内の神殿には必ず神殿騎士が常駐しているから彼等に海に入るまで護衛してもらうのだ。


 神殿までの道中で食品の露店をいくつか目にしたが、

どこも商品の質が悪く、数も少ない有様だった。

両足や片腕がない物乞いや体中を包帯で覆ったミイラのような

物乞いが道の端に結構な数固まっていた。

怪獣の被害の深刻さが分かる。


 入り口の守衛に教えられた道を順調にゴーレムの御者が馬車を進め、

通行人の好奇の視線を引き付けたが、無事に神殿に到着した。


 代表責任者ということで俺が行き、付き添いでリリィとソフィ、

テティスとディーネが馬車を降りた。他のメンバーには馬車の中で少しの間

待ってもらうことになった。テティスとディーネはクオルのことを気にしていたが、

クオル本人は待機する方を選んだ。


「シオンさん、ここまでありがとうございました。

これでようやく帰ることができます」


「ありがとうございました」


リリィとソフィに受付をお願いしていると、テティスとディーネが礼を述べてきた。


「クオルの件のついでだったから別に礼には及ばない」


「いえ、もしシオンさんがメデューサの涙で私たちの石化を解いてくださらなければ、

私たちは未だ石像のままでした。お礼として、召喚獣として契約を結びたいと思います」


「ちょっと、テティス、本気?」


「ええ、本気よ。だって、

ここまできちんと食事の面倒もみてくださって、無事送り届け、

礼を尽くしてくださった方に他神域の人族の冒険者だからという理由で、

礼を失するのはポセイドン様に仕えるものとして恥ずべきことだと私は思うの」


「うう、それを言われると……わかった。わたしもその契約を結ぶわよ」


「俺は別に無理強いはしないが?」


「ううん。自分で考え、決めたことだから大丈夫よ」


「同じ種族だから、個別で契約するより、2人1組で契約をしたほうが良さそうだな。

もしかしたら、早速、協力をお願いするかもしれないが、いいのか?」


「はい。私は問題ないですよ」


「わたしもオッケーよ」


「わかった」


テティスの申し出を受け、俺は召喚スキルの『契約』を使い、

ネレイデスの2人と召喚契約を結んだ。


 信仰する神ではない神の眷属といえども、召喚契約を結ぶのに問題はない。

問題となるのはその神と敵対したときにその眷属から助力を得ることができない。

 もし、その神と敵対して戦闘している際に召喚してしまうと、その眷属が従属している神から供給されている神力を止められて存在維持ができなくなって消滅することがある。


 神力の供給がなくても存在を維持する代替手段がないわけではないが、

手間と時間がかかる魔導具が必要であり、

往々にして供給が切られてから作り始めたのでは完成が間に合わずに消滅してしまう。


 故に、ネレイデスの彼女たちに配慮するならば、

ポセイドン関連の問題では前面に出さないのが賢明だろう。


「シオン様、こちらになります」


「言われた通り、ここの神官長様とお話しができるよう頼んできました」


丁度、契約が終わったタイミングで神官と話をつけたリリィとソフィが連れて来た神官の案内で神殿の一室へ進んだ。


 どうにかこの神殿の神官長と話をする場を設けることができたようだ。

怪獣のことに関して、神殿の対応を知っとく必要があると俺は判断したのだ。


 何も知らずに渦中にいつの間にかいたというケースが経験上多々あるうえ、

テティスたちとクオルに関わった時点で、なんかフラグ建ててしまった感が

ひしひしと感じるのだ。orz




「では、神託では生贄を出す指示はきていないと?」


「はい。大神殿からはおごれる人間をいさめるため怪獣を差し向けたという

連絡しか着ておりません」


「怪獣に滅ぼされろということでしょうか?」


「私のポセイドン様に仕えて御心を伝え、民を導く立場として言わせていただくなら、

それはないと思います。この国の王族が改めた姿勢を示すか、

冒険者の方が怪獣の討伐を……いえ、今のは聞かなかったことにしてください」


俺の問いに神官長は明確な否定を述べ、

リリィの意見もやんわりと現王家を批判しつつ、

私情ほんねを混ぜて語ってくれた。


やはり巻き込まれそうだな。勘弁してほしいものだな。


「マスター、その怪獣を召喚獣にするのはどうでしょうか?」


「実物を見ないとなんとも言えないが、被害を聞いたところ、確かに強いとは思うが、

強くても、言うことを聞かないなら召喚獣としては使えないぞ」


「そうですか、残念です」


「ソフィは俺と違って焦って多くの召喚獣と契約する必要はないさ。

今は契約している召喚獣たちを上手く使いこなすことに専念することを勧めするぞ」


「はい、分かりました!」


笑顔で応えたソフィの頭を撫でてやると彼女の尻尾が嬉しそうに振られていた。


 ソフィが言うように確かに俺も一度はその怪獣を召喚獣にと考えたのだが、

被害の爪跡を知ると、どうもいたずらに破壊している節から、

脳筋すぎて俺のいうことを聞かない可能性が否定できないのだ。


「では、冒険者ギルドには討伐の依頼は出ていないと?」


「申し訳ありませんが、答えられる立場ではありませんので、

直接冒険者ギルドへ行かれてお問い合わせ下さい」


リリィの質問には立場上答えられないから、直接尋ねて欲しいと言われた。

まぁ、崇め奉っている神がよこしたものを討てという依頼があることを

口にするのははばかられるよな。


「こちらのネレイドの方々に関しては承りました。

私が責任をもってお送りいたします」


「よろしくお願いします。では、俺たちはこれで。

テティス、ディーネでは、またな」


「テティス様、ディーネ様、短い間でしたが、ありがとうございました」


「お二人ともお元気で」


「こちらこそありがとうございました。他の方々にもよろしくお伝え下さい。

ソフィさんはもう少し成長されたら、私たちを召喚できるかもしれませんよ」


「ありがとうございました。わたしとテティスはシオンと契約したから、

また会える機会はそう遠くないかもしれないね」


「マスター?」


「シオン様、いつのまに?」


「……その件に関しては馬車に戻ったら説明させてください」


別れの挨拶を交わしたはずが、

なぜかリリィとソフィから冷たい視線を向けられ、俺は丁寧語で返答し、、

俺たちは神殿をあとにして、馬車に戻った。




 待たせていた面子と合流し、俺たちは馬車を預けられる宿を探そうとしたが、

如何せん土地勘がないので、冒険者ギルドに行くついでに聞こうかと思っていたら、

リリィとソフィが神殿の神官たちに聞き込みをして、いい宿の目星を付けてくれていたらしい。


 怪獣の影響で客の姿が全くない宿街を進み、目当ての宿屋「ニョルズル」に到着した。


「ようこそ宿屋”ニョルズル”へ

あたしはマリナ、この宿屋の料理人兼女将おかみを勤めさせていただいている。

お客さん、お泊りはどうされるんだい?」


リリィとソフィを伴って、店に入ると宿屋の女将の女性、マリナが俺たちに話しかけてきた。


「人数は7人。大きめの馬車が1台あるが預けられるか?」


「馬車置き場は怪獣の所為で、すっからかんだから問題ないよ。

部屋割りはどうする? 大部屋だったら一応、通常のベッド3つとキングサイズの部屋があるよ」


「2泊利用。大部屋で通常のベッド3つの部屋をさ「「2部屋でキングサイズ1部屋でお願いします。」」」


今日は旅の疲れをゆっくり癒して、明日大神殿への道程の詳しい情報収集に専念して、

明後日出発がいいだろうという判断の下2泊だ。


 しかし、途中でリリィとソフィの2人にハモられて被された。

……やはりそういう意図なのか?


 俺が懊悩しているのをなにやらニヤニヤ眺めながら女将が


「あいよ。大部屋で通常ベッド3つの部屋を2部屋、キングサイズを1部屋。

大部屋は1泊朝夜の2食の料金込みで、銅貨21枚(21カルコス)

馬車の駐車場代で1泊銅貨2枚(2カルコス)かかる。

合計で銀貨1枚(1アルゲントゥム)銅貨30枚(30カルコス)だよ」


と告げた。


「これで」


銀貨1枚(1アルゲントゥム)銅貨30枚(30カルコス)、丁度だね。」

俺はアイテムボックスから銀貨1枚と袋詰めした銅貨30枚を丁度取り出し、

マリナに渡した。


 『練者の腕輪』のアイテムボックスは財布がアイテムと別枠になっていて、

意外と知られていないが、枚数指定で取り出せる他、袋詰めすることも

選択できる優れものだ。


「それじゃ、先に部屋へ案内するよ。馬車は案内の人間を遣すよ」


「ソフィ、部屋の場所を教えてもらって鍵を受け取って下さい。

私は皆を呼んで、馬車を移動させます」


「了解です。リリィ姉さま」


「俺は冒険者ギルドに行ってきて構わないか?」


「できれば休んでいてもらいたいのですが……」


「今日は依頼を受けるつもりはないか「マスターの場合は厄介ごとの方から突撃してきます」……」


「……夕食前には必ずお戻り下さい」


「分かった。念のため『双子座の仮面(ジェミナス マスク)』を着けていくよ」


また被せられて俺の言が否定された。

ソフィよ、どうしてそんなに機嫌が悪い?


 マリナのあとについて行ったソフィを見送り、リリィに釘を刺されて、

俺は宿屋「ニョルズル」を出て、隠蔽と認識阻害効果をもつ『双子座の仮面(ジェミナス マスク)』を装備し、

エティオピア王国の冒険者ギルドへ向かう。


 今回の旅では国外ということで、『双子座の仮面(ジェミナス マスク)』はできるだけ着けないでいることにしている。


 その理由はアテナ神域ほどポセイドン神域ではイリアの顔が知られていないからだ。


 魔獣大戦テール・マキアで大英雄になった妹様だが、

他神域ではその美貌がかなり拡大解釈されて広まっているので、

ポセイドン神域での肖像画を見たが、誰だコレ? といったレベルであった。


 しかも、髪の毛の色が綺麗な白金髪プラチナブロンドではなく、

海の色に近い濃い青にアレンジされていた。


 これってどちらかというとテティスたち海の女神(ネレイデス)のイメージに近い、

というのが肖像画を見た俺の感想だ。

 いくつかイリアたちの土産として出来のいいのがあったので、

買って露店を離れた。



「怪獣ケートス。討伐報酬は金貨2枚(2アウルム)か……」


「ん? 旅の冒険者か? そいつは辞めといた方がいいぜ。

うぃ、その報酬は確かにいい額だが、割りに合わないぜ」


「どうしてだ?」


このギルドの常連らしい冒険者が話しかけてきた。

 一仕事終えた後らしく、ギルド併設の酒場で一杯飲んで少し酔っているようだ。

向かいの空席を勧められたので、座って飲み物を注文するため、

品書きを見る。


 お、ここには独自ブレンドのアイスコーヒーがあるのか。頼んでみよう。

そして、俺は改めて、このクエストが割に合わない理由を尋ねた。


「ランクAの連中18人3パーティーが挑んだが、返り討ちに遭って、

全員、ヤツの腹の中さ」


「Aランクなら相応に実力があったのでは?」


「足場が不安定な船の上か、岩場で待ち構えないといけないから、

こっちは不利なことこの上ない。船をひっくり返されたら終わりだし、

岩場ではむこうは海中からくるからどうしてもこっちが後手にまわる」


「なるほど」


「あんまり大きい声じゃ言えねえが、この国の今の王様も評判が悪いからな」


「そうなのか?」


「ああ、1例はダイダロスって有名な職人を呼びつけて、

いろいろ作らせたらしいが、駄目だしし続けたあげく、金払わずに追い出したんだよ」


「それはいくらなんでも酷いな」


依頼の話から、この国の国王へ話しが飛んだが、話を聞くにかなりの暴君のようだな。


あと、ダイダロスか……職人として会ってみたいな。


「ああ、腕が良くて、気のいいやつだったんだがな。

ここを追い出されたあとはクレタ王国に息子を連れて行ったって話だ」


クレタってもしかして、ギリシャ神話のミノタウロスで有名な

迷宮ラビリンスがあるところか?


「で、ここの王様、ケフェウス王の話に戻るが、

王后おうこうさらってきたダークエルフを据え、姫ができた途端、

愛人で囲っていたカシオペアを王妃にして、2人で我がまま三昧。

王后がカシオペア王妃に虐待されても放置して衰弱死させ、

姫のことは完全に放置だ」


「よくそれで国が成り立つな」


俺の感情は既に呆れを通り越していた。


「まぁ、周りが優秀なのが多いからな。なんせこの国は代々嫡男の世襲だからだ。

周りが優秀であれば国もなんとか回ろうというものだ」


王がいなくても国が回っているのが簡単に想像できる。

君臨すれども統治せずの悪いパターンか。


「よく暗殺とかされないな現国王」


「まぁ、護衛の王室近衛騎士(ロイヤルガード)たちもかなりの手練てだれたちだし、

本人の武力もまだ相当なものらしいからな。

亡き王后を攫ったときの追っ手のダークエルフどもを全滅させたらしい」


「今の王が寿命で死んだら、次の王って誰になるんだ?」


「血筋重視のこの国だと、

今すぐ崩御したら、唯一の子であるアンドロメダ王女が代理で王をして、

結婚後に子供ができたら子供を即位させて、摂政せっしょうとして治める流れだな。

前例があるし。カシオペア王妃が子を産めばどうなるかわからんが、

現状ではまずないな」


「ん? アンドロメダ王女って王后がダークエルフだから、

ダークエルフのハーフ?」


「そうなるな。かなりの美人て話しらしいが、

公式行事にはほとんど顔を出さないから、眉唾な話しだな

加えて、あの王城の近衛の連中は譜代の貴族で王族への忠誠心が

高い連中ばかりだ」


ううむ……男として興味はあるが、

近衛騎士が厄介すぎるから、関わるのは避けたほうが無難だろうな。


「まぁ、今回の怪獣騒動はカシオペア王妃が原因だから、

あのケフェウス王がこのままなにもしないで怪獣を放って置くとは思えない。

近々なにかやるだろ」


俺は礼を言って、情報料として、銅貨2枚(2カルコス)を話しをしてくれた冒険者に渡して、

冒険者ギルドを後にした。



御一読ありがとうございました。

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