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椿とウミウシ
僕は助けを求めるようにすいれんを見る。
すいれんは思いっきり無視をして給食を黙々と食べている。
ベッキーの自己紹介の時の対応から見ても付き合いが長そうだから、この生き物の扱い方を心得ているらしい。
…と、いうことはこれの相手は僕がするのか。
僕はなんかいやな気分になりかけるけど、頭を振ってそれを振り払う。
まだ出会ったばっかり、いかに行動がアレでもそれだけでわかった気になるのはいけない。
実はいい人かもしれないじゃないか。
「えっと…任せろって?」
立派な決意とは裏腹に、恐る恐る聞いてみる。
「あの先輩のことが知りたいんだろう?」
「うん、そうだけど」
「なら俺が教えてやろう」
自信満々に胸をたたく。
「名前は雲田 稲 (うんで いね)
父親は雲田総合病院の院長。要するに、良いとこのお嬢様だな。
全国模試では上位に食い込む。
この学校で一番いいい人間かもしれない。
容姿端麗、頭脳明晰。運動神経も悪いとこはないらしい。」
…うわ、すごい。こんな完璧超人がこの世にいたんだ。