第三十八回『数字は統一して書こう 後編』
さん
にぃ
いち
ア「こんにちは、講師のアッシュです。今回も数字の話です」
サ「こんにちは、生徒のサヴァ子です。いやいやいやいや、そんな事よりご主人がどうしてアメリカに行っちゃったのか教えてくださいよ」
ア「細かい事を気にしてるんじゃないですか?」
サ「えっ?」
ア「そうやって言い訳を用意して逃げてるんじゃないですか? 諦めようとしているんじゃないですか?」
サ「はい?」
ア「諦めるなよ!! 諦めるなお前!! どうしてやめるんだ!! そこで!! もう少し頑張ってみろよ!! 駄目駄目駄目駄目諦めたら!! 周りのこと思えよ!! 応援してくれてる人達のこと思ってみろって!!! あともうちょっとの所なんだから!! 俺だってこのマイナス十度の所!! シジミが取れるって頑張ってるんだよ!! ずっとやってみろ!! 必ず目標達成できる!! だからこそ!! 」
サ「お、お、お、おおっ!?」
ア「Never Give Up!!!」
サ「……ワカリマシタ、ジュギョウヲ、ハジメマショウ」
ア(やっぱり松岡修造の洗脳力(※1)はすごいな)
ア 「それじゃあ授業を始めよう、数字の話だけどな」
サ「基本的に漢数字を使うというお話でしたね。それで、何やら例外があるという話でしたが」
ア「まず基本的な例外という事で、固有名称が算用数字の物は算用数字を用いる。そうでないと意味不明になりかねないからな」
例 男は懐から44マグナム(※2)を取り出した。
サ「相変わらず例が独特というか、ぶっ飛んでますね」
ア「ん、レオパルド2(※3)を引き合いに出した方が良かったか?」
サ「何だろう……一周回っていっそ女子力(※4)が高いように感じます」
ア「私の女子力はどうでもいいよ。言ってる事はわかったか?」
サ「算用数字が名称に入っている物はいかんって事ですよね。『四十四マグナム』にせよ『レオパルド二』にしても何か違うような物に感じますね」
ア「それが例外の一つだね。あとは……アイツみたいな事だから私の口からは言いたくないんだけどね。作品の雰囲気とか前後の流れからあえて使う事もあるんだよ」
サ「つまりどういう事ですか? ふわっとしている解説がアッシュさんと思えないです。まるでご主人のような……」
ア「アイツは関係ないだろ!!」
サ「いや、今回は関係ありますよ……カラッとしてるようでって意外と面倒くさい人ですね!!」
ア「例えば現代っ子の女子校生の日記を表現するシーンがあったとする。こんな文章を書く人だと思ってくれ」
例文
「今日学 木交 τ″ イ憂 孑 レニ ぉ 弁当を ゎ レナ τもらっ ナニ 、卵 火尭 、キ カゞ 走召 美 ロ未 ι カゝ っ ナニ 。」(※4)
サ「何て書いてあるんだよ!?」
ア「これが新時代の日本語だ! そのうちこういう文章にも触れるとして、こういう文章を書く人の日記の日付の表記が『一月一日』みたいに杓子定規に書くと思うか?」
サ「思いませんね。むしろここまでぶっ壊れているとまともに「1月1日」なんて書いているかも怪しいところですけど」
ア「そんな感じでキャラクターによって不自然だったり、SF作品の解説シーンで「エネルギー充填、百二十%」とかも雰囲気が変になるだろ?」
サ「むしろSFの例だけで理解できましたが……。前後の雰囲気にあわせて算用数字を使っても良いって事ですよね?」
ア「まぁ、そうなんだけど。最初の頃はその匙加減もわからないだろうし。慣れるまでは漢数字を出来るだけ使って慣れるようにした方がいいぞ」
サ「ルールとしてはそうですからね。ちゃんと覚えていかないと、ですね。にしても本当にあの例文は何と書いてあるんですか?」
ア「読めないのか?」
サ「普通は読めないと思いますけど……?」
ア「ふっふっふ! どうだ私の女子力は高いだろう!!」
サ「それで女子力が高いかどうかはわからないと思うのですが……。って、もしかして私が言った事を気にしてたんですか!? 本当に可愛いなアンタ!」
ア「う、うるせーーー!!!」
サア「「それでは次回までゆっくりしていってね!!」」
※1 尋常ならざるテニスプレイーヤー。口調も言葉のチョイスも勢いもやたらと熱い。具体的に何を言いたいのかよくわからない事が多いのだが、その勢いのせいか不思議と納得し、謎の感動を受ける。通称、洗脳。
※2 銃の一種、大口径で破壊力重点。映画『ダーティー・ハリー』で主人公が使用していた事から、わりと知名度の高い銃である。
※3 戦車の一種。西ドイツで使われていいた。ゲーム「Sa・Ga2」では攻守共に優れた武器として登場する。
※4 今日学校で優子にお弁当をわけてもらった、卵焼きが超美味しかった。と書かれている。読めるからといって女子力は高くない。




