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Zodiac Frontier Online(ゾディアックフロンティア・オンライン)  作者: 剣伎 竜星
第2章 ポイエイン国の狂気の錬金術師(マッドアルケミスト)
17/66

第11話 そんな道具で、大丈夫か?

オーバー5K PV達成!

いつもありがとうございます。


ブックマーク登録・評価ありがとうございます。

「毎度ありがとうございました。

新装開店します万屋よろずや蛇遣いオピュクスをよろしくお願いします」


リリィがメイド服姿で営業スマイルを浮かべ、

今しがた回復用にハイポーションを買って行ったお客、

今回の大規模戦闘(レイド)参加者を送り出した。


 時刻は<<12:15>>場所は正門前。

事前に露天を開く申請はアテナ様に依頼を受けた日にテイラーへ

出してある。許可証は昨日のうちにリリィとサラに

俺達が冒険者ギルドへ行っている間に取りに行かせた。


 イリアとの寄り道(デート)の後、

俺は今回必要になるだろう回復アイテムを

サラとひたすら作り続けた。


 サラにはアイテムの調合と合成の基礎は

『惰性』と『諦め』と『根気』ということを

忘れないようにと繰り返し言っている。


「あれ? 金の針置いてないの?」


また今回の大規模戦闘(レイド)参加者だろうお客が

来店し、石化解除アイテムとして一般化している

金の針がないのか尋ねてきた。


「お客様、失礼ですが、今回の大規模戦闘(レイド)

参加される方ですか?」

「ああ、そうだけど」

「申し訳ありません。今回の大規模戦闘(レイド)のボス、


メデューサの”石化の呪い”に金の針が効かないおそれがある


という情報がありますので、

誤解を与えないようお尋ねになられた方のみに

『自己責任』で金の針は販売しております。

 1ランク上の状態異常回復薬であります『万能薬』も

ご用意しております。こちらも効果が確実とは言えませんが、

いかがなさいますか?」


リリィと同じくメイド服を着たソフィが

尋ねてきたお客に丁寧な対応で返答した。


「う~ん、だったら、万能薬とハイポーションを10個ずつ頼む」

「はい。毎度ありがとうございます。

全部で銀貨4枚(4アルゲントゥム)銅貨95枚(95カルコス)になります」

「これで頼む」

「はい、銀貨5枚(5アルゲントゥム)お預かりいたします

……銅貨5枚(5カルコス)のお返しになります」

「ありがとう」

「毎度ありがとうございました。

新装開店します万屋よろずや蛇遣いオピュクスをよろしくお願いします」


ソフィは笑顔で万能薬10個とハイポーション10個を

受け取ったお客を送り出した。

 さっきから買い物をしたお客……男性客ばかりだが、

の顔の鼻の下が伸びまくっているが今は気にしない。


 俺はイリアと共に双子座の仮面(ジェミナス マスク)を着け、

ヘンリーと共にギルド長、ガーヴィンの元へ来て、到着報告をした。

「アイテムの販売はありがたいんだが、

店じまいは出発に間に合うのか?」

「あと15分もしないうちに閉店時間になるから大丈夫だ。

販売自体は明日の朝の作戦前に時間をくれれば買い逃した奴のため

しても構わないのだが、どうだろうか?」

「商売人だな。全く」

「確かに金はあったほうがいいが、金で命の保険ができるなら、

安いものだろう?」

「そうだな。だったら、もう少し安くしてもいいのではないか?」

ガーヴィンは場所代などを差し引いても市場価格よりも割高であると

暗に抗議してきた。


「そうは言っても、生産職上級者が上手に作った商品だから、

これでも安いほうだと思うのだがなぁ」

「兄貴が作ったポーションはミドルポーション並みの回復力だもんな!」


俺のぼやきにヘンリーが相槌あいづちを打ち、

イリアが無言で頷いて、

その様子にガーヴィンは疑惑の目を向けていた。


「まぁ、市長が許可出しているなら、俺は文句言わねぇよ。

明日の販売は朝食終了後までなら認めよう。但し、ギルドは関与しない」

「了解した」


俺がガーヴィンに応えたところで、

リリィたちは店じまいを終え、こちらにやってくるところだった。

 もうメイド服から着替えて戦闘用の装備に変わっていた。

 俺はティオ・ヤクタが正門に着てから、リリィに向けた視線をほとんど

外さなかったのに気付いていた。

 また、ティオたちとは異なり、俺達が拠点みせを出てから尾行して

監視している存在があるのも俺達は気づいていた。




 目的地の”廃神殿”までギルドが用意した馬車にPTパーティー毎に

乗って移動することになった……のだが、馬車の乗り心地が最悪すぎる。

 それに移動速度がスレイプニルの快適さを知ってしまった俺にはきつすぎる。


 俺達の馬車は最後尾を走っている。そのなかで俺はアテナ様から借りたアイテム

の数々をあらためていた。


 曲刀ハルパーはランクMの神器であった。

使う予定だったペルセウスが半神ということで、神剣属性が付与されているので、

俺達のPTでは聖騎士極王パラディンマスターであるイリアしか装備できないのだが、

イリアはイリアで自分のコレクション(お気に入り)から今回の討伐にと既に厳選していた。

イリアもアイテムボックス持ちなので、自分のコレクションは全てその中にしまっている。


 ハルパーの形状はショテルといわれる蟷螂かまきりおののような形状をした刃を

刀の刀身と取り替えたようなものだ。ただ、使い手の意思で死神の鎌(デスサイズ)の様に

持ち手の部分を伸ばせるのをイリアが実演してくれた

 武器の属性に反不死アンチ・アンデッドがかかっているので、これはハデスが用意した

ものでは? と思ったが、真相は闇の中、知らない方がいいかもしれない。


 結局、誰も装備・・できないという結論になったわけだが、

これはこれで使いようがあるので俺はアイテムボックスにしまった。


 次は羽の生えたサンダルだ。アイテムランクはM。

使いこなすのに少し練習が必要なアイテムではあるが、

音もなく空を駆けることができるので便利だ。

 俺にとっては丁度、スレイプニルを憑依(ポゼッション)したときに、

空を走る感覚が同じだったので、簡単に使いこなすことができた。

 ヘンリーは上手く使えなかったので、あきらめ、

イリア達女性陣はなぜか固辞していたので、俺が使うことになった。


 そして、アテナ様の楯、アイギス。アイテムランクは当然M。

 完全な対状態異常と対全属性、永続的な自動治癒リジェネレート

自動MP回復、即死無効と壊れた(チート)性能をもつとんでもない楯だった。

 うちのPTでは楯を装備できるのがイリアかヘンリーしかいない。

ヘンリーの武器は大剣なので不可。そのため、結局イリア1択しかなかった。

後衛の召喚士、魔術師である俺とソフィ、リリィには装備できない。

 イリアはアテナ様の楯ということと、デザインが気に入ったようで、

装備できて喜んでいる。

 俺の生産系鑑定スキル【精査(インベスティゲート)】で構造の把握はできているから、

アテナ様の許可がとれて、素材が準備できれば劣化複製品(デッドコピー)は作れる。


 劣化複製(デッドコピー)と言うとイメージが悪いが、

ゲーム時のZFOでは模造品レプリカよりも上位の性能を有しているものの総称で、

本物オリジナルより1~2ランク性能は落ちるが、3~4ランク下の模造品(レプリカよりも、

デザイもより本物に近いので実用的でもある。

 ちなみに模造品レプリカはNPCの店売りや宝箱でも入手できるが、

劣化複製品(デッドコピー)は生産職が作らないと存在しないアイテムだ。


 姿を隠すかぶとは正直、誰に使わせるか迷っている。

用途としては奇襲に使えると思うのだが、

果たしてこれが熱も遮断するか不明のため、

考えあぐねている。

 特定の蛇がもつピット器官、熱感知能力をメデューサの髪の蛇が

もっていたら、姿を隠せても熱を隠せなければ位置がバレるからだ。

 俺は野営するときにヘンリーに被せて、

手持ちの蛇系召喚獣で試してみることにした。

 ちなみにこの兜は能力を調べるために

精査(インベスティゲート)】を使ったが、

持ち主(ハデス)の許可は絶対下りないのは分かっているので、

劣化複製品(デッドコピー)は作らないし、入手できない不明素材、

が使われているので作れない。


最後に首袋キビシスだが、

これはアイテムボックスを数段劣化させた代物であることがわかった。

アイテム1つ限定だが、中に収納すると時間的・空間的に切り離され、

温度と液体を漏らさない設計になっている。構成素材が姿を隠すかぶと

同じく、入手できないものでできているので複製はできない。

 ゲームだったころはNPCのペルセウスがメデューサ(コピー)を倒すと、

首なしの素材がロックされた死体が残されるので、

メデューサの首を回収していくペルセウスに『首狩り族』やら『死体遺棄犯』など

不名誉な渾名あだなが付いていた。


 道中は盗賊や魔物の襲撃を受けずに、平穏無事とはいかなかった。

俺達にむけられる視線のいくつかが消えていないからだ。


 視線の元は大きく3つ。

 まず、昨日因縁付けてきたチンピラのいるティオの集団パーティ

 次に、1人からだが、ギルド長がいる馬車からだ。

 そして、前の馬車集団のなかの1つから。


 ギルド長のところからのは不明だが、あとの2つのはだいたい理由の

想像がつく。

 おそらくはリリィとソフィたちを捕らえて奴隷として売る魂胆なのだろう。

リリィは容姿もそうだが、エルフということで好事家にウケがいい。

ソフィたちは獣人のなかでも希少な銀狼族でソフィとサラの容姿も

美人の部類に入るので、高値で売られるだろう。

 無論、その企みは阻止した上で、首謀者には地獄以上の苦しみを与えた

あとに神殿に送る。


 治安がいい方のカリュクスで、”個人間”の奴隷売買を禁止している

アテナ神域であるが、奴隷商人による奴隷の売買はイタチごっこで終わらない。

 法律によって罪人は犯罪奴隷、鉱山奴隷として神殿が

神域内の各国に売却して、売却金を賠償金としている。


 アポロン・アルテミス・ポセイドン神域も一部特殊な奴隷が存在するが、

大筋のところでは奴隷商人を認めていない。

 他方、アレス神域は奴隷商人を黙認しているから性質が悪い。

更にアレス神域では他神域から来て犯罪を犯したもの、不法入国した者を

神殿で弁護人なしの『神判』を行い、奴隷商人に買われれば運がいい方だが、

買い手がいなければ死ぬまで闘技場で殺しあいの見世物になる『剣奴』や

他神域を攻めるときの捨て駒にされる『戦争奴隷』として扱う。

不法入国者は拉致された他神域の者も含むので、非常に厄介である。


 念のため、イリアたちにも確認したが、全員視線に気付いていた。

襲撃は夜か、討伐戦中になるだろうという見解で合意し、

 俺達は野営をする予定ポイントに到着した。




野営の準備、テントなどの設置を終えたヘンリーとサラはソフィに率いられて、

夕食の食材を狩りに出かけた。

 俺はシルフを召喚し、ソフィ達に連絡役として1体つけ、

残りの2体には内部調査と周囲の索敵を頼んだ。

 リリィは精霊魔術で風の精霊を廃神殿と敵勢力の調査に派遣した。

 イリアは俺達の護衛だ。


 出発前にアイテムを買いそびれた冒険者数人がアイテムを売ってくれと

押しかけてきたのでそれらの対応を終えたころに、

ギルド長、ガーヴィンが頭をフードで隠し、ローブを身につけた人物を

連れてきた。


「邪魔するぞ」

「いらっしゃいませ、ガーヴィン様。どういった御用でしょうか?」

「すまないが、リーダーに通してくれ、重要な案件が発生した」

「畏まりました」


ギルド長とリリィの会話から厄介ごとの気配を感じて、

顔をしかめる俺にイリアは苦笑いを浮かべた。

 お互い双子座の仮面(ジェミナス マスク)を装備しているが、

装備の特殊効果で装備者同士には仮面かめんは視界から任意で外すことが

できるので、お互い戦闘時などを除いて視界から外している。


「休んでいるところすまないな。

このお方がどうしても、お前達に同行させろと強行して無理矢理同行してきたのだ」


そう言って、ガーヴィンは付いて来ていた人物を前にうながした。

フードを被った人物は頭に被っているフードを外した。

 その瞬間、俺とイリアはここにいるべきではないこの人物に驚いた。

 リリィはガーヴィンを通した瞬間に

『風の壁』と『蜃気楼の壁』で俺達の周囲を覆い、

遮音と認識阻害を施していた。


「アテナ様? どうしてここに?」

「……違う」

「え?」

「アテナ様、違う。私、オリヴィア」


イリアの疑問を否定した彼女の言に俺が疑問を口にすると、

彼女はオリヴィアと名乗った。

それを聞いて俺とイリアは現状を理解した。


「そう。

このお方は大神殿のアテナ様の神子、オリヴィア様だ。

アテナ様の今朝の神託でこのパーティに同行することが

急遽きゅうきょ決まった。

神殿からはできる範囲でいいから身の安全を

確保して欲しいとのことだ。

 冒険者ギルドとしては大神殿からの話は

基本的に拒否できないんでな。

悪いが頼まれてくれ」

「よろしく」


ガーヴィンが経緯を説明し、頭を下げてきて、

オリヴィア様も一緒に頭を下げられたので、

俺たちにオリヴィア様のことを引き受けないという

選択肢は消されてしまった。


 ガーヴィンが去った後、戻ってきたソフィ達に

俺達はオリヴィア様を紹介した。


「私達、アテナ様に仕える仲間、私に様いらない」


オリヴィア様本人の意向で様付けをしないように言われたので、

俺達はそれに従い、何故危険なこの任務に来たのか尋ねた。


「アテナ様、討伐後、祭壇で憑依、要請、神殿、壊す」


独特な喋り方だが、アテナ様は討伐後の神殿破壊を確認したいのと

一部でもいいから神殿破壊に関与したいらしい。

……相当ストレスが溜まっておられるようだ。


 俺は【看破リード】でオリヴィアのステータスを確認した。

メインクラスは後衛系の召喚士の基本職憑依術師(シャーマン)

サブクラスは聖騎士パラディンだったが、

特筆すべきはスキルに『神剣装備』があったことだ。

 あと、彼女の装備が『アテナの神子服』と

『アテナの腕輪 (レプリカ)』、

『アテナのロザリオ (レプリカ)』だけだったので、


「オリヴィアの武器はなんだ?」

「武器、ない、用意、できなかった」


俺はその返事に頭を抱えたが、

アイテムボックスのなかで

居眠りしている『ハルパー』のことを思い出し、

取り出して、オリヴィアに使えるか聞いてみた。


「ん、問題ない。ありがとう」


そう言って、きちんとした型で

ハルパーを振るオリヴィアに

俺は軽装鎧の『竜鱗りゅうりんの鎧』、

水鏡みずかがみの楯』を貸した。


竜鱗の鎧は左肩に楯を保持する金具をつけているので、

そこに水鏡の楯を取り付けた。

これで片手はふさがらない。


「ありがとう」


短く礼を述べたオリヴィアを交えて、

俺達はソフィたちが狩ってきた

ステッペン・ボアやゴック鳥の肉を

ふんだんに扱った夕食を食べて英気を養った。


夜警は俺の召喚獣、

【ホーリーナイト】8体に任せ、

俺とヘンリー、

イリアとリリィ、ソフィ、サラ、オリヴィアに分かれて就寝する。

……はずだったのだが、オリヴィアが気がついたら、

なぜかこちらに紛れ込んでいて、

テントの端と俺に挟まれる位置にいつのまにかいた。

 すぐにオリヴィアの不在に気付いたイリアとリリィに

回収されていった。


 相変わらず俺達に向けられる2つの視線は

俺がホーリーナイトを召喚して、テントに引っ込むと消えた。

 どうやら、今夜は一旦あきらめるようだ。




 朝になり、襲撃がなかったのを確認した俺は

仲間たちに挨拶をし、リリィとソフィ、イリアが作った

朝食を食べ、ガーヴィンのテントへ向かった。

作戦会議があると昨日の去り際に言われたからだ。


会議の内容は要約すると、

小物と中型を中心に排除する第1陣。

中型と大型討伐を優先する第2陣。

状況に合せて両陣を補佐する、遊撃の第3陣。

負傷者を治療し、大まかな作戦指示をするガーヴィンのいる本陣

の計4陣に分かれる。


 大型の危険度が意高いので第1陣の数は

第2陣よりもわずかに多い。

第2陣にはあのティロのPTが入り、俺達は第3陣になった。

 討伐は基本、早いもの勝ちではあるが、

今回は第1陣と第3陣が先行し、

中型を確認した段階で第2陣を投入する流れになった。


 第1陣のPTパーティーの後ろの配置に俺達は既に着いている。

後は号令を待つのみだ。

しばらくして、作戦開始時間になった。


「第1陣進軍開始! 第3陣はそれにつづけ!!」


風魔法の『拡散』でガーヴィンは進軍の号令をとばし、

第1陣の冒険者達は廃神殿の入り口付近を

守るゴブリンやオークなどの

小型の魔物たちに気勢をあげつつ、

突撃して、俺達、第3陣はそれに追従した。


 こうして、起源種(オリジナル)という未知の相手との初戦の幕は

切って落とされたのだった。


御一読ありがとうございました。


 描写を大筋絞って圧縮かけましたが、

普段の1,5倍強の文字数になりました。

もっと精進します。


次話に関しては活動報告をご確認くだささい。

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