4#決着、そして旅立ち
こんにちは僕の名前は『ランデイヤ』です。
「ランディ」って呼んでください。
これからチンピラ4名様との!戦いが待ってます。
なので香織ちゃんと、綿密な作戦を練るところであります。
「香織ちゃん、これから作戦会議を開きます」
「えっ? 香織ちゃん!?」
香織ちゃんはいきなり『ちゃん』を付けて名前を呼ばれた事に戸惑っている。
頭の中では既に『香織ちゃん』と呼びまくりだったのだがね。
「うん、ダメ?」
ランディ秘奥義、上目遣い!
「い、良いけど……アンタ……あなたは、ランデイヤさんで良いの?」
僕はにっこり笑顔を作りながら、
「親しげにランディと呼んでください」
「わ、わかったわ」
香織ちゃんは うんうんとうなずく。
「それでは、ぶちのめす相手は、えっと4人だったよね?」
香織ちゃんの頭が上下した。
コクコク。
かわいい……
「チンピラ4名様 殲滅作戦!! パチパチ」
香織ちゃんも僕の拍手に釣られて、パチパチする。
僕は乗りの良い香織ちゃんに気を良くして、作戦内容を伝える。
「では、先ず僕が4人の動きを封じます、 香織ちゃんは僕が失敗したら、 石をガンガン投げて下さい。以上です」
香織ちゃんはバランスを崩しながら答える。
「えっ? 以上!? それで終わりなの? 4人の動きなんてどうやって止めるのよ?」
「呪文です」
香織ちゃんは、
「また魔法なのね」
って言うもんだから、
「呪文って言うんです!」
と力説した。
「後、戦いの前に少し準備をしますが……」
「あの腕力が上がったり、身体が頑丈になるやつ?」
「あの2つは打ち止めなので、違うのを使用します」
やはり良く考えてから、呪文を選択するべきだったかな。
これから朝イチの呪文選択がとても重要になってくるな……
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ちょこっと香織視点
本香織はランディを見て、思ったことがある。
彼ってイマイチ……いや、かなり緊張感が無いのよね。
これなら、あいつらを殺しても 大丈夫なのでは? と淡い期待を抱いてしまう。
ふと、ランディは扉の方を見つめた。
何かの気配に気づいたみたいだ……私には何の気配も感じない。
私の3年間の修行では、到底追い付けない何かが、ランディにはあった。
「じゃあ始めるよ」
とランディは言う。
ランディは何の準備をするのだろう?
「第1レベル呪文……マジックストーン」
ゴトゴト、ゴトゴト、ゴトゴトゴトゴトゴトゴト……20個以上の石の玉が出てきた、 そうか あの破壊力のある不思議な石は魔法で作り出したのかぁ、私 納得。
引き続きランディは魔法を使うみたいだ。
「第3レベル呪文……ゴージャスブレス」
私は急に身体が軽くなるような気がした。
さらに、先ほどランディが使った『オグルパワー』とは違う感覚で力が沸いてきた。
香織は、ランディの色々な魔法に興味を持ち始めていた。
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コンコン! っと扉をノックする音とともに声が聞こえてきた、
「失礼しま~す」
「あれ?おかしいな?」コンコン!
「失礼しま~~~す、全員連れて着ました~」
扉が開いて チンピラ達が 不思議そうに部屋の中に入ってきた。
僕は4人を 目視確認後 すぐに呪文を使った。
「第3レベル呪文……ホールドパーソンLVⅠ」
4人のチンピラは身体が麻痺したようで、その場で固まり動かなくなった。
香織ちゃん は呆れ顔で「私の出番ないよね」
僕は「ううん、男どもを縛るのを任せるよ」
「はぁ、わかりました」と香織ちゃんは動きだす。
さて、香織ちゃんは殺された家族の復讐とか言うからには、このチンピラ達、殺すつもりなんだよね?
まだ此処は、日本だと思う……だとしたら簡単に人を殺せるかな、疑問だ。
手際よくチンピラ達を 縛り上げた香織ちゃんの瞳は、暗く輝いていた。
これは殺意だ、どうやらチンピラ達を殺す覚悟は有るようだ。
チンピラ達は、体が動かせない事を理解すると、情けない声を出しながら命乞いを始めた…… まったく煩いなあ……。
その中で一人のチンピラの言葉に耳を傾けた。
「悪かった、謝る。すまん、俺は命令されて殺ったんだ 、わかるだろ? 家族を的にして投げさせるなんて常識じゃない。なっ? 俺は命令されたんだよ、悪かったな」
と、饒舌に囀ずっていた。
するともう1人が「なんだ、お前 ! 積極的に痛め付けながらヤってただろ? 俺はヤってる回数が一番少ないぞ、だから助けてくれ」
今、香織ちゃんがキレると思われる瞬間、僕が先に動いた。
僕が頭の中で 何かがはじけたような気がした。
チンピラの首を握り 「おい、家族を的ってなんだ? 答えろ!」
チンピラは「なんだ、アンタは関係ないだろ、うぐぅ」
僕はチンピラの首を締め上げた。
そして更に力をいれた。
チンピラは苦しそうに「わがっだがら ぢ、ぢがらを ぬいでぐれっ、うぐっ ごほっ ごほっ」
僕は少しちからを緩め、問い詰める。「説明しろ!」
「あいつの……あの女の家族4人をナイフ投げの的にしたんだ。どのみち始末しなきゃいけなかったんだ、だったら楽しく遊んでやろうって事になって……だから俺たちは直接は殺ってない。俺はゲームに参加しただけなんだよ」
あぁ、もうキレそうだ……しかし、まだ聞くことがある。
「内股の傷は?」
チンピラはドキリとした顔になり「ヒッ!? そ、それは…………」
と答えずらそうにしていたら、別のチンピラがシャシャリ出てきた。
「こいつが考えたんだ。あの女、初めはナイフを投げるのを拒んだから、女を殴りながら 的を外したら ナイフで傷つけて、その血で濡らして犯すって……」
香織ちゃんが 何か行動に出ようとしたとたん動きが止まった。
僕は気づいていないが 殺気が漏れ出していた。
後にわかるランディの特殊能力の1つ 『威圧レベル1』だ。
まだランディは慣れていないため、敵味方関係無く威圧を掛けてしまったのだ。
「もう いい………… わかった……」僕は立ち上がり、近くの椅子を手に取り「第2レベル呪文……ストライキング」
こうして 凶器『暴虐の椅子』が完成した。
チンピラ達は命乞いをしたいのだが、ランディの威圧の為、呼吸するのがやっとだった。
ランディは「もう……二度と、喋らないでくれ」
ランディによる殺戮ショーが行われた。
しかし相手は動けない上に弱い、殺戮ショーは直ぐに終了した。
この後、僕は自分がキレている事にやっと気づいた……マズイ……殺した?
いや そんな事より 香織ちゃんの復讐対象を、許可なく殺ってしまった事に、不味さを感じる。
チラッと香織ちゃんを見る……
香織ちゃんはなにも言わずぼーっと見ている。
普段の僕なら勘違いはしないはずだが 、今回は 香織ちゃんが怒っている、と勘違いしてしまった。
僕は懸命に頭を回転させる、(焦るなランディ なにか上手い手段を考えねば………………そうだ! ダメ元でチンピラ達を回復させてみよう)
「第3レベル呪文……ヒールオブサークル」
なんとチンピラ達の内3人が瀕死から完全回復したようだ。 残りの1人は間に合わなかったか。
仕方ない、3人居るのだから、これで許してもらおう……
「香織ちゃん……」 香織ちゃんも僕の声で我に返ったように、
「えっなっ何?」と答えた。
「3人ほど元気に生きてるから、4人分の復讐を、コイツらでして。後、先にやってしまってごめん」
と頭を下げた。
僕はそのままチラリと見上げた。
香織ちゃんはしばらく考え事をしている様子だっったが、急に微笑みだした。
僕は「ほっ」と声に出してしまった。
よし ランディ秘奥義『ご機嫌取り』だ! 『ストライキング』で凶器化した椅子を渡して、
「これ、攻撃力の高い椅子だから使って」
3人の生き残りは その言葉を聞いたとたん、つい先ほど 瀕死まで追い込まれたのを思い出したのか、命乞いの合唱は始めた。
香織は、
「んっ ありがと(ハート)」
と言って 椅子を受け取る。
香織ちゃんは聴くに堪えない合唱をしている チンピラ3人に向かって 微笑ながら 、
「もういいの ランディのお陰で 気が済んだわ。不思議ね……だから……もう逝っていいわ」
チンピラ達は意味を取り違えたのか、安堵の表情を浮かべた。
香織ちゃんは 『サヨナラ』の一言を遺して 必殺の一撃を3人の頭上に加えた。
この時、ランディは 嫌気がするほどの粘っこい悪寒を感じたが 、香織の一撃によるものなのか、またはそれ以外によるものなのか、解らないでいた。
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時は少しだけ過ぎて、○○組の空き部屋の一室。
ランディがにこやかに、この場を仕切っていた。
「それでは、香織ちゃんの復讐達成を祝って、ささやかではありますが、乾杯をしたいと思います。準備は良いですか? カンパーイ!」
この状況にイマイチ着いていけてない 香織ちゃんも、付き合ってくれた。
「か、乾杯……」
オフィスの冷蔵庫から 、無断で頂いた2本のビールで祝杯を挙げる2人。
つまみになるのは、先ほど『クリエイトフード』で出した、約100人分程度のカロ○ーメイトそっくりな食料品が、どっちゃり置いてありました。
しかし これには香織よりも、ランディ自身が『僕ってバカ者?』見たいな顔で 呆れていました。
自分で言うのも何だけど、加減できんのかね?
香織ちゃんは 、
「モグモグ、美味しいよ」
と僕の出した食料品を褒めてくれた。
普通なら警戒して食べないよね 。
香織ちゃんの事、好きになりそうです。
僕も食べよう……パクパクモグモグ うん美味しい 売り物になるレベルだよ。
異世界での資金原になるかも……ニタリ と悪巧みをしていたら香織ちゃんが、「ねぇ 魔法使いさん、貴方は魔法でなんでも出来るの?」
ん?魔法使いさんですか、ちょっといい響き、と少しにやついてしまう。
「何でもじゃないよ 詳しくは言えないけど(解らない) とりあえず今は30種類くらいかな」
「凄いね……今度、色々見せてくれる?」
「うん 良いよ、僕もまだ開発途中だけどね」
「そうなの? まぁ まだ若いもんね」
と言った後、香織ちゃんは突然黙り込む。
「…………………………」
そしてフルフルと迷った表情を振り払い、言い出した。
「ありがとう、本当にありがとう。あと ゴメンね……人殺し、させちゃったね、いいの? これからどうしよっか?」
すごく、僕のこれから先の事を心配してくれている。
まあ 普通ならそうだよなあ ○○組を半壊させた上、チンピラ達も、もれ無く あの世行きだもんな…… 普通の生活なんて、出来る訳がない。
でも、僕はこの魔法さえあれば、何とかなると思う。
さらに僕には3人の仲間いるらいしいから、僕を見つけてくれるかもしれないし。
「う~~ん、いいよ いいよ これからの事は、何とか出来るかもしれないし、少しはあてがあるんだ」
と言い終わった辺りからまた先ほどの粘つく悪寒が襲ってきた。
しかも今度は意識も 持っていかれた。
香織ちゃんが、
「どうしたのランディ? どうしたの?」
と言っていたが、僕にはもう聞こえていなかった。
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「やあ、また会えるなんて思ってなかったよ」
あっ……あいつだ、融合前の僕だ……また出てこれたんだ。
僕が微かに喜んでいるのを知ってか知らないでか、あいつは喋りだした。
「少し前に、粘つく様な悪寒を感じただろ。それは無限にある どこかの世界で タイムリープか、タイムスリップがあったみたいだね」
はっ!? 何言ってるのこの人?
と一瞬思ったが、本当の事なんだろうな……自分に無理やり納得させる僕。
「此れからの僕ら4人は、時空間移動に 巻き込まれて新たな世界へと旅立つからね。大事な物なんかは、手放さずに持っているんだよ。身に付けていない物は持って行けないからね。それじゃ またね~~またね~~またね~~」
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「ランディ! ランディったら!!」
「ランディ!」ペチペチ
誰かの呼ぶ声がしている……誰かといっても 僕のことを呼ぶなんて、香織ちゃんしか居ないはずだよね。
しかし 此れからの異世界にジャンプする度に、あいつ出てくるのかな…………
「ランディ!」バチバチ
「ランディ!!」バチン!
僕は意識が戻った。
目の前には、涙目の香織ちゃん。
そして僕は、頬がイタクテ涙目……
「香織ちゃん 痛いよ~~」
香織ちゃんは「あっ 戻った 良かったぁ、 どうしたの? 急に意識が無くなったみたいだけど、もう心配したんだから 、で どうしたの?」
どうやら香織ちゃんは本気で心配をしてくれているみたい。
惚れるなぁ僕……でも香織ちゃんの問いに どう答えたらいいのか………………
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香織視点
ランディは突然 突拍子もないことを言い出した。
「香織ちゃん この後の事なんだけど、僕は別の世界にジャンプする事になったから」
此れには私も「へっ?」しか言えず しかも変な顔をしていたことだろう。
しかし、突然なにを言ってるんだろう ランディは……
でも瞳は真剣だ 本気なんだ、方法は解らないが ランディが遠くへ行ってしまうのは 理解出来た。
「えっ!どうして?」と 咄嗟に口に出てしまったが、その後が続かない。
よく考えれば、私とランディは 数時間前に会ったばかり、引き留める理由もない。
どうしよう……何故私は焦っているの? わからない。
ランディを見る、ランディも寂しそうに私を見ている。
そうだ! 私はランディにまだ何もしてあげてない!
もう復讐も果たした。
今の私にはもう生きている意味が無い……だけどランディには簡単には返し切れない恩が出来た。
私に何が出来るかわからないが、恩には報いたい。
それに『なんでもしてあげる』って、大胆発言までしたのに……
そうよ! 約束は守らないと、なら……私はどうすれば…………
そうだ!
簡単じゃない、ランディに付いていって恩を返せばいいじゃない。
ゆっくりでもいいから、あの大恩を返そう……そうしよう。
そう考えがまとまったら、
「私もランディと一緒に行くわ」
と自然に言葉が出てきた。
「どうせ今の世界じゃ、まともに暮らせないしね。 大丈夫 ランディの食べ物を出す魔法と、 怪我を治す魔法が有ればどこでも生活していけるわよ」
あっ……私、役に立ってないじゃない……あせあせ。
「わ、私も手伝う!」
私の真剣な想いが伝わったのか、キョトンとしていたランディが、凄く優しい顔になり 右手を私に差し出してくれた。
ランディは、
「守れる範囲でなら守るけど、基本は自己責任だからね。だから……覚悟してね」
と言われた。
私は「うん!」と言いながら ランディの右手をそっと掴んだ。
ランディは「しばらくこのままでいて」と恥ずかしくなるセリフを言う……もう、ドキドキするじゃない。
そのまましばらく手を繋いでいたら、辺りが白く霞んでいった。
これが新世界へのジャンプかしら?
きっとそうよね。
新しい人生への旅立ちなのね…………
父さん、母さん、兄さん、めぐみ(妹)
私……もう一度 人生をやり直しても良いかな?
みんなの分も頑張って生きていくね。
だから、いいよね? 未だ家族の所に行かなくても……笑って送ってくれるよね……?
みんな……香織、行って参ります!
序章 完了です これでランディと香織の異世界生活
の準備出来ました。
読んでくれる 物好きな人いるかなぁ
ではまた