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Zodiac Frontier Online(ゾディアックフロンティア・オンライン)  作者: 剣伎 竜星
第2章 ポイエイン国の狂気の錬金術師(マッドアルケミスト)
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第16話 大破壊神を召喚するだけの簡単なお仕事?

ブックマーク登録ありがとうございます。

「……ふむ、恙無つつがなく、討伐は完了したよう

……何やら面白いことになっておるな?」


「……勘弁かんべんしてくださいよ。

正直、困っているんですから」


 俺はメデューサ起源種(オリジナル)を倒した後に

イリアたちと合流した。


 俺たちはメデューサの支配していた、

この神殿に溜まっていた瘴気を

神聖魔術やスキルをつかって浄化した。

理由は魔物の出現と死体の不死生物アンデッド化を防ぎ、

アテナ様をオリヴィアに降ろすためだ。


 廃神殿の祭壇は問題なく使用でき、

オリヴィアにアテナ様が憑依(ひょうい)し、

冒頭の会話になった訳である。


 ちなみに俺の足元には目を覚ました

6歳位の男の子が俺の腰ほどの高さで、

ローブの内側に入り、俺の左脚にしがみついている。


 もう片方の右脚の後ろからは白い子馬が顔を出し、

恐る恐るオリヴィア、アテナ様の様子を伺っている。

その背中には立派な白い羽が付いている。


 この1人と1頭はメデューサ起源種(オリジナル)の胴体から、

飛び出てきたものたちだ。名前はクリュサオルとペガサスだ。

看破リードで確認した。


「……なるほど。それでシオンはこの者たちを

どうするつもりなのだ?」


「ペガサスは契約を済ませてしまったので、

俺の召喚獣として、面倒をみますが、

クリュサオルの方は決まってません。

ポセイドン様に返したほうがいいのかもしれませんが……」


「ポセイドン叔父上は放任主義だからのぅ、会わせたところで、

放置だろうな。叔父上の息子で力におぼれぬ者がいたであろうか?」


「兄さんたちが預かって教育したほうがいいですね」


ペガサスはクリュサオルと違い、

体の大半が魔力でできている魔力体だったのだが、

自身の魔力が足りず、存在崩壊を起こし始めていた。


 緊急手段として俺が契約して魔力を供給し、

事なきを得て、俺はなぜかペガサスに懐かれてしまった。


 クリュサオルも人見知りしているのかイリアたちを警戒している。

こちらはメデューサが魔物化する前の特徴を受け継ぎ、種族は神だ。


 俺の知る限り、ポセイドンの子供達の大半が粗暴で好色。

あの戦闘神であるアレスの娘に暴行するのがいる位だからなぁ……。


 クリュサオルの今の力を考えると、イリアの言うとおり、

俺たちで教育して真っ当な人格を形成したほうがいいのは確かだ。


「なんだったらこちらで話をつけるが?」


「いえ、御心遣いありがたいのですが、

この件はポセイドン様に直接一度、

クリュサオルを会わせてから

話をつけた方がいいと思います。

 流石にオリュンポスにクリュサオルを

連れて行くわけにはいかないので、

ポセイドン神域の大神殿での対面になりますが」


「そうか、そのほうがいいかもしれんな。

さて、ここから出るとしよう。このあとは……分かっておるな?」


「もちろんですよ」


アテナ様の申し出を謝辞し、

この廃神殿の破壊に念を押す言葉に

俺は苦笑いを返し、俺たちはガーヴィンの待つ本陣へ、

犠牲者の石像たちを俺とイリアのアイテムボックスに収めつつ、

向かった。




「おお、戻った……アテナ様!?」


戻った俺たちをガーヴィンたち第1陣と

合流した本陣とティオのパーティー、

石像と化した男の仲間が待っていたが、

アテナ様の放つ神力(デュナミス)に気付き、

俺たちを除き、皆、かしこまった姿勢をとった。


「皆、大義である。よく戦ってくれた。礼を言う。

ここにいるシオンたちがこのメデューサの首を取った」


俺は首袋キビシスに入った

メデューサの首をアテナ様に渡した。


そこに異議を挟むものがいた。


「恐れながら申し上げます。

果たしてそこにいる者たちの力で

その首をあげたのでしょうか?」


「私の言葉に偽りがあると?」


「いえ、アテナ様の神子オリヴィア様のお力で、

そのメデューサを討伐したと愚考します。

 故に、私は此度の功労は

その者たちの手柄ではないと申し上げます」


ティオが見てもいないのに

メデューサを倒したのは俺たちではなく、

オリヴィアだと主張した。


 ガーヴィンを除いた他の参加者も口では言わないが、

俺たちがメデューサを討伐したことには半信半疑の様子だった。


「ではお前たちはこの者たちと試合しあってその実力を示すか?」


「! いえ、ランクは私たちが上ですが、

先の戦いで私たちの仲間が1人犠牲になっておりますので、

模擬戦での証左しょうさはできません。

 私は錬金術師なので錬金術での勝負を挑みたいと思います」


論理性を欠くばかりか、主旨を捻じ曲げて、

錬金術の勝負を仕掛けてきたか。


「ふむ、私は先のメデューサ討伐に関する言を撤回するつもりはない。

あの場にいたのはこの者たちだけで、お主はいなかったからな。

 だが、錬金術での勝負は面白そうだ。

 シオンよ。『メデューサ血起源種(オリジナル)』を1瓶出せ」


ティオの錬金術勝負に興味を抱いたアテナ様は

俺に『メデューサ血起源種(オリジナル)』を出すよう命じ、

俺はそれに従った。


「シオン・スレイヤ・ヴァイザードとティオ・ヤクタ、両名に

この『メデューサ血』から薬を作ることを命じる。

期日は1月とし、完成したものを大神殿に提出せよ」


「「受け賜りました」」


俺は内心でため息を吐き、表に出さなかったが、

ティオの方はしてやったりといった笑みを浮かべていた。


 アテナ様に言われたら余程のもとでないと

拒否できないからなぁ。


「ガーヴィンよ、冒険者たちの魔物の素材回収は終わっているか?」


「はい、既に」


「ではここで解散とし、討伐部位の提出は個別でさせよ」


「なにかなさるのですか?」


「ああ、シオンたちに頼んだ仕事があってな。

それから、今、シオンたちが並べている石像の関係者が

いるのならば残る用に伝えよ」


「畏まりました」


俺とイリアはアイテムボックスから石像を出した。


 全部で3体。内2体は女性で、

もう1体は回復アイテムの効果を確かめて犠牲になった男性だ。

 ちなみに、女性の石像はイリアが回収していた。


「……アルフォンスさん」


男性の石像を見て、涙を浮かべている年齢的に、

ヘンリーと同じ位の魔術師が立っていた。


「あの。俺はオーウェンと言います」


「彼の関係者か?」


「はい、あと2人いたと思うんですが、どうなったんですか?」


「この場にいないということは分かると思うが……」


「はい。でも、それでも教えてください」


「……あとの2人はメデューサに食われたよ」


「……そうですか」


年若い魔術師オーウェンは肩を落としたので、

俺はかねてから試そうと思っていた、

『メデューサ起源種(オリジナル)の涙』を

アルフォンスと呼ばれた男の石像にかけた。


数秒後、石像の表面がひび割れて、

無傷の男が立っていた。


「ん? 俺はなにをしていた??」


「アルフォンスさん!?」


いきなり本陣にいて事情が飲み込めないアルフォンスと

アルフォンスの復活に喜ぶオーウェンに俺は

どうして石化が解けたか説明した。


「そうか、助かった」


「ありがとうございます」


「礼はいらない。こっちは慈善でやった訳ではないんだ。

元に戻るのは半々だと思ってやったことだからな。

元に戻らなかったら、他の方法見つけて、

誰かが解呪しない限り、一生、石化したまま

だったとだろうが」


「……感謝する!!」


俺の言葉に深く頭を下げてくるアルフォンス。


 俺たちはお互いのギルドカードに情報を写し合い、

有事の際に協力しあうことで合意して、

俺は亡くなった2人の遺品を渡して、別れた。


「この2人はギルドに任せるしかないですね。兄さん」


「そうだな」


 結局、2人の女性に関しては関係者がいなかったようで、

誰もこなかった。仕方がないので、俺が石像を引き取り、

ギルドに相談することになった。


 『メデューサ起源種(オリジナル)の涙』は

あと37回分ある。


「では、俺たちは行くが、後のことは任せたぞ」


「ああ」


俺がそう手短に応えると、

ガーヴィンは近寄ってきて、小声で話してきた。


「お前が連れているガキと白い羽の生えた子馬に関しては

深く突っ込まないほうがいいよな?」


「ああ、親が誰かなんて聞いたらもっと頭が痛くなるぞ。

俺なんかもう胃が痛くて……」


「そうか、石像に関してはこちらでどうするか検討しておく。

首は改めて受付に提出してくれ」


「分かった」


そうして、俺たちの使っている馬車を残し、

ガーヴィン達はカリュクス目指して出発した。




「さて、もう1つの依頼であった

神殿の破壊に関してですが、

いくつか確認したいことがあるのですが、

よろしいですか? アテナ様?」


「なんだ?」


「破壊した後の土地にまた神殿を建てられるのですか?」


「そうだな……景色が良かったから気に入っていたのだが、

今のところそのつもりはない」


「では、この土地はすぐに使える状態のほうがいいですか?」


「ん? なぜだ?」


「文字通り、焼滅しょうめつさせると、

人が近寄れるようになるまで、数十年単位の時が必要になります」


「それは困るな。他の方法は?」


「建物とこの辺りの土地を少し失う方法があります」


「その方法ならば近寄ることは可能なのだな?」


「はい。ただし、あの山もなくなります」


「分かった。その方法で頼む」


俺はアテナ様に確認をとってから、

目当ての召喚獣を呼び出そうとしたが、

少しだけMPが足りないのに気付き、

アイテムボックスからハイマナポーションを

取り出して飲んだ。MPが全快したのを確認する。


 アテナ様の要望に応えられる召喚獣は超大物だから、

その分消費も半端ないのだ。


そして、俺はリリィ、ソフィ、ヘンリー、サラに向かって、


「これから、制御の難しい召喚獣を召喚する。

リリィはテントに入って、クリュサオルとペガサスの面倒を頼む。

ソフィは後学こうがくのため、コレを着けてついて来てくれ。

ヘンリーとサラはリリィたちと待機だ」


俺はソフィに精神防護のサークレットを渡して告げた。


 今回召喚するのは精神抵抗に失敗すると、

発狂してしまう危険があり、

産地直葬(さんちちょくそう)されてしまうのだ。


 クリュサオルたちは今回は留守番。

 クリュサオルは面倒見のよいイリアとリリィ、

ソフィの3人にも 気を許し始めている。いい傾向だ。

 このままヘンリー達とも接するようになってくれれば助かる。


 最早、身内だけなので、俺とイリアは双子座の仮面(ジェミナス マスク)を外して、

ソフィに渡したのと同じサークレットを装備している。


 イリアに至っては何度か一緒に召喚に立ち会っているので、

既に慣れた様子でサークレットを受け取ってくれた。


 念のため、アテナ様にも渡したら、

遠慮なく装備してくださった。

もしもがあったら怖いから助かる。


 俺は魔導道具マジックアイテムの魔導書『アル・アジフ』を取り出した。


[ヒサシブリダナ、ゴシュジン。イツモノヤツカ?]


[ああ、また頼むよ。アル]


[コンカイハ、イチゲンサンガフタリカ。

マァ、ステータスヲミルカギリ、ギリギリダガ、

ダイジョウブダロウネ]


魔導書『アル・アジフ』は知 的 魔 導 書インテリジェンスマジックブックと言われる

意思をもつ魔導道具だ。


 契約者とのみ念話が可能だが、

下手に話に付き合いすぎると、

どんどんMPを吸い取られてしまう。


 語りかけてくる声は美少女の声で、

いつまでも聞いていたいと思わせてくるが、

それは魔導書『アル・アジフ』の罠だ。


 持ち主のMPが0になると、

魔導書『アル・アジフ』は持ち主の手を離れ、

新たな持ち主を求め彷徨さまよう。

残されるのは発狂した元持ち主のみ。


 非常にリスクの高い道具だが、

俺がこれから行う召喚には必須アイテムで、

保有能力も優秀なので、

非常に重要な局面でしか使っていない。


 俺は魔導書『アル・アジフ』の能力『並列詠唱』で、

黒魔術の『暗黒結界』で神殿のある地域、

これから破壊する空間を隔離した。そして、


俺は通常の召喚陣の他に『アルカナの盟約陣』、

【セフィロトの召喚陣】、【ルーンの誓約陣】、

全てのスキルを総動員して、


「出でよ! アザトース!!」


俺は暗黒結界内に大破壊の神を召喚した。


 暗黒結果以内に数m位の沸騰する塊が出現し、

数十秒経たないうちに結界内に沸騰する塊は溢れ、

そこにあった廃神殿たちを呑み込んだ。


「ヒッ!!」


「ほう、これは凄いな」


「相変わらずの破壊力ですね」


ソフィは驚きと恐怖の声をあげ、

アテナ様はその様子に感嘆していた。

イリアもアザトースの相変わらずの

破壊力に感心していた。


 MPの消費が激しく、どんどん減り、

俺の残りMPが2割をきったので、

アザトースを送還し、魔導書『アル・アジフ』を

しまうため、閉じた。


[オツカレサマ、ゴシュジン。ゴチソウサマデシタ]


そう言って魔導書『アル・アジフ』は

大人しくアイテムボックスの中に入っていった。


 あとには廃神殿とそれが建っていた山の痕跡すらなく、

一面には抉られて、向こう側に海が見える大地が広がっていた。


御一読ありがとうございました。


召喚したのにどんどんMPが減るのは

対象がMPを媒介に受肉しているためで、

暗黒結界内に満杯になってもなお、

結界を圧して受肉して実体化しようと

しているからです。


次話の進捗は活動報告をご確認ください。


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