第8話 双子の弟子入り希望者?
オーバー3K PV達成!
ありがとうございます。
凛璃、イリアの告白を受け、俺が答えようとする前に
イリアは自分は俺の傍に居れればいいからと眩しい笑顔で言い放ったので、
俺は間髪要れずにサンク王国はどうするんだ? と返した。
少し考える素振りを見せたが、イリアは今は無理だけど、
その内ケイがいれば回る国に造りかえるから大丈夫と、
自分の親友に丸投げする気満々である。
しかも、既に根回しが進んでいることがわかる。
俺としても、凛璃、イリアが嫌いな訳ではない。
肉親の贔屓目を抜きにしても整った容姿、
(※自分が双子で似ているからという意味も置いておく)
で女性としてのスタイルも十分以上で、性格も少し不安定な所は
あるけれど問題にはならない。
更にこの世界で重要になる、サンク王国国王とか、
世界唯一の聖騎士極王であるとかいう肩書きがあるが、
それは今のところ問題ではない。
結局のところ問題となっているのが
俺個人の感情に終始しているのは分かっている。
むこうの、生まれ育った世界では法律や遺伝子、
世間体などの問題があって、妹である凛璃を
女性として愛することに周囲からも制止が掛かっていたが、
こちらの世界、Zodiacでは髪と瞳の色が生まれ育ったの世界と
違うだけで、中身が同じイリアを女性として愛してもよいと
唐突に突きつけられ、し正直、俺はどうしたいのか、
考えがまとまっていない。
俺が自分の今のイリアに対する気持ちを告げて、
少し整理する時間が欲しいと言っても、
イリアは笑顔を崩さず、快諾してくれた。
本当にできた娘だよなと思う。
話しがひと段落したところで、空腹感が酷くなってきた。
時刻を見ると、<<12:13>> 昼時である。
リリィのことだから、昼食を作って待っているだろうな
という考えに至り、テイラーの屋敷を出ることにした。
イリアはどうする? と尋ねると、
俺の拠点も見てみたいから、
当然俺に付いてくるそうだ。
再び席を立って扉にむかったところで、
再度、ローブを引かれた感触があったので、
振り返ったら、目の前にイリアの笑顔があり、
次の瞬間、唇を重ねられた。
アテナ様とその神子に関しては
カリュクスにある神殿からむかえが来たから、
心配しなくていいとウィルが教えてくれた。
俺が帰る旨、執務室の机に張り付いているテイラーに伝えると、
ニヤニヤ笑いながらこっちを見て、
「計画的になっ!」
と言って、親指を立てていたが、
書類仕事を手伝っていた奥さんに
しばかれていた。なにを計画的にだ??
俺は屋敷の玄関に来ていつもの仮面を着けようとして、
とあることに思い至って、イリアに訊いた。
「イリア、『仮面』は持ってきているよな?」
「うん、これでしょ? 兄さんにもらった物だから、
ちゃんと失くさないようにロック設定して持っているよ」
そう俺の問いに答えて、イリアは俺の持っている”白い”仮面と
同じ意匠の”黒い”仮面を見せた。
この仮面は【双子座の仮面】 と言って、
単体では隠蔽効果と認識阻害が高い仮面だが、
装着者同士が近距離にいる場合、索敵力上昇して、
即死攻撃を防ぐという効果が発揮する。
仮面を装備して、出ようとしたところで
片手を繋がれたので、
抵抗せずにそのままで外にでることにした。
イリアは繋いだ手の指を一本一本絡めて、
所謂、恋人つなぎにして、上機嫌に前を進んでいき、
俺はそれに続いた。
仮面の効果により俺達は特に街中を問題なく進んでいける。
今問題になっているのはが俺ではなく、イリアの知名度にある。
イリアは2年前にあった魔獣大戦を終戦へ導いた大英雄で、
特にアテナ神域の守護を担うサンク王国の文武に秀でた才媛かつ、
同神域内の民なら国を問わず、貴賎を問わず、平等に接するので、
現アテナ神域を治める3王のなかで一番人気があるのだ。
おそらく、仮面を外して身元がバレたら、すぐに人が群がってくるだろう。
そう考えているうちに拠点に到着した。
店を閉めておくようにいったので、
もちろん、表の入り口は閉まっているのだが、
イリアは立ち止まって、
正面から店の建物を見上げた。
「ここが兄さんのお店ですか……」
「ああ、商品在庫が切れて店休にしていたが、
昨日、俺が補充したから近いうちに営業再開させるつもりだ」
「近いうち? 明日じゃないのですか?」
「ちょっと考えてることがあるんだ。それよりも中に入ろう」
そう言って、俺はイリアを伴って、裏口に回った。
マスターキーを取り出し、鍵を開けて中に入ると、
昨日は見なかった銀髪で瞳の色が橙色の男女3人組みが
奥の大広間にいた。
3人の内、背の高さでいえば真ん中、160cm位の少女が俺の存在に気付いて、
笑顔を浮かべて、駆け寄ってきた。
彼女の頭には髪の毛と同じ色の毛で覆われた耳があり、
人間で言う尾てい骨辺りからは同じく毛に覆われた尻尾が
生えていて、尻尾は勢いよく振られている。
犬の感情表現でいうところの大喜びというやつだ。
少女は駆け寄ってくる勢いそのまま俺に抱きついてきて、
「おかえりなさい、マスター。必ず、必ず戻ってくると信じていました」
「ああ、ただいま、ソフィ。これからまたよろしく頼むな」
「はい。お任せ下さい!!」
少女、ソフィは泣き出したが、
俺の言葉に笑顔を浮かべてすぐに泣き止んだ。
事情を知らない人間が見たら、俺が泣かしたと誤解されかねない
外聞の悪い状況なので、俺はすぐにアイテムボックスから
未使用のハンカチを出してソフィの頬を伝って落ちる涙を拭いてあげた。
ソフィは嬉しそうに俺に涙を拭われた。
「姉ちゃん、いきなり駆け出すなよ。ここ屋内だから、
リリィ姉に怒られるぞ。サラからもなんか言ってやれ」
「ヘンリーの言うことは最もだけど、今回は仕方ないんじゃないかな」
遅れてやってきた2人はそう言い合っていたが、
俺はこの2人に見覚えがないので、未だすがり付いているソフィに
視線を移して誰だ? と訴えた。
すると、ソフィは苦笑いを浮かべて俺から離れ、
「ヘンリー、サラ、マスターにご挨拶なさい」
「ん? おお! おれ、じゃない、
私はヘンリー・ヴィ・アルギュロスと
申します。銀狼族、デンス集落から修行のため、参りました。
よろしくお願いします」
「私はサラ・ルン・アルギュロスと申します。
先程のヘンリーの双子の妹です。
族長、ニール・ヴィ・アルギュロスの命により、銀狼族、デンス集落より
修行のため、参りました。ご指導よろしくお願いします」
「私の弟と妹です。顔は似ていませんが双子です。
ヘンリーは次期族長候補筆頭で修行のため、
サラは見聞を広げるために集落から出て来ました。
2人ともマスターへの弟子入りを希望しています」
ソフィの言葉の意図に気付かなかったヘンリーは脇腹をサラに小突かれて、
所々詰まりながらも自己紹介をして頭を下げた。一方、サラの方は流れるように
自己紹介を終え、洗練されたお辞儀を見せた。リリィ仕込だなこれは。
そして、ソフィが2人が集落を出て俺の弟子になりたいということを補足した。
俺はスキル【看破】を使って、2人のステータスを確認する。
ヘンリーのクラスはメインが前衛系壁役の中級職、
『ライト・ウォーリアー』、
サブに前衛系攻撃役の中級職、『格闘士』。
一方、サラのクラスはメインが後衛系攻撃役の中級職、
『スナイパー』、
サブに後衛系回復役の中級職『ヒーラー』。
辛うじて、サラのヒーラーに関してはアドバイスできるが、
2人ともなんで俺に弟子入りしたがるんだろうか?
俺は後衛系の貧弱で有名な召喚士なんだが……。
「2人ともなんで俺に師事する気になったんだ?
俺は2人のクラスとは全然違う、ひ弱な召喚士だぞ?
サラのヒーラーについてはある程度教えることができるが、
ヘンリーに関しては畑が違うから、あまり細かい専門的なことは
教えられないが、それでもいいのか?」
「ああ、おれはそれでも構わない。
『弟子は師を超える者』だから、おれは兄貴を超える男になりたいんだ」
俺の否定的な言葉を気にせず、
是非もなしと目を輝かせて、下克上宣言する
ヘンリーを見て、俺はどうしてこうなった?
と疑問が頭を埋め尽くしたので、
「ソフィ、なにが切っ掛けでこうなったんだ?」
「はい、マスターがわたしを助け出してくださって、
集落に戻る途中で襲ってきた魔物を素手で撃退したのを
迎えに来ていたヘンリーが目撃したみたいで……」
俺はそのことを聞いて、心の中で頭を抱えた。
それはZFOにおける俺の黒歴史の一端だからだ。
その話しはここでは置いておこう。俺への負担が大きすぎる。
危険でマッハだ。
「サラの方はどうなんだ?」
「あたしの方は構いません。
上級職の錬金術師を目指していますので、
そちらのご教授を重点的にお願いしたいです」
なるほど。やる気があることはいいことだ。
それに次いで、ソフィの仲介だから、
無下にはできないなと俺は心の中でため息をつき、
気持ちを切り替えた。
「弟子入りを認めよう」
俺のの言葉に喜色を浮かべる姉兄妹。
「但し! これから俺が言う3つは遵守してもらう。
1つ、俺の指示には従うこと。
1つ、自分で考えること。
1つ、道を踏み外さないこと。
今のところはこの3つだ。あとで増えるかもしれないが、
これに納得できないなら、弟子入りは認めない。いいな?」
「「はい」」
俺の言葉に元気よく返事する2人。
その直後、ヘンリーの腹から大きな音が鳴り響いた。
「お帰りなさいませ、シオン様。
そちらのお待たせしているお客様と
お昼になさいますか?」
昼食の用意をしていたのであろう、
リリィが会話の合間を見計らって、
訊いてきたので、俺はイリアに皆と一緒でいいか尋ねた。
「私は構いませんよ」
と即答してくれたので、リリィにその旨を伝えた。
「ここにいるのは身内だけだから外すか?」
「そうですね。兄さん」
隠蔽効果と認識阻害効果は拠点では必要ないので、
俺とイリアは【双子座の仮面】を外した。
「「「ええ? イリア様!?」」」
3姉兄妹の見事に重なった驚愕の声が拠点に響き渡った。
御一読ありがとうございました。
ソフィが仮面装備のシオンに気付いたのは
保有している称号と二つ名、種族特性などが原因です。
次話の進捗状況は活動報告でご確認ください。




