第四十二回『……と――の使い所を知ろう』
さん
にぃ
いち
ア「こんにちは、講師のアッシュです。何か甘い物でも食べに行こうぜ」
サ「こんにちは、生徒のサヴァ子です。やったー! でも、急にどうして?」
ア「そんなもんお前、お菓子やスィーツは乙女の燃料だろ? 小難しい話が続いたから私も少しくたびれたんだよ」
サ「お、おう」
ア「どういう意味があるんだ、お前のその味わいのある表情は。奢ってやろうかと思ったが、不満があるなら連れっててやらんぞ?」
サ「さぁ、早く行きましょうアッシュ様!」
ア「途端に様付けかよ……。まぁ、いいけどさ」
――――――女教師、女生徒移動中。
サ「質問があるんですがいいですか?」
ア「答えられる範囲ならいいぞ」
サ「ご主人とアッシュさんってどういう関係なんですか?」
ア「答えられる範囲外」
サ「…………そうですか」
ア「…………」
サ「――――なら、この『……』と『――』の違いって何なんですか?」
ア「記号的な違いは無いよ、用途としてはこれまでの会話のように『言葉に詰まる様子』『余韻』『沈黙』『ためらい』『低い部分での言葉の抑揚』『場面転換』という意味が文章ではあるな」
サ「じゃあ、感覚で使っていいんですか?」
ア「実際、作者毎の感覚やセンス、キャラクターや状況によっていろいろ使われるからな。一概にこうだという基準は無い。とはいえそれで説明を丸投げするのも何だからな。私の基準をちょっと話すか。それじゃ、再現VTRスタート」
私の『……』『――』の使い分け基準。
『……』は会話の中や、心理描写の中で言葉に詰まったり、低めのテンションになった場合、次の言葉までの長い間がある時などに使います。
『――』は会話において、詰まっていた言葉を発する場合や、イントネーションを変えない状況で言葉が切れる場合、三人称での時間経過など、主に文章の演出に使います。
(使用用途は個人の感想と基準です)
例「途端に様付けかよ……。まぁ、いいけどさ」
ア「この場合は私のサヴァ子に対して呆れた様子を『……』で表現しているわけだ。
例 ――――――女教師、女生徒移動中。
ア「これは二人が移動している様子、時間の経過を『――』を多く使用する事によって省略して表現している。これは少なくても時間の経過が伝わり難いし、逆に多すぎても表現がクドくなるのでほどほどに。このように多く使う場合も偶数使用のルールを忘れるなよ」
例「…………そうですか」
ア「これは『立ち入った事を聞きすぎた』というサヴァ子の心情を上のように『……』を使う事によって表している。前の会話で私が怒るでもなく、淡々と返している事に対しての間だな。話はずれるが、サヴァ子は心情的に悪い事をしたと思っているが、立ち入らせまいというアッシュの心情を察している事にも気がついていて、アッシュもサヴァ子の質問に対して何も思わないようにしている受け答えだから、サヴァ子は「ごめんなさい」とは言えずにさらに言葉に詰まるという複雑な状況だ」
例「――――なら、この『……』と『――』の違いって何なんですか?」
ア「そんなわけで、なんとかフラットな話題を変えて会話を続けようと、詰まっていた言葉を吐き出すための間だから『……』ではなく『――』で表記しているわけだな。これでサヴァ子が落ち込んでいたり、悲しんでいたりして詰まっていた場合では『……』になっていただろうね。重ねていうけど、これは個人の感覚や基準にゆだねられている。けど、自分の中で|『……』『――』の使い分けを一定の基準で決めておかないと。統一感が無くなって文章の演出が機能しなくなるから気をつけろよ。
サ「なるほど、VTRになかった『――』を使った言葉をと切らせるってどういう事ですか」
ア「アイツの話――――は、今は関係ないだろ。みたいに、感情の起伏はなく、それでいて言葉に詰まっている感じを出したい時だな。思考が停止しての間みたいな物の演出に使っている。」
サ「基準を伺ってみると『ご主人の話……は、今は関係ないです』だと思考停止というより、少し動揺している印象を与えますね。でも、これって説明しないとわからないんじゃないですか?」
ア「そうでもない。読者は文章を通じて無意識に作者の癖を読み取るもんだ、地味だけどこういった文章の演出は効いてくるもんだよ。だから、さっきも言ったけど使用基準の統一性が大事だぞ。ま、これは最初から意識しすぎると書いててわけがわからなくなるからな。初心者は『……』だけを使うといい、他の記号演出は慣れてからだな」
サ「そういえば記号意外にも顔文字とかってどうなんですか?」
ア「あー、アレな。くっだらねぇ話になるから食いながら話すよ」
サ「やったーーー! 甘い物だーーー!!」
サア「「次回までゆっくりしていってね!!」」
面「僕だって今の状況を良いとは思ってない」
?「でも、仕方が無いとは思ってる。出来ないのはプライドか? それともあの人の言葉のせいか?」
面「どちらもだろうね、だからこそ君はそれでも僕がこの状況に不満が無いという事にも気がついているんだろ?」
?「話は平行線だな、前と変わらずか」
面「打算でやりたくもない事をして評価されるのと、やりたい事をやって埋もれる事を天秤にかけたらどっちを取るか。この答えが二人は違うのだからそれも変わらないよ」
?「別に俺はやりたくない事をしているわけじゃない」
面「それも知ってる。だから、君に口出ししない。かわりに手を貸さない」
?「彼女は何て言うだろうな?」
面「――――きっと、前と変わらない事を言うよ」
続く!!




