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尿意を感じて目が覚める。
周りは無音だが森の外では陽が登り始めているのか真っ暗というわけではない。
おっさんは座って寝ているようだ。
とりあえず、数メートルほど離れて膀胱に溜まったものを解放する。
体温が抜け、ぶるりと体が震える。
若干肌寒いな・・・
その寒さのおかげで目は冴えてきた。
この世界が俺のやっていたゲームと同じようなものならば、ステータスとかも見れたりするのだろうか。
ステータス!と念じてみる。
うーん、なにも起きないな。
気合が足りないのか、何か別のものが足りないのか、そもそもそんなものは見れないのか。
大きな声で気合い入れてみるか。
「ステータス!ステータス!情報!」
お、でた。
タイチ・(ヤマガミ)
人族 23歳 ♂
Lv.1
HP 50
MP 100
力 15
器用さ 20
体力 15
速さ 20
知識 100
精神 20
魅力 70
ボーナスポイント 100
固有スキル
転移EX
スキル
魔法適正中(全)Lv.1
武器適正弱(全)Lv.1
ステータスはゲームバランスを崩すとまではいかないがかなりいい方だ。
ゲーム通りなら、初期ステータスはHPとMPが50の他のステータスはランダムで10~20だったはずだ。魅力だけは運だったが。知識やMPが少しチートっぽいな。ひとつレベルアップで10を好きに振り分けることができていたが、既に150くらい基本ステータスで多い。ボーナスポイントも言葉通りならこの世界でもどうにか生き残れそうな気がする。
試しにおっさんのを見てみたいがこれは見てもばれたりしないのだろうか?
しかし、見てみたい・・・
もしいけないことだったら謝ろう。
記憶喪失なのだ。無知は罪というが、知らないものは仕方がないのだ。
でも、大きな声でやらねば見れないのか。
見たかったな・・・情報・・・
あ、でた。
オルトス
人族 31歳 ♂
Lv.35
HP 160
MP 50
力 120
器用さ 20
体力 70
速さ 60
知識 20
精神 20
魅力 40
固有スキル
なし
スキル
剣適正Lv.8
火魔法適正Lv.3
情報って念じれば出るのか。偶然だが気付けてよかった。
そういえば、ゲーム内でもアイコンは情報だったな。
オルトスさんは流石に力が強いし、レベルも高い。
魔法関係はそこまで高いわけじゃないみたいだけど、剣士としてはかなり手練れな気がする。
この世界の他の人を知らないから比較はできないが。
固有スキルはなし。俺の転移は・・・ここに転移してきたからだろうなあ。
ボーナスポイントは俺だけなのか?
街に行けば他の人も見れるだろうし、それから考えるか。
「坊主、早いな。よく寝れたか?」
オルトスさんが起きてきた。周りを見ると、森の中でもかなり先まで見えるくらい明るくなっていた。
黒き森の由来は夕方になると突然ほとんど光が入らなくなることと、出現する魔物が黒いものばかりだからである。
「オルトスさん、おはようございます。はい、すっかり疲れはとれてるみたいです。」
布団で寝たわけじゃないが、疲れが残っている感じはない。転移して体力があがったのか?
「よし、昼過ぎまでに街に到着したい。すぐに出るぞ。」
オルトスさんはそう言って立ち上がった。
荷物が少ないから準備の必要もないだろう。剣と盾と道具袋のみだ。
もしかして、あの道具袋は内容量が無限の無限袋か?めちゃくちゃ高いはずだけど。
もちろん俺は剣や盾すらないので準備するものはない。
「ここから街へは結構かかるんですか?」
ゲーム知識の時間感覚はあてにならないもんな。ゲームでは5分でもリアルだと何時間もかかる移動になるはずだ。
「そうだな、ここからだと休まずに真っ直ぐに街を目指せば5時間ってとこだ。途中で休憩も考慮して6時間だな。今が朝の6時ってとこだから、昼飯は街で食えるだろう。坊主の体力次第だがな。」
おっさんは時計を取り出して時間を確認しながら言った。最後に冗談っぽく笑ったが、そんな顔も渋い。
そして、この世界にも時計はあるのだ。
細かい技術で作られたものでなく、陽の位置を魔法で感知して動くものだが。
「が、頑張ります。」
そうして、おっさんの先導で街へ出発した。