9#急接近→接触
今回も少し短いです。
【異世界生活 2日目】
みんなで、朝食を食べている。
マーニャ以外の みんなが なんか よそよそしくて少し居心地悪い。
しかも マーニャは 『散水師 真』になってから、上から目線になった気がする……
僕の方が歳上なのに……でも よそよそしいよりましか。
マーニャは「真だけ 朝食豪華だよね? なんかズルイ」
そう……早朝から、僕だけVIP待遇になってしまった。
呼び名も 『救世主様』、 流石に居心地が悪くて呼び名を変えて貰うことにした。
粘り強い交渉の末 『救世主様』から 『真様』、『真さん』に変わり 『真さん』で落ち着いたのだった。
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◇セリア村ギルドの家◇
此処は 冒険者用の 『ギルドの家』らしい。
水不足で一時的に閉店中となった酒場と 併設してる見たいだ。
本来なら ギルドもまだ閉店時間なのだが、 ブライ達のために(ここから僕は、オマケ)開店となった。
「今回の水不足の影響で、ギルドの受付担当者も
町に帰ってるでな、わしがカードを 発効するぞ。
ほら、それぞれこのカードに、血を1滴たらせ」
おばば からそれぞれ カードと極小のナイフを 貰った。
僕は、ナイフで血を出すのにためらっていたが、みんなは、平然と指を切っているので、出来るだけ 平静を装いながら ナイフで 指を少し 傷つけた。
でも ビビり過ぎて 1回目は血が出なかったのは
ないしょだ。
残念な事に ギルドカードに 表示されたのは おばば の占いと 同じだった。
マーニャのこちらを見る目が冷たい。
でも、全員 特殊能力に追加事項があった
それは『特殊効果 ????? 』と表示してあった。
みんなも同じらしい。
もう これに期待するしか無いな。
おばばに『特殊効果』を聞くと「わからないよ、まあ 何かの拍子に 発現するかもな」と言われただけだった。
この後は2手に別れて、僕とシャルとマーニャは、魔法の座学。
ブライとユリウスは 武器と防具を新調する事になった。
座学では、魔法の発動の仕方 種類 など簡単な説明を受けた。
要は、適性があれば、呪文を唱えるだけで、簡単に魔法が発動するらしい。
確かに 僕の魔法も 『散水』って言っただけで、水が 出たもんな。
散水師には、他に『大散水』『極地大散水』
『広域大散水』の4段階まであるらしい。
更に極めると、『湧水』『大湧水』『波』『大波』
『津波』の5段階が存在するが 実例では 『大湧水』までしか 確認されていないらしい。
マーニャの 火炎系魔法も 攻撃系 5段階、防御系 4段階 あるらしいが これも全てをマスターした 術者はいないとの事だ。
極めた者がいないのに、何故5段階まで有るとわかるのか、疑問に思う所にだが……
シャルの回復魔法も、単純明快、基本回復4段階
解毒魔法に 魔法効果微上昇 物理攻撃微上昇 しか無いらしい。
という事で、座学は終わってしまった。
午後からは僕は、水出し。
シャルは、怪我人がいたら治療をする。
残りの ブライ達は、樹木等を相手に訓練をする事になった。
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ブライアン達の 練習風景
ユリウスの弓は熟練者を感じさせるほどの 精度が
あった。 20mの距離で 弓を射れば 10本中 9本は
的に当たる。
ブライアンも 直径い15cmほどの 木ならば、
一刀両断出来るようになった。
マーニャも「私凄い 私凄い!」攻撃系 防御系
ともに、2段階まで 自由に使えるし使用回数も、
20回 以上使っても、
まだ疲れを感じないようだ。
一息ついて マーニャが呟く。
「でも、真には がっかりだよね。 勇者じゃないんだもん」
「一応 アーデルって呼んであげた方がいんじゃないか?」
とユリウスは言う
「だって だって ギルドカードにも 園崎 真 になってたよ!」
「確かに、アーデルの職業には がっかりしたけど……」
見かねてブライアンが口をはさむ。
「二人とも、そう言うなよ。今やオレ達の生活の要だぜ? 子供達の救出はオレ達がやって、まこ、アーデルにはみんなの飲み水とか作り出して貰わないと。それに、アーデルは勇者じゃなくても友達だろ?」
「う-ん……」 マーニャは まだ納得していないようだった。
一方 シャルロットの様子
本日 村人に怪我人は一人 しか現れなかったので、
『小回復』1回だけで 終わったようである。
シャルロット「真くん、落ち込んでないかな?」
と心配をしていた。
真の様子
『散水』25回 まで使って ダウンした真でしたが、
村人達は 無茶苦茶感謝していました。
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夜の食事の時間。
僕の食事だけ、みんなよりちょっぴり豪勢だ。
村人達は 僕がよけい居づらくなるのが、わからないのだろうか?
相変わらず マーニャの視線が痛い。
水不足のせいでしょうか お風呂は無しで、濡らした タオルで 身体を拭いて 終わりでした
寝れない…… 夜風に当たろう。
昨日から落ち込んで、まだ 立ち直れない。
理由は簡単だ、僕だけ前世が無いこと。
勇者じゃなかった事。
せっかくの『散水師』も 散水の 1段階止まりな事。
全く良いことがない。
「真くん? どうしたの?」
突然、背後から 女の子の声がした。
まあ シャルだってすぐに わかったけどね。
「あっ アーデルの方が良かった?」
落ち込んでる僕を心配しているようだ。
余計に惨めになる気がする。
僕は、投げやり気味に「もう 真でいいよ、どうせ僕だけ 前世が無かったんだ」
「でも 村のヒーローだよ。お陰で私達は、美味しい水が飲めるんだもの。 凄いよ 真くん。」
シャルロットは慰めるの上手いなあ。
でも、その分 余計に涙ぐんでくる。
シャルもこれ以上 かける言葉が無いのか、 星空を見ながら 沈黙する 僕達……
気付くとシャルの気配が強くなった気がするので、
シャルが居た方に振り向いた。
すると シャルの顔が 目の前に………… それだけじゃない。
僕ね唇に 微かな柔らかい感触……
シャルも 顔を赤くしながら、目を見開き
驚いた様子。
すぐに顔を離し「えっ? うそ? ……えと……その……
でも、真くん……真くんに 元気出して欲しくて、
その……あの……ほっぺに……ねっ、
そしたら、真くんが 急に振り向くから……
あの……その……だから元気出して。また明日。」
小走りで 走り去るシャル……
僕は、鼓動の速さを感じながら もう少し夜の空を
眺めていた。
二人の口付けが 今後の鍵となります。