第四十六回『語彙力について』
さん
にぃ
いち
面「こんにちは、講師の面沢銀です」
サ「こんにちは、助手というか生徒のサヴァ子です。なんか聞きなれない言葉からスタートですね。さすが中級者向け!」
面「中級者向けに入ったけど、ここの辺は中級者に入りたてだからね。初心者からやっと脱出しただけでまだ中級者というわけではないのだからね。さて、それでは今回は語彙力の話です」
サ「中級者四天王なら面汚しポジションの実力ってわけですね」(※1)
面「その例えは、微妙に解りづらいな……」
サ「で、この語彙力って何ですか?」
面「単純に説明すると多くの言葉を状況に応じて使い分ける力という事になる」
サ「俺の言葉のバリエーションは百八まであるぞ!(※2)的な事ですか?」
面「その例えも、微妙に解りづらいな! でも、内容は合ってる」
サ「合ってるのかよ!?」
面「この説明だけではどういう事なのかわからないだろうから、例をあげるよ」
例
「晶ちゃんおなかすいたにゃ~」
豊原は来宮の腕を取ると、まるで恋人のように絡め、頬がくっついてしまうほど顔を寄せて言った。
「ちょっと松子! 近い、近いって!」
豊原の突然の行動に不意をつかれ、来宮は大きな声で言ったが、来宮の言った言葉など気にとめる事など無く豊原は言う。
「あそこに喫茶店があるよ晶ちゃん!」
満面の笑みを浮かべながら言う豊原の様子に、来宮はしかたなく言った。
「はいはい、わかったわよ。もう、しょうがないわねぇ」
サ「┌(┌ ^o^)┐ レズゥ・・・」(※3)
面「せめて百合って言ってくれよ! 二人の元ネタが気になる人は、僕の作品の一つ『U・N・オーエンの告白』をよろしくね!」
サ「レズで釣ってホラー小説に誘導するとか、ご主人ってば酷いですね。おまけに二人が登場するのは二部からだというのに」
面「そんな事よりも、例文で気になる事はないかい?」
サ「う~ん、最初に気がつくのは『言う』って言葉を使いすぎじゃないですか?」
面「その通り『言う』って言葉が多く使われていしまっていて文章が短調になってしまっているね。『言う』という言葉以外にも表現はたくさんある。いろいろな表現を使う事によって文章がワンパターンにならないようにしよう」
例
「晶ちゃんおなかすいたにゃ~」
豊原は来宮の腕を取ると、まるで恋人のように絡め、頬がくっついてしまうほど顔を寄せて猫撫で声を上げた
「ちょっと松子! 近い、近いって!」
豊原の突然の行動に不意をつかれ、来宮は悲鳴に近い声をあげたが、来宮の様子など気にとめる事など無く豊原は変わらぬ調子で続ける。
「あそこに喫茶店があるよ晶ちゃん!」
満面の笑みを浮かべながら、聞く耳を持つつもりのない豊原の様子に、来宮はしかたなく頷いた。
「はいはい、わかったわよ。もう、しょうがないわねぇ」
サ「おお!『言う』という言葉が無くなっても文章を続けられるもんですね」
面「表現が多くなっているぶん、二人の言葉だけでなく、その様子や行動も想像しやすくなっているだろう。これが適切な状況に適切な言葉を入れるということ、すなわち」
サ「語彙力!」
面「よくできました、ちなみにあえて舌足らずな表現を残しているから自信がある人は適切な言葉にすげかえてみよう」
サ「しかしながらご主人、語彙力はわかったのですが。これはどうやって成長させればいいのでしょうか?」
面「こればかりは日々の勉強としか言えないのだけど、勉強せずともある程度使えるようになる秘密のアイテムがある!」
サ「そんな秘密道具めいたアイテムがあるのですか!」
面「文章を書くという人は必携のアイテム、感の良い人はもう気がついてるよね! それはッ!!」
サ「それは!!?」
面「次回に続く!」
サ「ズコーーー!」
面「なんか芸が古いな!!」
面サ「それでは次回までゆっくりしていってね!!」」
※1 四天王で一番最初にやられる奴は決まっているかのように言われます。だいたいパワータイプが多い傾向にあります。
四天王は基本的に仲が悪いという不文律があるようで、それを壊そうと始めたのが自作の「クロブチメガネ!」だったりします。
※2 テニスの王子様に登場する石田の持つ波動球バリエーションの数。河村の編み出したダッシュ波動球を波動球一式で難なく返し、その後も二式、三式と数字をあげるように破壊力が増し、河村をコートに這い蹲らせる。そんな河村を見下ろしながら「波動球は百八式まであるぞ」と石田は言い放ち、その絶望的な実力差を読者に知らしめた。ちなみに試合は二十三式波動球において河村が客席まで吹き飛び、衝撃で爆発まで起こしたが、いろいろあって石田の腕が折れて決着。言い忘れたがテニスの漫画である。
昨今、ついに百八式波動球が放たれたがその威力は屋外照明を根元からへし折るほどの威力だった、言い忘れたかもしれないからもう一度言っておくがテニスの漫画である。
※3 ホモォというtwitter生まれのゆるキャラモドキ。腐女子の生態を自虐的に表現したというだけのキャラクターだったのだが、ホモセクシャルの人を馬鹿にしているといった見当違いの指摘を受けて製作者は謝罪までした。どのジャンルにおいてもそうだがユーモアセンスの無い人間の指摘と、世間を気にしての自粛により、表現という物はどんどん面白くなくなっていく。




