第五十三回『テーマを活かせる世界観を創る、調整する』
さん
にぃ
いち
面「こんにちは、講師の面沢銀です」
サ「こんにちは、助手というか生徒のサヴァ子です。今回は宇宙ユニバーさる……長いわ!」
面「自分の作品に何て言い草だよ! 今回から第十四回でサヴァ子が書いた第十四回『宇宙! ユニバーサルサムライ THE コマンドー黙示録』を改編して
全く別の作品にしよう
と思います」
サ「とはいえ、せっかくなのでサヴァ子は例え人気が無かろうともSFが書きたいです。異世界に迷い込んだと言いつつ、ファンタジーではなく大宇宙にするとかですか?」
面「いや、せっかく宇宙のSFを書こうとしているのに水を差すつもりは無いよ。書きたいジャンルを書いていこうぜ!」
サ「ほえー、しかしSFは取っ付きにくい上に現状としては人気があまり無いとご主人もおっしゃっていたではないですか」
面「今回から、そういうとっつき難いジャンルに少しでもとっつきやすく、興味を持ってもらえるように設定を煮詰めるという考えを学んでもらおうと思う。この辺から何かの賞を意識してる人には重要な部分になるんじゃないかな」
サ「そうなのですか?」
面「その辺は説明しながらだね。さて、サヴァ子。まず最初の設定からおさらいしていこう。主人公はとにかく悪者と戦うという設定にしたよね。これを突き詰めて考えられるかい?」
サ「突き詰めて考えるという事はどういう事ですか?」
面「実際に書いた物は短編だったからあやふやにあってしまったけど、侵略者にだって理由がある。例えば食料だったり労働力だったり。いっそただ何かの命を奪う邪悪な存在であったりとかね」
サ「あの時のサヴァ子はとにかく悪者と考えていましたが、確かに悪者には悪者の都合や考えがありますからね。うーん、そう言われてみると本当に考え無しに勢いで書いていたんだなぁ」
面「でも、書いてて楽しかったろ?」
サ「すっげぇ楽しかった!」
面「その気持ちを忘れずに世界を変えていくんだ、楽しんでより良い物にする。それがベストさ、いずれ考えるのも楽しくなってくる」
サ「サヴァ子は今も十分に楽しいですよ。それにしても……うぅむ。サヴァ子の今の頭では単純な侵略者というイメージしか浮かびませんね。それにこの悪者はどっから来たんだ?」
面「そんなの僕が知るかよ、ちゃんと考えろ」
サ「うーん……いっそ悪者の侵略者は無かった事にしようかな? いや、それはいけないか……」
面「どうしていけないんだい?」
サ「え、いいの!?」
面「自分が処理できないレベルの設定を無理に動かしてもエターナるからね。先入観めいた前提は捨てるというのも選択の一つだよ。サヴァ子は侵略者と戦う物を書きたいというのなら話は別だけど」
サ「そういうのにこだわりは無いんで、捨てます」
面「その潔さ(※1)は僕も見習う所があるね」
サ「うーん……SFでロボットが出てくる奴がいいというイメージはあるんですよね。で、できればバトルがしたいです。ご主人煮詰まったよ! 助けてー!」
面「潔すぎやしないか!? やりたい事が決まっているなら
書きたいテーマを活かせる設定にしていく
といいよ。テーマと世界観を合わせる。これもやった事だろう」
サ「なるほど、全ては基本に繋がりますね! サンキュー、ミヤギさん(※2)!」
面「誰がミヤギさんか!」
サ「テーマは書いた奴と同じで生きる辛さと逞しさにしようと思います」
面「一応アレにもテーマがあったのか!!」
サ「侵略者と戦うってなると規模が大きすぎてサヴァ子には書ききれないっぽいんで……。軍隊とか出さないとなると傭兵……。なんか話が暗くなりそうだから『なんでも屋』にしようかな。そうすればギャグエピソードとかも挟めそうだし」
面「いいじゃないか、労働の辛さがそのまま生きる事の辛さになるな!」
サ「……ご主人、何か嫌な事でもあったんですか?」
面「嫌な事が無い日なんてないよ?」
サ「やめろ!! そんなアンニュイな台詞を真顔で言うな!!」
面「宇宙の何でも屋っていうのは設定的にも良いんじゃないかな。話を大きくも小さくもできるしね」
サ「初心者に作りやすい世界感ってのはあるんですね」
面「その通り、コントロールしきれる広さの世界感を創る、調整するというのも書き出す前の重要な要素なんだよ。それじゃあ以前の流れのように次は主人公をさらに深く考えていこうか」
面サ「「それでは次回までゆっくりしていってね!!」」
ク「おかえりアッシュ、銀に合えなくて残念だったね」
ア「別に……あいたいわけじゃないさ」
ク「そうだろう、直接合う事を避けてるんだからな」
ア「……クソ兄貴」
ク「相変わらずだったよ」
ア「だろうね」
ク「……話してみたよ」
ア「どうせ断ったんだろ?」
ク「その通りだよ、生徒ってのはどうだった?」
ア「面白い奴だった。――――本当にな」
ク「お前がそう言うならそうなんだろうな、ところで、彼女には会えたか?」
ア「――――ああ、本当の目的は果たしたよ」
※1 前回の煮詰めずに勢いだけで書く以上に、練っていたアイディアを全てブチ込むというのも初心者にありがちな危険な要素です。まとまりが無い世界感になるだけならまだしも、広がりすぎて処理できないという事にもなりかねません。
上手く使える物を抜粋し、使えなかった部分は次作に持ち越すなど臨機応変にね。
※2 映画ベストキッドの空手の師匠。ミヤギさん役を演じるのは名優モリワキ・パット・モリタ。
少し前にジャッキー・チェンが師匠役でリメイクされ、空手ではなくカンフーを習う作品になった。原題は変わらずにカラテキッド。海外の人は拳法であれば空手でもカンフーでも何でも良いようだ。




