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投稿テスト

作者: ろーた
掲載日:2013/08/16

この作品は部活動で一度書いたものを元に書き直したです。似たようなのを見た事あるぞ、と思ったらきっとその人だと思っておいてください。

「わ、私と付き合ってくれませんか!?」

「え、うん、別にいいけど……」

こうして俺、杉中司に彼女が出来た。


「……お前さ、もうちょい気のきいた事言えるだろ。何の為にアニメやらを見ているんだ?」

「……いや待て。アニメは関係ないだろ?突然の事に驚いてこんなんしか言えなかったと言っておく」

「そうは言うけどよー……」

親友である北山爽太は納得していないらしい。奴なりに理想のイメージがあるらしい。

「告白されただけでもいいだろうよ……俺なんて……」

まぁ告白はこれが初めてでは無いのだが。

「とにかく、もういいだろ?彼女に呼ばれてるんだよ」

「ノロケか畜生!早く行ってやれ!」

それでも彼女が出来ても親友には優しかった。時折混ぜ込んでくる嫌味以外は。




「すまん、遅れた」

「へ!?ぜ、全然平気!今来たとこだよ!」

長い黒髪、人を惹きつける優しい笑顔。彼女の名前は雛坂桃香。隣のクラスで、先ほどから話に出ていた俺の彼女。

「じゃあ、帰ろっか」

「あぁ、図書館寄っていいか?借りたい本があるんだ」

「あ、じゃあ私も何か借りようかな」

何だか付き合い始めて一週間経つのにそれっぽくない気がしてならない。   

それは先ほども指摘されたが、自分の言動のせいだろうか。


帰り道、彼女は自分が好きなものの話をしてくれる。

「でねでね、その時主人公がね――」

「あぁ、うん……」

桃香の話してるドラマは見ていないので話が分からない。

恥ずかしい話だがこの一週間俺から話を切り出した事は無い。……というかドラマをよく見る桃香とアニメをよく見る自分とではあまり話が合わないのでは、と思い自分の事を話すのが怖いのだ。一か八か昨日見たアニメの話でも――

 不意に隣から並んでいた足音が止む。

「ど、どうした?」

「……司君はさ。私の事、嫌いなのかな」

いきなりだった。告白された時よりも驚いてしまい、つい夢ではないかと疑ってしまった

「そ、そんな事は……」

「そんなこと、あるよ!話,聞いてないじゃん!話は聞いてるけど全部空返事じゃん!なんで?話すのが苦手って訳じゃないでしょ?それとも…」

「い、いや、俺は……」

俺は、何と言うか空っぽだ。感情が無い訳じゃない。ただ、心が普通の感情で満ちない。彼女が笑っているのに可愛いなと思っても嬉しいな、とか、守ってやりたいな、という普通の感情が湧きあがってこない。

自分の事なのにまるで他人事。恋人の事すら他人事。なんて奴だろう。やはり感情が、いや、もう心自体がどこか欠けてしまっているのだろうか。

「……とにかくさ、俺はこんな奴なんだ。実際、こんな調子で一人別れた。

『あんた、人の心ってもんが分かんないの?』ってな。だから――」

もう、別れよう。そう言おうとした時だった。


ぱしん、と頬を叩かれた。


「なんで、そんな事言うの?君が、よりにもよって君がそんなこと言わないでよ!」

彼女が下を向いているので表情も分からず、怒っているのか悲しんでいるのか想像するしかない。だがこれだけは分かる。彼女は泣いている。

「……私さ、昔虐められてたの。それで、よく図書館に引きこもってたの。気味悪がられたりもしたけど、私は誰も来ない奥の方の席で本を読むのが好きだった」

何の話だ、と言おうとして口をつぐむ。いつの間にか彼女は涙を止め、その声色は真剣なものに変っていたからだ。

「しばらくして、ある人が図書館に来るようになったの。その人は特別本が好きな訳でもないのに私と話をする為に来てくれた」

「ま、待て。それって……」

「そのおかげで、今、私はこうして笑ってられるよ。」

彼女は何を思って泣いていたのだろう。悲しみか、怒りか、憎しみか。それとも失望だろうか。


でも。


きっとそれは全部違う。違うのだ。

「そんな人が、人の事が分からないなんて、自分が空っぽだなんて言わないでよ……」



ーー昔の事を思い出していた。


小学校の頃、図書館にいた、皆から隠れるかのように奥の席にいた、名前も知らない彼女。話しかけるたびに、とても楽しそうに笑ってくれた少女。司書さんに引っ越してしまったと聞いて、もう会えないのだろうかと思っていた彼女。


「あれは、君だったのか……」

「うん。君に会えるかもって、わざわざ遠い高校選んだからすごい怒られたんだよ?それで、君を見かけて……告白しちゃた」

「ま、待て。なんで俺だって分かったんだ?」

「んー、雰囲気かな?後は顔つき!」

何と言う適当さ。もし違ったらどうしていたのだろう。

それでも。

何だか、嬉しかった。

きっと俺の事なんて忘れて、元気に暮らしているだろうかと他人事のように勝手に考えていた彼女が自分の事を覚えていてくれたことが。

「ちょ、ちょっと!泣く事ないでしょ?確かに驚かせちゃったかもしれないけど……」

「あ、あれ?」

不意に自分の頬を一筋の雫が伝う。悲しくなんてないのに。自分は空っぽなはずなのに。

「そ、そういうお前も泣いてるじゃねぇか」

「や、やだ、見ないでよ。恥ずかしいよ……」

照れ隠しで言い返したつもりが泣いている彼女を見た途端あの時の桃香を思い出し、涙が止まらなくなってしまった。

向こうも同じなのか、違う理由なのかは分からないが堰を切ったかのように泣き出してしまった。

こんな感じでしばらくの間人目も気にせず(と言っても人目の無い道ではあったが)二人で子供のように泣きあっていた。小さな子供がお互いの再会を喜ぶかのように。


いつの間にか辺りは街灯がつくほど暗くなっていた。

「……帰ろうか。すっかり暗くなっちまったな」

「ま、待って!これだけ言わせて!」

桃香がにらみつけるような、覚悟を決めたような、そんな表情でこちらに向かって来る。

「な、何だ?さっきの事は悪かった、だから――」

「ち、ちーがーうー!私が言いたいのはね、その……」


すう、と。深呼吸をしてから、告げる。


きっとそれは、彼女にとっては数年間秘めていた思いで。


自分にとっては数年前に忘れてしまった感情で。


二人にとってはあの頃の思い出で、きっとこれから忘れられない思い出になるもので。




「私、あなたの事が――」




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