第三十二回『行頭を空ける』
さん
にぃ
いち
?「こんにちは、アッシュです」
サ「えっと……どちら様ですか?」
?「おっ? おっ? 初対面の人には挨拶(※1)っていう文章とかそういう以前に面沢の奴は人としての基本を教えてないのかな?」
サ「こ、これは失礼しました! サヴァ子です。ここでは面沢銀の生徒をやっています」
ア「その様子だとさては聞いてないな……。全く、アイツはそういうのが抜けている。さて、しばらくは面沢に代わって私が講座を教えていく。私はアイツと違って優しくないからな、笑ったり泣いたりできなくしてやる(※2)」
サ「よ、よろしくお願いします」
ア「文章の基本ルールを教えろって事だったが。とりあえず、ここに来る前にあなたの作品は読ませてもらった。とりあえず文章を書くうえで出来ている基本ルールと出来ていない基本ルールがあるようね」
サ「な、なるほど」
ア「出来ている基本ルール。行頭を開ける。まぁ空白を開けるって事だ」
こんな風にな。
段落が変わったら全角の空白で一マスあける。
半角では基本的に使わない、理由としては一般的では無いというものもある。
というかそもそも、フォーマットによっては空白と認識されないんだよ。
そんなに難しい事じゃないだろう。
こんな感じで、段落が変わったのに空いていないのはNGなんだ。
ただ、行が変わる時は空白をあけるというわけではないって事は勘違いするんじゃないぞ。行が変わってしまっても段落が変わらない場合はわざわざ開ける必要はないからな。
段落、改行とも言うのだが、これを行った時は空白で一マスあける。
これは日本語のルールだから、小説じゃくても文章を書くときは行うんだ。
できないと、恥をかいてしまうぞ。だから守ってくれよな。
ア「わかったか?」
サ「はい、これは以前に国語の授業でやりましたからそうなのかなと」
ア「その通り、小学生の国語の授業でやるな。でも、わりと出来てない奴がいるんだよ。次回以降のルールは小説を書くうえでのルールだが、これは日本語の文章としての最低限のルール なんだがな」
サ「単純に忘れてしまうんでしょうか?」
ア「いや、これは最近のネット文化のせいでもあるな。面沢が言ってたかもしれないけど、読む側、書く側のサイクルみたいなものが原因だ。何かと言うと携帯小説なんかは携帯で文字打つから空白が出しにくいから省略したりする。当然、やっちゃ駄目な事なんだが読む側はこれでいいのかと思う」
サ「そう思った人が同じように書いてしまうと……」
ア「そういう事よ。面沢の事だから「楽しむのが一番大事」って言ってたんだろうけど、私はそうは思わない。自分が楽しむのは大事だけど、発表した作品には責任が伴うからね。自分が楽しめればそれでいいって基本もできてねぇのに突っぱねるなんて『人様に見てもらう、読んでもらう』って姿勢じゃねぇよ。業界によっちゃ嫌なら見るなとか嫌なら食うなって言っちまうプロ意識の欠片もねぇ奴もいるからな(※3)」
サ(うわー……この人、ご主人と性格が正反対だぞ……)
ア「私が教える限り、楽しむなんて二の次だ。基本を足腰立たなくなるまで叩き込んでやるからな。先に言っておくが面白くはないだろうね」
サ「は……はい」
ア「声が小さいんじゃね?」
サ「はい!」
ア「その代わりに、責任を持ってみっちり叩き込んでやる。ついて来いよ!」
※1 挨拶ができない子は、私から言わせれば可哀想な子です。「恥ずかしいのかなー」とか言って、子供にきちんとした挨拶をさせる事をないがしろにしてしまう親は個人的にどうかと思っています。人様の家の教育方針なので、私に直接関係はないのですが。
※2 映画フルメタルジャケットに登場する軍事教官、ハートマン軍曹の有名な台詞。ちなみにこのハートマン軍曹はその当時、現役の軍人であり。米軍訓練施設の様子や指導のアドバイザーとして雇われたものの、俳優のぬるい演技に我慢できず自分で教官役をやったという事。OKした監督も凄い。
※3 某放送業界や某飲食店チェーンの言葉、株主への顔立てといった一枚岩ではない事情があるにせよ、現場や客に責任転嫁をする姿勢は、プロとして私は許せる発言ではないと思っている。




