第五十一回『文末表現を意識してみよう 敬体・体言止め編』
さん
にぃ
いち
面「こんにちは、講師の面沢銀です」
サ「こんにちは、助手というか生徒のサヴァ子です。今回も文末表現なんですね」
面「そうだね。そして今回で基礎技術に関しての説明は終わりかなと思ってる」
サ「それでは今回の最後でサヴァ子がご主人をブチ殺して免許皆伝になるわけですね!!」
面「どうしてお前はそういつもいつも例えが物騒なんだよ!!」
サ「ありゃ、違った? 一子相伝の技だとばかり」
面「どこの世紀末神拳(※1)だよ……」
サ「とはいえ、五十回を迎えて感慨深いものがありますね。それで最後の授業はまた文末表現なのですね」
面「別に最後の授業じゃないからな……。ともあれ、話を進めると文末表現の補足みたいなものだよ」
サ「敬体と体言止めとありますが、これはどのような表現なのですか?」
面「敬体というのは「~です」「~ます」といった語りかけるような表現の事を指すよ、体言止めというのは前回の僕の作った例文のような「爆発」「轟音」といった名詞で言い切ってしまう事を言う」
サ「地の底の太陽」(ボソリ)
面「いい加減にもう勘弁してくれよ!」
サ「サヴァ子は美味い物が食いてぇ!!」
面「面倒臭い性格じゃないからいいけど、お前は陰険なんだか、単純なんだかわからねぇな!」
サ「失礼な! サヴァ子は陰険でも単純でもありません、ただ性格がヒネ曲がってるだけです!!」
面「いっそオーバーホールして駄目な部分を総取っ替えしてこいよ!」
サ「残念ながらサヴァ子のココロパーツは生産中止しちゃってるんですよ!」
面「電話持ってこい! 電話帳の上から順に問い合わせてやる!」
サ「……と、これらのやり取りは体言止めなのですか?」
面「名詞で区切っていないから厳密には体言止めではないよ。勢いを重視するという意味では効果のニュアンスとしては同じだけれどもね。けれどこれが地の文章だと印象が変わってくる」
サ「確かに状況の説明などがこのノリでは勢いはありますが疲れますね。まるで実況動画を文章に起こしているかのようです」
面「体言止めや感嘆符などを多様する事で勢いが出たり、特殊な表現を用いなくても読者に作者の意思表示を表す事ができるから便利ではあるのだけど、サヴァ子が今言ったように表現んが強くなりすぎて肩が凝ってしまうし、作品そのものの雰囲気を軽くしてしまったり、雰囲気そのものを壊してしまうからやりすぎに注意しよう」
サ「戦闘シーンなんかは、体言止めで書くと勢いや迫力があって良さそうですね!」
面「そうだね、逆に敬体は勢いを削いだりして、雰囲気を丸くするのに役に立つよ。丁寧語と合わせる事によって体言止めと違ったベクトルで、文章技術を使う事なく読者に作者の意思表示をする事ができるんだ」
サ「例えばどんな感じにですか?」
結局――――。
僕はサヴァ子との口論に勝つ事はできませんでした。
このままなし崩しに僕は悪者にされてしまい、彼女の最初の要求である美味しい物をご馳走する事になるのでしょう。
これを読んでいる方にお願いです。
どうか、彼女―――――サヴァ子に口論で勝ち「ごめんなさい」と言わせてください。
それだけが僕の願いです。(※2)
面「こんな感じに」
サ「なるほど、わかりました。ところで結局のところ体言止めの例文ってどのような物があるのですか?」
面「根性のひん曲がったサヴァ子は天罰が下り、雷に打たれしめやかに爆発四散!みたいな」
サ「いろいろ言いてぇ事はありますが、よくわかりました」
面「ちなみに絵本なんかはこの敬体で文章が書かれる事が多い。それだけ優しい文章表現なんだね」
サ「一つも優しくねぇ、クソムシ野郎がサヴァ子の目の前にいるわけですが」
面「それでは区切りもついたところで、僕の奢りでケーキバイクング(※3)にでも行こうか」
サ「わぁ~~♪ ご主人ってば超優しくてだ~い好き! さぁ、早く行きませう!」
面(あざとさ余ってムカつくな)
面サ「「それでは次回までゆっくりしていってね!!」」
※1 北斗神拳は一子相伝と言われながらも、なんだかんだで使い手が四人も野に放たれていました。ちなみに昨今では北斗三兄弟と呼ばれるそうです。長男のラオウ、次男のトキ、三男のケンシロウ。あれっ、ジャギは!?
※2 同人ゲーム「ひぐらしの鳴く頃に」の物語の締めの文章のパロディーです。衝撃的な内容、読者に解決を促すスタイルは大変センセーショナルなものでした。
ちなみに面沢はこの作品の事は好きでも嫌いでもありませんが、生理的に受け付ける事ができません。
※3 時間制限こそあるもののケーキ食べ放題という夢のようなシステム。行ったら行ったで三個も食べたら胸焼けしそうです。




