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第1話  新装開店! 万屋(よろずや)蛇遣い座(オピュクス)へようこそ!!

投稿再開します。



 ティオ・ヤクタ達の起こした誘拐事件から、1週間。

準備は着々と進み、魔導人形(マジックドール)たちの教育も無事に終わり、

ようやく、店を新装開店させることができた。


 外装と内装の改築に加え、看板も新たに買い替え、

居住区画と風呂の増築、訓練場の改修なども追加して、

かなりの金額になったが、それもこの前のアテナ様からの錬金術勝負の報奨金と

メデューサ討伐で稼いだ報奨金、そのときに入手した素材の売却費の合計の8割5分で完済した。


 そして、お客の入りが予想以上に凄まじいことになった。

開店セールとして1人個数限定で通常の20%オフの価格販売と、


「お待たせ致しました。ご注文をどうぞ」


「ポーションとハイポーション、ハイポーションexを10個ずつ。あと万能薬を5個頼む」


「ポーション10個、ハイポーション10個、ハイポーションex10個、

万能薬5個ですね。ありがとうございます。

全部で通常、銀貨5枚(5アルゲントゥム)銅貨35枚(35カルコス)新装開店セールの20%引きにより

合計銀貨4枚(4アルゲントゥム)銅貨28枚(28カルコス)になります」


「これで頼む」


銀貨5枚(5アルゲントゥム)お預かり致します。

銅貨72枚(72カルコス)のお返しになります。

こちらが商品になります……ありがとうございました。またお越しくださいませ」


笑顔でお客を送り出す黒を基調にしたロングスカートのメイド服に身を包んだ

水色の長い髪を後ろで束ねた青い瞳をもつ美女と2体の俺が作った魔導人形マジックドールの成果だ。


 水色の髪をもつ彼女の名前はリーダ。前髪で隠しているが、

額には高純度の水精霊ウンディーネを宿した魔石がある俺が作った魔導人形マジックドールだ。


 その両隣では同じ黒を基調にしているが、

膝上までのスカート丈のメイド服を着ているショートカットの茶髪に黄色い瞳の2人のメイド少女。


「……ありがとうございました。またお越しくださいませなの」


「……ありがとうございましたぁ。またお越しくださいませぇ」


語尾に「の」が点いている方がエニフ、若干言葉尻がのびているのがシェアトだ。

2人も俺が作った魔導人形でリーダと同じく前髪で魔石を隠している。

その2人の魔石には女性の土精霊ノーミード(ノームの女性)を宿している。

 口調は違うが性格は一緒でのんびり穏やかだが、

仕事はきっちりこなしてくれている。


 3人。正確には3体、ほぼ人と変わらない外見と能力を持っているので、

俺たちは人として扱っている。3人の身体は身内の女性達を参考にしている。

 皆スタイルがいいから男性客の視線の先がどこに向かっているか分かりやすい。

少し複雑なきぶんだが、3人とも服の上からでもわかるからなぁ……。


 店員の魔導人形たちの物珍しさが新装開店と上手く噛み合ったようで

初日の売り上げは目標額に余裕で到達した。


 工房の生産スペースでは助手ゴーレムたちが頑張って商品を生産してくれている。

素材に関してはまだまだ余裕があるのでまだまだ作れるのだが、

生産職組合ギルドで決められている1日の販売上限数までしか、

売れないのでもう少ししたら、売り切れになる商品が出てくる。


「ハイポーション、ハイポーションex完売しました。

大変申し訳ありませんが、両商品をお求めのお客様で明日お受け取りに来られるお客様はご予約をお願いします。

なお、ご予約の際には商品価格の10%を前払いいただきますので、

ご了承ください」


リーダのハイポーションと”上手”にできたハイポーションの完売告知の声が

店内に響くのに合せて品書き表示に使われている俺が作った魔導具の

掲示板から両商品の価格表示が品切れに変わった。


 製造コストがかかるからおそらく作る職人がいないのだろうこの品書きに使っている掲示板も他の店には置いてないので、表示の変化にお客からざわめきが聞こえた。


 予約販売に関しては生産職ギルドに新装開店のための申請に行った際に

いろいろ確認したが、規定がなかったため、

当日の販売上限とは別枠で売ってよしというお達しがきたので

遠慮なくやっている。

 他の店ではまだどこもやっていないサービスのようでこちらも大好評だ。


 新装開店前は会計のカウンターは1つだけだったが、3つに増設して、

待機列を1本にし、フォーク形式で客列を管理している。

 もちろん、陳列している商品棚を見るのに邪魔にならないように列を誘導している。”むこう”でのバイト経験を存分に活用していることだ。


 更に俺は会員証も作った。会員証は冒険者ギルドカードをパク…参考にしている。

 冒険者ギルドにギルドカードをもとに会員証を作る許可をとりに行ったら、

対応した職員が鼻で笑って、できるものならやってみろと言ったので、

全力でやった。反省はしていない。


 ゲームのときのZFOもそうだったが、この世界の生産職に材料があって造れないものはあんまりない。


 カードの機能は内蔵している魔石に顧客データを蓄え、

それを店内バックヤードのデータ管理用の魔石に送信している。


 規定している金額以上に買い物をするとランクアップとともに

取り付けている魔石の色が変わり、特典を進呈している。

 特典の内容は設定されている金額分の買い物権、

もしくはランク毎に設定している魔導具だ。


 認証機能付なので本人になりすましての買い物はできないようにしている。

魔石を複製しようとするのもアウト。魔石に自壊術式を打ち込んでいるので、

俺の店(オピュクス)の専用端末か俺か俺の仲間以外が鑑定スキルと使うと、

1回目は警告と共に鑑定スキルを無効化し、2回目には魔石が自壊する。


 商品予約の際もコレを提示するだけでいいようにしたので客列の流れの円滑化に1役かっている。

 しかも、何を注文し、いくら支払わなければならないか、

取り置き期間はいつまでかを表示する親切設計だ。


 店の入り口に特設した会員証作成受付にも長蛇の列ができ、

受付はメイド服を着たリリィ、ソフィ、サラにお願いし、

クリュサオルには執事服を着せて、客列整理を頼んだ。


 保護した当初は6歳児にふさわしい身長だったが、今では急成長して、およそ13歳の男子位の身長になっている。

アテナ様に聴いたが、神だから身長に関しては心の成長とともに力に合せて自由に変えられるらしい……そして、


「こちらが最後尾になります。会員証の作成はお済ですか? 

お時間に余裕があり、まだでしたら、こちらに並ばれる前にあちらに並ばれて作成されるのをお奨めします。

会計でも受け付けておりますが、円滑な会計処理のため、

ご協力をお願いします」


リリィと同じ金髪碧眼で長い髪をポニーテールにしているエルフの少女が

エニフたちと同じミニスカートタイプのメイド服に身を包み、

最後尾を示すプラカードを持って、

お客へ案内をしている。


 彼女はリリィの実の妹で、名前はローラ。

一族の掟で世界を回っている途中で、姉のリリィに会いに行くため、

アテナ神域を移動中にティオの仲間のアレス神域所属の冒険者、

ギェナーに不意を撃たれて、近くにいたネレイデスと一緒に捕まったらしい。


 ティオにはリリィに似ているということで

薄気味悪い視線を向けられていたらしいが、

俺たちがネレイデスの捜索に動きだし、

アレス神域の冒険者の隠れ家探しに全力を傾けたため、

店を引き払うしかなくなって、なにもされずにすんだらしい。


 ローラはアルテミス神域の大神殿の神子候補の1人だったそうだが、

他の候補者に決まったため、世界を巡る旅に出ていたらしい。

 アルテミスの神子候補だけあって、

弓が得意で同じ弓使いであるサラと仲がよい。


 リリィと同じくとても女性らしい体つきをしているのと、

エルフの神秘的な美貌をもっているので、

異性の目はもちろん、同性の目も惹き付けている。


 俺を姉であるリリィの伴侶として認めて、

義兄として慕ってくれているようだが、

時折、視線にリリィたちから向けられるものと同種のものを感じる。

気のせいか?


 その俺の今はというと、

ひたすら会員証のベースとなるカードを作り続けていた。

こちらも予想外の反響で、3,000枚位は明日以降のことも考えて

用意していたのに足りなくなったのだ。

……これの作成もゴーレムに任せないといけないと気付くのが遅かった。


 ヘンリーにはビラまきを頼んだのだが、何故かひつじの着ぐるみで

カリュクス中を走り回った。

途中で起きた暴力事件もその恰好で鎮圧に協力して、

ちゃかりその場にいた人たちにもビラを配って回っていたのを

初日の開店記念パーティに呼んだテイラーから聞いた。


 もとの世界に戻れないことがわかったので、俺は足元を固めることにも注力している。

 男として、リリィたちも養わないといけないと思っているのだ。

特に銀狼3姉弟妹(きょうだい)とクリュサオルの食べる量が多いから、

それに触発されて、みなしっかり食べるからエンゲル係数が右肩上がりだ。


 全品完売……とまでは流石にいかなかったが、

ポーション系はHP・MP用ともに完売。状態異常回復薬もあらかた完売し、

補助アイテムも完売。上位のポーション系には予約が殺到し、

今は生産スペースでゴーレムが黙々と予約商品を作成している。


 俺が作ったゴーレムに覚えさせた能力は俺の能力の写しなので、

商品の効能などに問題はでない。

 ゴーレムの素材も厳選して、”上手にできる”組み合わせで作っている。

 寧ろ、俺が作るより量をこなせている状況だ。


 営業時間終了1時間前の17時の時点でクリュサオルに

最後尾に人が来ても並ばせないように指示をし、

会員証作成受付もきりのいい所で列が終わったので、たたんだ。

 営業時間を30分ほど延長してようやく最後のお客さんが店をでた。




万屋よろずや蛇遣い座(オピュクス)の新装開店を祝って、乾杯!」


ひつじの着ぐるみを着たままのヘンリーに乾杯の音頭を丸投げし、

新装開店祝いのパーティを居住スペースの食堂でした。


 初日の閉店後なのは招待したテイラーの都合を優先したからだ。


「これでようやく、回復アイテムの供給が安定する。

あの犯 罪 者(ティオ・ヤクタ)の所為で荒らされた市場も回復傾向に向かっている。

しかし、いいのか? 一部とはいえ、レシピを公開して?」


テイラーが酒を片手に俺に寄って尋ねてきた。


「別に問題ないさ。レシピが分かっても相応の技術と装備、能力がないと、

上手くはいかないからな。それよりも、『会合』のほうはどうだったテイラー?」


「ああ、うちの頭のケレシスは相変わらず飛ばしていて、

セーメンのメリッサはお前が出したメデューサの血の成分の研究の引継ぎに物凄い勢いで喰いついてきた。

 まぁ、俺たちはいつも通りだったぞ。サンク王国のイリア嬢ちゃんは

お前が戻ってきたからか少し心に余裕ができたみたいだった。

でだ、一番大変だったのがゲオルギアのジョージだ」


俺がテイラーに今朝まであったアテナ様を招待し、

ポエイン3都市長とサンク王国とゲオルギア国の首脳会議のことを尋ねると、

テイラーは苦笑いとともに答えてくれた。


「アレスの連中との関係を疑われて厳しい追及されるのにおびえていて、

アテナ様の取り成しがなければ完全にあれはノイローゼとかで病んでたな。

賠償的なものは一応管理責任とかを問えるレベルじゃなかったんだが、

自主的に今度のうちへの食料供給量を3割増しにしてくれることになった」


「ゲオルギアは白だよな?」


「ああ、あのジョージは気が弱いのが短所だが、

曲がったことが大嫌いだからな。

血の気の多い連中はほとんどうちかサンク王国に流れているから、

ゲオルギアは牧歌的なところで観光にもいいところだよ。

市長を引退したらあんなところでスローライフで余生を過ごしたいぜ」


俺はゲオルギアとアレス神域の繋がりを確認したが、

テイラーは繋がりを強い口調で否定した。


「それよりも、そろそろポセイドン神域の大神殿に行くんだろ? 

気をつけろよ。あそこは今きな臭い話が結構あるようだから」


「? どんな話しがある?」


「クレタ国のミノス王は牛の化け物の息子を閉じ込めるために

でっかい迷宮を職人親子に造らせて、

その親子ともども化け物の息子をその迷宮に閉じ込めたとさ。

 さらに国中から化け物の生贄に子供男女9人ずつを

1月毎に迷宮に放り込んでいるらしい。

他には山賊やら盗賊やらが跋扈ばっこしている情報が入っている」


テイラーは手に持った酒をあおって、苦い顔をした。

他の神域のこととはいえ、ミノス王の国民を犠牲にしている行為が

許せないのだろう。


「他にもエティオピアの王妃が自分の美しさを海の女神たちよりも

優れているとか言った所為でポセイドンが怒って怪獣をけしかけて、

海沿いは怪獣の被害で大変らしい。通り道なんだろ? エティオピア?

通るときは気をつけろよ」


そう言って、テイラーは談笑している家族の下に歩いていった。


 俺はテイラーの話を聞いて、道中、面倒なことに巻き込まれなければいいなと願わざるを得なかった。


御一読ありがとうございました。


今日と明日は少しずつ書き溜めていた分あと3話分あるので

時間を置いて1日につき2話投稿します。


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