第五十五回『多視点で理詰めにキャラクターを創る』
さん
にぃ
いち
面「こんにちは、講師の面沢銀です」
サ「こんにちは、助手というか生徒のサヴァ子です。今回は……何ですこれ? 科学の実験でキャラクターを創るって事ですか?」
面「違う、そうじゃない。これは前回にやった受けるキャラクターや設定のテンプレートを踏襲したうえで、物語に沿ったキャラクターを創るという事なんだ」
サ「以前と前回の総括というところですね、確かに説明はしたものの具体的にはどうすればとサヴァ子も思っていました」
面「とりあえず、自分で考えてみてごらん」
面「はええなオイ」
サ「理屈や理論だけじゃわからない事だってあります。まず、やってみせてください」
面「やってみせてって……サヴァ子が書く作品じゃないか。僕が口出す気はないよ」
サ「うぅん、ヒントをください!!」
面「いいかい、自分が書きたい物。それを踏まえた上で書きたい物を読んでもらいたい層を考えて、その二つが合致するような作品に仕上げるんだ」
サ「うぅんと……サヴァ子は宇宙SF物が書きたくて、主人公のオッサンは読者層に合わないと……。じゃあ、いっそイケメンにするか? そんなイケメンをサヴァ子が書けるはずもないわけで」
面「その通り、自分の手に余るキャラクターにしては書ききれなくなってしまうからね。でも、それは気に病む事じゃない。自分の実力が上がれば書けるようになっていくものだよ」
サ「と、励まされたものの……。うーん、よくよく考えれば思春期の男の子の心情なんてサヴァ子はよくわからないですね。アイツら出てくる少女に萌え狂ってるようにしか思えません」
面「酷い偏見を見た」
サ「ハーレム物SF? そんなのサヴァ子は書いてて楽しくないなぁ、どうせ最後はメインヒロンとくっ付くんだろって思うとどうにも冷めてしまって……」
面「スタァァァァァップ!!」(※1)
サ「うーん、思春期少年の気持ちがわからないのにキャッチーな主人公なんて書けるはずもないですね……どうしようご主人、手詰まりです。これがアイディアが詰まるって事なんですね!」
面「何でちょっと嬉しそうなのかわからないけど……そういう時は、発想を変えてみるんだ」
サ「え、そういうのってアリなんですか?」
面「アリだよ、創作の世界には無いっていう選択肢が無い
自分にとっての欠点だって、未熟な部分だって、見方を変えれば武器になりえるんだ。別に少年向けだからといって主人公を男子にする必要は無いんだからね。そういう作品だって多くあるだろう」
サ「確かにそうですね、サヴァ子は一つにこだわり過ぎていたのかもしれません」
面「女の子にしたとしてどうする?」
サ「そうですね……。主人公を女の子にしたとしても女の子っぽい子はいやですね。男勝りってのも何か女の子の設定が活きませんね。女の子だけだけどどこかサバサバしてるような……可愛くも逞しく書きたいですね」
面「それなら前に決めた宇宙の何でも屋の設定が活きるしいいんじゃないかな、そしたら主人公を取り巻く環境とかはどうなのかな?」
サ「特攻野郎(※2)ばりに無茶苦茶な仲間と一緒に冒険する感じですね。宇宙風来少女活劇、的な!」
面「かなり具体的になってきたじゃないか、彼女の名前は何ていうんだい?」
サ「うーん……ジョニーですかね?」
面「うん? 女の子だよね?」
サ「そう、女の子です。だから意外性があっていいかなと思って!」
面「確かに、ビクッとしたしそれでいいんじゃないかな」
サ「サヴァ子は恋愛とか絶対に書けそうにないので、仲間は全員女の子にしよう。その方が中高生も喜ぶ!」
面「そうそう、読者層を考えるとはそういう事だよ」
サ「うおーー、燃えてきたー!」
面「それじゃ、主人公のイメージが決まったところで。秘伝のシナリオ作成術を伝授しよう!」
サ「おおっ、次回でついにサヴァ子も免許皆伝か!!」
面サ「「次回までゆっくりしていってね!!」」
ア「――――彼女はどうしてあんな事を言ったんだろうね?」
ク「……疲れたからさ」
ア「何で、好きで始めた事だろう!!」
ク「読む側と書く側、その気持ちが常に一緒ってわけじゃない。楽しんでいた事が楽しくなった時、それはただの苦痛でしかないんだよ」
ア「だからって!!」
ク「アッシュ、本当はお前もわかっているんだろう。だから俺を否定しないし、面沢を受け入れもしない。自分は中立なままでいる。そうだろう?」
ア「!?」
ク「面沢は彼女の影を追った、俺は彼女を否定して別の道を行った、お前はその場で立ち止まった。彼女は悪くなく、結果として彼女追い込んだ連中も悪いわけじゃない。面沢は悪くなく、お前も悪いわけじゃない。俺は……俺は褒められる事はないだろうが、貶されるいわれもないといったところか」
ア「兄貴も……兄貴も悪くない。悪いはずなんてない!」
ク「――――その言葉を誰かから聞きたかったのかもしれないな」
ア「兄貴、私は!」
ク「行こう、アッシュ」
ア「……どこへ?」
ク「日本、彼女と面沢のところへ」
続く!!!
※1 オブリビオンというRPGで犯罪行為を行うと衛兵がどこからとともなく現れて「スタァァァアップ!!」と止めにかかります。
※2 80年代のアメリカドラマ、飛行機だけは勘弁な!




