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サンセベリアとチダイ
目が覚めるとあたりは暗かった。
周りには何もなく、ただ自分の呼吸が聞こえるだけであった。
__!!!
突然波が揺れた。
何事だろうか…。
そんなことを考えてるとある事にふと気づいた。
『息ができている』
状況が変わった。
真っ暗闇の中ただひたすらに自分の体を触ってみる。
もとの形を、原型をとどめてない事だけは言を俟たない。
ゴォォォォォ…
後ろから何か来ていることが分かった。
しかしもう遅かった…
何か大きなものに飲み込まれるようにここでもまた僕の記憶は途切れた。
「__入部希望の緋鯉けいそうです」
ぎくしゃくと先輩の前まで行った僕は、ビシィッと気を付けをして言った。
「ほう、入部希望か」
雲出先輩の整った顔が僕を興味深そうに見る。
そしてそのまま向かいに座った男子生徒に話しかけた。
「物好きな人間がいたな岩魚君」
「ほんとだねー。ちょっとびっくりだよ」
僕は二人の視線にたえられなくて現実逃避に走った。