第一回『楽しむ』
さん
にぃ
いち
面「初めまして、講師のゆっくり面沢(左)です」
サ「初めまして、助手のゆっくりサヴァ子(右)です」
面「今回からこれから小説を書こうという方に向けたお話を細々としていこうかなと思います」
サ「ゆっくりとタイトルにあるから、あの人気キャラ(※1)が出てくると思いましたか? 残念サヴァ子ちゃんでした! こんな場末の小説講座に彼女達が来てくれるわけがないじゃないですか」
面「のっけから飛ばすな、喧嘩売るな、危険すぎるだろ!」
サ「そんなご主人がって、本当は個人のブログでやろうとしたのに、こっちでいろいろ書いていたらブログがおろそかになったのでいっそこっちでやろうかと思ったのですよね。まったくご主人は初志貫徹のできないクズ野郎ですね」
面「返す言葉も無いが……。ちなみにこの口の悪い奴はブログの頃からの助手のサヴァ子といいます」
サ「メガネ、ポニテ、ワガママボディーの正統派媚び萌えキャラです」
面「お前のような口の悪い正統派萌えキャラがいてたまるか」
サ「さぁ、無駄な茶番はそれくらいにしましょう。こういうのはテンポが大事ですよ」
面「そうだね、それでは第一回である今回のテーマは『楽しく』です」
サ「ん、あれ? ハウツー本にあるような『文章の書き方』とかじゃないのですか?」
面「目指すところは本当に小説とか書いた事の無い人向けの講座のつもりだからね。それに僕の目指すところは『上手い文章を書く』でも『面白い文章を書く』でもないんだ。だから技術とかはちょっと先のお話になると思う」
サ「『上手い文章』はともかく『面白い文章を書く』でもないの? 面白い物を書かないといかんでしょ! サヴァ子は中高生に受ける厨二病で邪鬼眼で、異世界に紛れ込んで、萌えっ娘のハーレム作って、しょっちゅうパンツとオッパイが飛び交う作品を書いて、ヒットさせて、印税で暮らしたいんですが!」
面「勿論。そういう商売というか、そういう生活をしたいというのも素晴らしい事だと思うよ。サヴァ子くらいにあけっぴろげに言われればこっちもいっそ清々しいしね。そういう方面のお話もするつもりだよ。ただ、今じゃない」
サ「話が見えてきませんね。何ですか、ご主人は『面白くない文章を書け』って言ってるんですか?」
面「正しくは『自分が面白いと思える話を書く』という事かな。ここで重要なのは話であって文章ではないんだ」
サ「何が違うんですか?」
面「高度な表現や豊かな描写、豊富な言葉のボキャブラリーがあった方がレベルが高い。でもそれは技術の面であって本質じゃないんだ。ゲームだってCGがどんなに優れていたって面白くなければ意味はないだろう?」
サ「なるほどなるほど」
面「これは今回のテーマとはちょっと違うけどね、あくまで今回のテーマは『楽しく』だから」
サ「のっけから精神論とか駄目なビジネス書みたいですね!」
面「良いビジネス書なんてものはめったに存在しないよ、その理由にもいつか触れよう」
サ「ずいぶんと引っ張るなぁ」
面「これは細く長くやってくつもりだからね、そもそもサヴァ子はビジネス書なんて読んで楽しいか?」
サ「仕事で読んだ事あるけどクソほど面白くありませんでした」
面「だろう? ハウツー本とかも技術について詳しく書いてあるのだろうけど。完全に勉強になってしまう。小説と言わず、文章なんて物は本来はコミュニケーションツールなのだから楽しくなければならないんだ。だからこの講座も肩の力を抜いて読んでもらえればなと思ってる。人との会話が楽しいように、文章を書くというのは自分との会話であって、さらに言えば登場人物達の会話でもある。文章が上手くなってくれば見えてくる物があるのは確かだけど。最初は形式にとらわれないで自由に書いていいんだよ。何だって最初から上手い人はいないのと一緒で、どんなに知識を詰め込んだって最初から上手い文章は書けないのだから」
サ「長台詞お疲れさまでした。なるほどなるほど、最初は形式にとらわれずに自分が好きなように書けばいいんですね」
面「そう、一次創作だろうが二次創作だろうが。自分が思ったものが形になるという『楽しさ』をまず知ってほしいんだ」
サ「わかりました! とりあえず何か書いてみます! ……そうは言われたもののご主人、いったいどうしたらいいのやら?」
面「じゃあ、次回はそのあたりのお話をしようか」
面サ「「次回もゆっくりしていってね!」」
※1 東方projectの主人公、博麗霊夢と霧雨魔理沙がどういうわけか生首とも饅頭ともつかないフォルムでイラスト化され、その際に「ゆっくりしていってね!」と言っている事が名前の由来となった二次創作キャラクター。性格は本編とは異なり、製作者によって様々である。
冒頭のゆっくり面沢とゆっくりサヴァ子はこれらのパロディーイラストである。