第二十三回『物語のプロットを考えてみよう』
さん
にぃ
いち
面「こんにちは、講師の面沢銀です」
サ「こんにちは、助手というか生徒のサヴァ子です。今回はいよいよプロットの作成ですね! お題は学校にテロリストが襲ってきて華麗に撃退するです! 聞いただけでオラ、ワクワクしてきたぞ!」
面「さて、作り方と銘打ってみたものの……実際、僕はプロットという物を作った事が一度しかありません」
サ「∑(゜Д゜)」
面
「やあ (´・ω・`)
ようこそ、バーボンハウスへ。
このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
うん、「ほとんど経験が無い」んだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、この講座のサブタイを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、この回を進めて行くんだ。
じゃあ、プロットを作ろうか。」
サ「バーボンハウスしてる場合じゃねぇよ!(※1)っていうか素人じゃねぇか! どの面下げて教える気だよ。というか完結まで五十九話も使った『星のアスクレピオス』とか予定も立てずに書いて終わらせたのかよ!?」
面「そもそもの話、プロットっていうのは漫画でいうネームみたいなもんで。下書きみたいな物なんだ。だから誰かに見せるとか説明する必要が無く、さらに自分で物語の全貌を把握して書く事ができるのなら必要はないよ。有名な作家も声高らかに公言してないだけでプロットを起こさない人はいるよ。例にあげるなら説教と右フックで大体の問題を解決する主人公が活躍する話の作者とか、アニメ化とかしないだろうと好き放題やってたらアニメ化されちゃって半ばエロアニメみたいになっちゃってる物語の作者とか」
サ「今回の授業内容を全否定じゃないですか」
面「作らないのと、作れないでは意味が違うよ。文字に起こさないだけで似たような事はやっています。今からやる内容を全て頭の中でできるなら書き起こさないでもいいというだけだよ」
サ「ご主人にできる事がサヴァ子にできないはずはないので楽勝ですね!」
面「たまにだけど、お前のその自信を羨ましく思うよ……。とはいえサヴァ子の言う事は実は最もであってプロットの作り方は人それぞれになってしまうので『このようにしなさい』という事を押し付ける事はよくない事でもある」
サ「スタンダードなやり方は無いって事なんですか?」
面「そうだね、そもそもどこまでをプロットとするかも人によって違ってしまうからね。『テロリストが学校を襲う』ってここさえもプロットって言う人もいるだろうし。逆に詳細な設定や流れを最後まで考えてプロットとして書き起す人もいるというわけだ」
サ「なるほど、他人が見てわかる。自分が流れを把握できればプロットは必要無いっていうのはそういう事ですか」
面「そうだね。というわけで何個か例を上げてみるから、目を通してみて自分はどこまでやった方がいいか考えてみるといいよ」
例1 イベントを順番立てて考える
1.朝の登校のシーン
2.気だるい授業
3.テロリスト乱入
4.警察への連絡
5.見回りのテロリストとの戦い
6.一人ぼっちの反撃
7.警察の到着
8.孤軍奮闘
9.クラスの開放
10.屋上の決戦
ED どこにでもいる英雄
サ「DVDのチャプター分けみたいですね」
面「そうだね。プロットの作り方に慣れていない人は映画のDVDを借りてきてチャプターメニューを見てみると物語の流れの作り方を学べると思うよ」
サ「でも、いきなりここまで細かく分けるのはちょっと難しい気がします」
面「では、今度はこの分け方をしてみよう」
例2 起承転結にわける
起 登校、テロリストが学校を占拠
承 主人公一人が助かり、反撃開始
転 警察とか到着してなんやかんやある
結 屋上でボスと戦い決着
サ「グッっと大雑把になりましたね……」
面「でも流れは掴めるだろ?」
サ「確かにそうですね。転のなんやかんやとか余裕がありすぎてピンときませんけど。ところで、このよく聞く起承転結って具体的に何がどうなってるんですか? 特にサヴァ子には承と転が分かれる事の意味がわからないんですが?」
面「そうだね、起承転結については次々回にでも取り上げるとしようか。さて、次は僕がプロットを作る時の頭の中だよ」
例3 始まりと終わり
α テロリストが学校を襲う
Ω 屋上で一騎打ち
サ「これはプロットと言えるのか!?」
面「いかんのか?」
サ「いかんでしょ! だって何回も『他人がわかる物』『自分が把握できるもの』って言ってたじゃないですか。これじゃサヴァ子には何のこっちゃサッパリわかりません」
面「でも、こういう作品でこういう終わりを迎えるのはわかるだろ。あとはこれを作る前の主人公の設定とかそういうのをここに合わせるんだ。そこからしてプロットだとも言ったよ。そこをしっかり考えてあるのなら、物語のプロットはこれだけでもいいんだ」
サ「はー。ガッカリですよご主人、これをプロットと言うのなら確かに頭の中でできますね。サヴァ子は支持する人物を間違えました。詳細に物語を考えてから書き出す事に定評のある小野大介先生(※2)を支持すれば良かったです」
面「……それじゃまるで僕が何も考えてないみたいな言い方だが」
サ「ん、ゴミよ? 違うのか?」
面「おまっ!? ゴミとか!? 手のひらを返しすぎじゃないのか!?」
サ「だって物語のプロットの作り方といいつつ、要約するとDVDのチャプター見ろって話じゃないですか。そんなのなら別にミジンコ人間にわざわざ教えてもらわなくてもねぇ」
面「微生物扱い!? お前よく見ろ! 物語のプロットの作り方ってあるだろ?」
サ「おおぅ? 確かにそうですね」
面「次回は主人公のプロットの作り方だからな!」
サ「な、何か違うのですか!」
面「おおいに違う! 言っただろう人によってプロットの作り方は違うと。それとお前はいつからプロットが一つだけだと錯覚していた?(※3)」
サ「なん……だと……!?(※4)」
面サ「「それでは次回までゆっくりしていってね!!」」
※1 巨大掲示板で、つい開きたくなってしまうようなタイトルのスレッドが嘘の内容だった場合に貼られるお約束の流れである。俗に釣りとも言われる。
※2 『あくまでもクリスチャン』『目に涙がなければ魂に虹は見えない』『死神麗子の献身 ―数奇でシュールな人生―』を著作に持つ。僕たちに夢と希望を与えてくれるデッカイ人。面沢は同氏としばしば小説の考え方を議論するのだが、いつも非常に有意義な時間を過ごさせてもらっている、
※3 漫画BLEACHで多用される表現。主に信じられない様を目の当たりにした時に使われる。
※4 同じくBLEACHに登場する藍染惣右介の台詞。相手に幻覚を見せ、いつからそれを使っていたのかさえ気がつかせないという能力からくる。結局のところいつから使ったのかよくわからなかった。




