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Zodiac Frontier Online(ゾディアックフロンティア・オンライン)  作者: 剣伎 竜星
第2章 ポイエイン国の狂気の錬金術師(マッドアルケミスト)
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第13話 作戦変更?

※途中に残酷描写に相当すると思われる表現がありますので、

ご注意ください。

総勢40+2名の対メデューサ戦は、

チーム蛇遣い座(オピュクス)への襲撃を行った12名の

冒険者たちの死亡を除けば、損害は少なかった。


 現戦力の内訳は市街の制圧に残っている第1陣1チーム5名。

メデューサ討伐に進んでいる第2陣2チーム10名、

第2陣の増援に行っている俺たち第3陣1チーム6名。

本陣に負傷者含め8名がいる。1人死亡している。


 俺たちを襲撃してきた連中はいずれも各陣に

1チーム4名ずついた連中だった。

 襲撃を返り討ちにしたあと、俺はガーヴィンにつけていた

シルフを通じて、ことの次第を報告した。

 ガーヴィンは奴等がアレス神域の者と知ってて使わざるを

得なかったことをこちらに詫び、不問にしてくれた。




 先に行かせていたリリィたちと俺、イリアは神殿の入り口で合流した。

 シルフたちの偵察で得た情報によると、

この神殿の造りは単純で中央に大黒柱ともいうべき大きな柱があり、

それを中心に十字路が東西南北を通り、北側、奥に祭壇がある。

 北西、北東、南東、南西のエリアには柱が点在している。


 神殿のなかは暗く、東側からわずかに陽の光が入ってきているが、

ほとんど意味をなしていないのが分かる。

 第2陣の斥候役が苦労して柱に置いたであろう、

松明がぼうぼうと燃えて視界をなんとか確保している。


 俺はスキル『千里眼』を持っているサラに

戦っているメデューサの髪の蛇が

松明のある方向を向いているか確認させた。

答えは否だった。


 神殿の中では第2陣とメデューサ1匹の戦闘が続いている。

メデューサは2mの高さで蛇のような下半身で

地を這う蛇のようにゆっくりとした動きで移動していた。

 高さは人とさほどかわらないみたいだが、

全長を見る限り、完全に大型蛇と同じ10m位の長さがある。


 第2陣のPTパーティー連中は遠距離で削り潰すべく、

協力して氷系魔術の『氷結槍アイシクルランス』の連射で弾幕を

作っている。


 時折、松明に照らされてメデューサに石化された犠牲者の石像が目に入った。


「そうか、第2陣のメンバーが応援はいらないと?」

「はい。おそらくは手柄と分け前が減るからだと」

「困ったものですね」

「出番まで、休んで、待つ」

「それしかないな」


リリィの報告を聞き、

呆れたソフィと休めるときは休もうという

オリヴィアの意見に皆同意した。


 俺たちは結界を張り、アイテムボックスから簡易デスクと

人数分のデスクチェアを出した。

 そして、リリィとソフィが作った美味いサンドイッチと軽食を食べ、

リリィの淹れてくれた紅茶を存分に味わって英気を養った。


 俺たちが食べ終わってくつろいでからしばらく経ってから、

大きなものが倒れる音が神殿内から響き、

遅れて歓声があがった。どうやら倒したようだ。

俺たちはすぐに片付け、道具を全てしまい。臨戦態勢に入った


 ティオのPTパーティーメンバーのデズモンドが

祭壇前の道に倒れたメデューサに注意深く柱の影に隠れながら、

近寄っていく姿が、松明に照らされた。


 デズモンドはメデューサの死角になる位置の柱の後ろから、

来る途中に拾った近くに転がっていた砕けた柱の欠片を、

メデューサの体に投げ、反応がないのを確認して、

ため息を吐いた。


「みんな、やった、やったぞ!!」

「ッ!? 退け! デズモンド!!」

「へ?」

「シャアアアアアッ」


動かないメデューサの死体に安堵して声をあげたデズモンドに

いち早く引きずる音がまだ聞こえる異変に気付いたティオは

大声で退く様に叫んだが、

デズモンドは間の抜けた声を返しただけだった。


 デズモンドの目の前には舌を出して威嚇いかくする蛇の髪をもつ、

先程とは異なる魔物の双眸そうぼうが爛々(らんらん)と輝いて、

デズモンドの姿を映していたからだ。


 直後、メデューサの胴から下の蛇の尾(・・・・・・・・)が勢いよくぎ払われ、

石が砕ける音が聞こえた。


 その音を聞いた瞬間、俺は致命的なある事に気付き、

頬を冷や汗が伝った。


「どうかされましたか? シオン様?」


俺の変化にいち早く気がついたリリィが心配そうに俺の顔を

見つめてきた。イリアたちも気付いたようで心配そうにこっちを

見ている。


「今きづいたんだが、石化は適切な回復薬の投与で治せるが、

石化後破壊されたらどうなる?」

「ッ! 兄さん、それは!?]


俺の懸念に気がついたイリアもその答えの意味を知り、

焦りを浮かべた。


 ゲームのときのZFOであれば

石化しても石化した人物は魔物に

攻撃対象と看做みなされない。

壊せない物とされているからだ。

プレイヤーも石化した魔物は死亡扱いで

攻撃対象にはならないし、攻撃できない。


 しかし、これはゲームではなく、現実だ。

石化の呪いで石像になったものは石像で、

石像は石が砕ける力で殴れば砕ける。


 当然のことだが、ゲームのときの感覚が残っていたからか

意識外の見落としだった。


 俺は早急に作戦の再考をした。先程見付かった穴を埋め、

確実にあのメデューサの起源種(オリジナル)を倒す策を俺は考え始めた。


 サラに再びメデューサの蛇の様子を見てもらった。

今度は松明に反応しているらしい。また1つハードルが上がったが、

これは想定内だ。


「「「「うおおおおおおおおおおおおッ!!」」」」


不意に気勢をあげ、4人組の水鏡の盾を構えた冒険者が

直列に並び、メデューサに突撃していくのが見えた。

 彼等はティオとは違うPTパーティーだ。


 先頭の男が徐々に足先から石化していっているのが

ここからでも見える。


「いくぞ!」

「「「応」」」」


先頭の男の合図で後ろの3人は一旦足を止め、

距離を開けてから、再び走り出した。


 先頭の男は剣を床に刺して盾を掛け、メデューサの視線を避ける

と金の針と万能薬を取り出して使用しているのが見えた。

 しかし、いづれも効果はなかった。


「金の針、万能薬効果なし!」

「「「応!!」」」


先頭の男は石化におびえる様子もなく、

毅然きぜんと告げるのを最期に石化した。


 その声を確認すると最後尾を走っていた4人のなかで、

最年少の魔術師の男が唇を噛み締め、

目尻に涙を浮かべて逆走を開始し、

神殿の外へ駆けていった。


 おそらく、ガーヴィンの元の伝令として走っていたのだろう。


 残された2人は石化した男の石像を左右に分かれて避けて、

盾を前に構えたままメデューサを挟み撃ちにする。


 しかし、前を走っていた男は尾に潰され圧死し、

後ろを走っていた男は怪力の両腕で首を絞められて死んでしまった。


 メデューサは2人の死体を骨ごと噛み砕いて飲み込み、

髪の毛の蛇たちも一緒になってその肉をみ、

五体を裂いて、鎧を剥ぎ取り、

最終的に2人の存在の痕跡は、辺りに散った血痕と

彼等が身に着けていた装備だけとなった。


「ティオ、こりゃやばいぜ」

「ええ、分かっています。ここは退きましょう」

「そうだな」

「命あってのものだね」

「全くだ。デズモンドは軽率すぎたな」


3人の死闘を見ていたティオたちのPTパーティー

退散することで合意し、ゆるみきった足取りで出てきた。


 俺の視界にゆっくりとズルズルと蛇の胴体を擦りながら、

盾を剣に掛けた男の石像に近寄るメデューサの姿が入った。


「ヘンリー! 武器は置いてメデューサが近寄っている石像を

回収しろ。ジグザグに走って、捕らえられるな!!」

「応! 任せろ兄貴!!」


 悠然ゆうぜんと石像の前に到達したメデューサは

その体に持つ蛇の尾で石像を叩き砕こうとしていた。


「悪いが邪魔をさせてもらう!」


俺は遠距離召喚でホーリーナイトを呼び出し、

メデューサの攻撃から石像を完全に守りきらせた。


「よっと、逃げるが勝ちだ!」


その攻防の間に石像を担いだヘンリーは一目散に駆け出し、

俺の目の前に戻ってきた。

 ヘンリーが逃走を開始した時点でホーリーナイトは送還した。



「無駄なことを……」


俺たちの行動を見て、さげすむように

俺に向かってティオはつぶやいた。

 俺は肩をすくめ、これ見よがしなため息をついてやった。

俺を一瞥いちべつすると、やつはリリィの手を取ろうとし、


「リリィさん、ここは危険です。私と一緒に参りましょう」


と寝言を言い出した。

手は瞬時に手袋をはめたリリィにはたき落とされ、


「世迷言は結構です。私はここに残りますので本陣にお戻り下さい」


完全に拒絶されていた。


 ヤツは一瞬何が起きたか分からないといった顔をし、

拒否されたのをようやく理解したのか、

一瞬怒りの表情を見せたが、すぐにそれを引っ込め、

仲間と去っていった。


 リリィははめていた手袋を外すと炎の魔術で燃やした。

そこまで毛嫌いするのも珍しいなと思い、

後で詳細を聞く必要あるなと心に留め、

俺は石像となった男に『看破リード』をかけた。


状態異常:石化[EX]


その表示を目にして俺は天をあおいだ。

金の針、万能薬が効かないと知らされてから、

半ば予想していただけにショックは大きかった。


 状態異常の[EX]は特定条件を満たさないと解除できない。

相手が1匹しかいない凶悪な強さの起源種(オリジナル)

となると、その難易度は計り知れない。


 ふと自分に集中している視線に気付き、

視線を戻すと心配そうに皆が見ていた。


 思い至ったことはたしかにがらではないと思う。

下手をすれば石になって粉々にされて死ぬ。

 だが、俺にできて、召喚士の俺だから(・・・・・・・)俺にしかできないことだという

確信があった。


 おそらく、ここで退くことはできるだろう。

これまで通り、レベルを上げて召喚獣を探す旅に出たり、

リリィが切り盛りする店で商品をほそぼそと作って

まったり暮らすのもいいだろう。


 しかし、ここで退くことは『俺が俺でいられなくなる』と直感した。


 みんなが驚いた表情をしていた。どうやら俺は笑っているらしい。

しかも、とびきり獰猛どうもうな笑みというやつだ。


 俺はみんなに作戦を説明する前に神殿内の敵の数をリリィの

風の精霊魔術『感知センサー』で調べてもらった。


 結果は予想通り、起源種(オリジナル)の他に複製種(コピー)が2匹いる。


 彼我ひが戦力を計算に入れ、立案した作戦を試考シミュレートし、

求める結果が出たので、俺は仲間に作戦を伝えた。


 内容は複製種(コピー)起源種(オリジナル)から分断して俺以外で倒し、

起源種(オリジナル)は俺1人で倒す

という単純シンプルな作戦だ。


 ヘンリーとオリヴィアは反対したが、

俺が起源種(オリジナル)を奇襲で倒すことと、

複製種(コピー)を倒すことで、石化したあと破壊される

リスクを減らす重要性を説いたところで納得してもらった。


 ついでにそっちが早く終わったらこっちを手伝ってもいいと

許可を出した。




 メデューサ複製種(コピー)2匹が起源種(オリジナル)

最も距離をとったときに俺はサラに起源種(オリジナル)の傍の柱に

火矢を放たせて、注意をむけさせた。

 その隙に土精霊ノーム召聘(しょうはい)して、

金剛石壁(アダマス・トイコス)で神殿の大黒柱を基点に

金剛石製の壁を作りだし、東西に完全に分断するのに成功した。


 MP回復のマナポーションを飲んで

MPを完全回復させるのを忘れない。

俺が回復している横を今回壁役を担当するヘンリーが駆け抜ける。


「行ってくるぜ、兄貴」

親指を立ててきたので、こちらも親指立てて返してやると、

嬉しそうに駆けて行った。


「気をつけてくださいね。兄さん」

「ああ、そっちもな」

「すぐに2匹とも片付けて助けに行きますから」


イリアは俺の手を自分の頬に当てて、そう言うと、

手を離して駆けて行った。


「あたし達もすぐむかいますから、無理はしないでくださいね。

マスター」

「大丈夫とは思いますが、油断しないでくださいね。シオン様」

「ん、油断、大敵」


ソフィ、サラ、オリヴィアが激励してヘンリー達の後を追ったのを

見送った。


「シオン様……」

「どうした? リリィ?」

「”妖精族エルフの祝福”を補強しますので、

右手をお出しください」


俺が言われたとおりに右手を出すとリリィは左手を出して、

指を絡め、手を握り、魔力を流してきて、

俺が聞き取れないエルフ語の詠唱を始めた。

それに反応して、”妖精族エルフの祝福”の紋章が輝き始め、

その輝きはリリィの詠唱が終わるまで続いた。


 施術が終わるとリリィは手を離し、

今度はおもむろに首の後ろに腕を回し、

抱きついて、唇を重ねてきた。


「……負けないでくださいね」

「ああ、負ける気がしなくなった」


俺は赤くなったリリィに笑顔でそう告げて、送り出した。


 俺は気合を入れなおして、対 起源種(オリジナル)用の装備に変更し、

誰も向かっていない先に歩みを進めた。


 こうして俺たちは凶悪な起源種(オリジナル)複製種(コピー)を相手にした

戦闘に突入することになった。



御一読ありがとうございました。


次話はVSメデューサ(複製種)戦です。

視点が変わります。


次話の進捗は活動報告でご確認ください。


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