第五十八回『ゆっくり達の基礎から始めた小説講座(後編)』
?「私の下で基礎から始めた面沢君が、今は新しい子に教えてるって聞いた時は嬉しかったわ。私の意思や考えが技術がまた別の子に伝わって、そして続いていく。まるで物語のようにね」
面「……僕は」
?「クロウリー君も嬉しかったわよ、今の流行り物や商品価値にだけ特化した作品を集めているのも私のした事は間違ってないって事を言いたいんでしょう。先生はちゃんとわかってるんだから」
ク「……別に金になるからやってるだけです」
?「ここまでしてくれるなんて、二人とも私にはもったいないくらいの教え子よ。でもね、面沢君は私にこだわるあまりに自分の考えを捨ててしまった。クロウリー君は自分の考え以外を捨ててしまった。それはちょっと私が辛いかな」
面ク「…………」
?「他人の事と自分のやりたい事や夢を混同しちゃ駄目よ。それとアッシュちゃんにもっと優しくしてあげて、彼女も私に付きあって立ち止まる必要なんてないわ」
さん
にぃ
いち
サ「まぁ、とてもゆっくりしている状況じゃないですが」
ア「じゃあ何で入れたんだよ」
サ「ずっとこれでやってきたんだから、入れないと始まった気がしないじゃないですか! それとシリアス分が貯まりすぎるとサヴァ子は爆発しちゃう体質なもので」
ア「もうお前死んじゃえよ!」
サ「その台詞はご主人に言ってやりたいですね! あの眼鏡め、人に偉そうに『楽しく書かないと駄目だ』とか言っておいて。結局のところ、その先生とやらに対する使命感だか罪悪感が半分で言ってたって事じゃないですか!」
ア「アイツの事だから本気で言ってはいたのだろうけど……そういう側面もあっただろうな」
サ「あー気に入らない! サヴァ子は気に入らないなー!! こういうのはもっとこう頭を空っぽにしてナンボじゃないですか。楽しむために考えるなんて、格ゲーじゃあるまいし。そもそもサヴァ子は格ゲーをやるにしてもフレーム(※1)がどうのとか反確(※2)がどうのとかうっとうしいんですよ!」
ア「何を怒ってるんだ」
サ「まぁ、そういうのはいいです。で、アッシュさんのお兄さんは先生のやった事ってか、決断はこんなにも溢れてるんだぞって意地になってそういう作品を書いたり集めたりしてるんでしょ。馬鹿かっつーの」
ア「あまり仲の良い兄妹だとは自分でも思ってはいるけど、そうまで言われると清々しいな」
サ「だいたいですね、前々からおかしいとは思ってたんですよ。『全ての作品を愛せ』とか言ってるわりには『独創的な』とか言って既存の流行には否定的でしたからね。しかしまぁ、そういう背景があったとはね」
ア「質問いいか?」
サ「何です?」
ア「普通はそういう個人の過去を知ったら納得するとか、思うところあるとか。今のように怒る要素はないんじゃないか」
サ「そりゃご主人にも事情があったのでしょうし、その当時は辛かったのだろうと思います。今も辛いのかもしれません。でも、ご主人がどう思ってるかとか、考えてるかはどうでもいいんです。サヴァ子がどう感じるかが重要で、サヴァ子はムカついてるんです」
ア「お、おう」
サ「アッシュさんは当時に何か思う事は無かったんですか?」
ア「無かった……とは言い切れないな。先生の気持ちも何となくわかるし、二人の気持ちもわかる。何が正しいとか、そういうのってきっと無いのだろうけど。でも、だからどうしていいかわからなくなってさ。それから先生と同じで何か書く気になれなくなったんだ」
サ「へー、なるほどなー。わかった、アッシュさんも後でブッとばす」
ア「なしてさ!!」
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?「さて、もう話はおしまいかな。クロウリー君もお仕事の話はもういいってわかったでしょう」
ク「そうですね、何を言っても先生に筆をとってもらえそうにありません」
?「折角だからお茶でも飲んでいきなさい。クロウリー君のお仕事の話とか、面沢君の教え子の話とか聞きたいし」
ク「俺の仕事の話は面白くないですよ」
?「そう言わないで、あなた達の話を聞きたいのよ。それじゃ、面沢君の話から聞こうかしら」
面「それじゃあ……サヴァ子っていうんですけど。そうですね、昔の僕と比べても覚えはあまりよくないですし、昔の僕よりも生意気ですよ」
?「へぇ、手がかかりそうで可愛いじゃない。いつか会ってみたいわ」
面「いえ、覚えは悪いし、それにとんでもなく生意気だけど素直ですよ。僕の教えた事は素直に聞いてくれますし。教えてる内容のたびに僕も昔に勉強したよなって懐かしくなります。僕も先生の下で基礎から始めたんですからね」
?「そう、誰だって最初は基礎から。最初から上手く書ける人なんていない。その子は楽しんで書けてる?」
面「ええ、僕の見た限りではとんでもなく楽しんで書いてます」
?「面沢君は楽しんで書いてる」
面「ええ、勿論で……」
サ「ご主人ーーーーーー!!!」
面「サヴァ子、どうしてここに!?」
面「ウヴォアー!」
?「えっ、この子がさっき言ってたサヴァ子ちゃん?」
ク「アッシュが言ってた!?」
サ「お前がクロウリーか! くらえーーー!!」
ク「カメェーー!!」
?「えっ、どうして面沢君とクロウリー君が殴られてるの「!?」
サ「残るはお前が名前は知らんが先生だな!」
?「えっ、ちょっと……キャアアアア!!」
ア「次回、最終回です」
続く!!
※1 1秒に対する操作不能時間や、操作受付時間の単位。上級者達ならともかく初中級者は気にしなくもいい。初中級者あたりが気にするのは聞いていて正直鬱陶しく思う。
※2 反撃確定の略称。大技を防御されるて操作できない間に反撃を受けるという状況。




