第三十八回『数字は統一して書こう 前編』
さん
にぃ
いち
ア「こんにちは、講師のアッシュです。今回は数字の話です」
サ「こんにちは、生徒のサヴァ子です。数字の話ですか? サヴァ子は数字には強いんですよ!」
ア「そういう事じゃない。小説だっていうのに計算する事はないだろう。というか、お前さんは数字には強いのか? ちょっと意外だ」
サ「デデキントの切断!(※1) とはいえ小説を書くにあたって数字の計算が不必要とは最もな話です。でも、それでは数字って何の話なんですか?」
ア「なんとなーく、お前が別に数字に強くないのはわかった。話を戻すからな、数字といっても漢数字と算用数字の話だよ」
サ「つまり『一』と『1』みたいな事ですか?」
ア「その通り、これを最初に強く言ってしまうと変な先入観を持たれそうなのだけど。基本的に算用数字は文章では使わない」
サ「え、そうなんですか!?」
ア「うーん……最初に言った通り、基本的には使わないってだけで使っちゃいけないて事はない」
サ「何か煮え切らない物いいですね。アッシュさんらしくもない」
ア「例えも難しくて、わかってもらえるか難しいんだけどな」
例:「一時十分に待ち合わせ」
例:「1時10分に待ち合わせ」
ア「みたいな感じだったら、上の例の方が正しいんだよ」
サ「どうして……あ、これって『そういうルールだから系』ですか?」
ア「話がはやくて助かる。ちなみに一番やっちゃいけないパターンはこういう感じだな」
例:「1時十分に待ち合わせ」
サ「わかりにくっ!! 流石にここまで統一感もなくごちゃごちゃに書く人はいないんじゃ?」
ア「これは一文の中にあるから、さらにそう思うかもしれないけどな。文が離れているとわからないもんなんだ」
例
次の待ち合わせは一時十分に到着だったはずだ。
先方が言うには、この付近にタクシーを用意しているというはなしだったのだが、タクシーらしき車影は無い。
あるといったらマイクロバスくらいだ。
「あんたが○○さんかい?」
「そうですけど」
「話には聞いてるぜ、さぁ乗りな」
マイクロバスタクシーのドライバーは非常にダニー・トレホ(※2)にそっくりだった。
実にラテン系な強面のくどい顔の男である。
少しだけ乗るのに躊躇したが、相手側の迎えなのだから悪い人ではないのだろう。
「こっからなら少し早めにつくな12時半にはつくけど、どこかによるかい?」
「いや、そのまま向かってください」
「あいよ」
広い車内に一人という感覚を不思議に感じながらバスは走り出した。
ア「という感じなんだが」
サ「相変わらず例文のセンスがおかしくないですか?」
ア「別にいいだろ。それより違和感は気がついたか?」
サ「ほぇー?」
ア「間に数字の12があっただろ?」
サ「あ、本当だ」
ア「案外、そういうもんなんだよ。ただでさえ横文字で文を目にする機会が多い昨今では流してしまいがちなんだけどな。さっきお前が言ったように、統一感に欠けるな。アイツなんかは『それくらいなら面白さの本質には関わらないからいいじゃん』とか言いそうだが、最初に言ったようにルールだからな」
サ「統一されていた方が読む側としてもいいですしね。んー? それじゃいつものように『こうだから覚えろ』みたいに言えばいいじゃないですか?」
ア「それなら楽なんだが……それは次回に説明しよう」
サ「最近はよく二回にわけますね?」
ア「細かいルールだからな、一気に説明して把握しきれなかったら困る」
サ(じーーーっ)
ア「……何だよ?」
サ「別に何でもありませんよー」
ア「何だよ、ニヤニヤして気持ち悪い奴だな」
サ(やっぱり、口は悪いけどアッシュさんは良い人ですね。でなければこの講座の代役なんてかってでませんか)
ア「それじゃ次回まで……」
サ「そういえば、聞いてなかったんですけど、ご主人ってどこ行ったんですか?」
ア「そういえば聞いてないんだったな。アメリカだよ」
サ「アメリカって何県にあるんでしたっけ?」
ア「県っていうか、国だな。私の故郷で、日本での正式名称はアメリカ合衆国だな」
サ「えっ、えええええええええ!!!??」
ア「何だよ、急に大声だして?」
サ「あわわわわ!?ジカイマデユックリシテイッテネー!!!」
※1 全順序集合Kを、一方が他方の全ての元よりも小であるような二つの組に分けたとする。
K=A∪B,A≠Φ,B≠Φ;α∈A,b∈B⇒a<b
このような組 (A,B) をデデキント切断という。
正確な答えではないけど、要点だけ非常にシンプルに説明すると、どんなに0.99999を重ねても1までにどうしても空白がでてしまう。その空白の事を言う。その空白が上手くうまると菩薩の拳になる。
少なくても数字が得意と言って急に出てくるような単語ではない。
※2 その個性的な顔立ちから、脇役ながらも強烈な存在感をアピールする名優。たとえ登場してから五分後に死ぬような役割でも『あっ!ダニー・トレホだ!』と思えるスゴイ人。主な出演作品は『スパイキッズ』シリーズではレギュラー出演、従兄弟の監督であるロバート・ロドリゲスが監督を勤める作品にはほぼ何らかの役割で出演している。
個人的にベストなのは『デスペラード』の殺し屋の役である。
『マチェーテ』ではついに主演を果たし、その凶暴性をいかんなく発揮したバイオレンスアクションを見せている。続編は決定しており、しかもシリーズ化予定もあ視野にあるらしい。現状での邦題は続編の『マチェーテがさらに殺す』シリーズ化が決定した場合の続々編は『マチェーテが宇宙で殺す!』どうしてこうなるのだろう、是非シリーズ化してほしいところ。




