エケべリアとカジカ
僕はあの先輩が気になる。
壇上での凛とした姿。
すらっとしたスタイルに涼やかな声。
「…変わった趣味だな」
…僕も心からそう思う。
あの先輩美人ではあるけどとても変わった人みたいだし。
ほんとなんで気になってるんだろう。
それに、僕ああいう大人っぽい女の人苦手だったはずだったんだけど。
これもお姉ちゃんに色々されたせいかなぁ。
あとお姉ちゃんの友達にも可愛い可愛いなんて可愛がられて居心地悪かったし。
「うん…苦手なタイプのはずなんだけどね。でもなんか気になるんだ」
僕はそのままぽつりと呟いた。
「あの先輩…名前なんて言うのかな」
なんてうっとり遠い目をしていたら…
「げははは、任せてもらおう」
ビクッ!!!
「うひゃっ!」
いきなり真横から声が響いた。
「あー…久慈目君だっけ?」
恐る恐る聞いてみる。
自己紹介がものすごいインパクトがあったから間違えてないはずだけど疑問形。
ちゃんと名前を把握してると思われるのが癪だから。
「そうだ、久慈目 柞 (くじめ いすのき)12歳乙女座。だがエリザベスと呼んでくれ。
長ければベッキーでもいいぞ」
「……はぁ」
なんだろうこの人は。今までに会ったことのないタイプの生き物だ。
「ちなみに好きなタイプの女性は人外だ」
…えっと、ほんとなんだろうこの生き物は。