4:次の挑戦者
「も・・・もう・・だ・め・・・」
美香はあれから2時間は走り続けたが、もう限界だった。
明らかな殺人目的のマシーンの前ではもう手も足も出ないのか・・・
がしかし、突然床が止まったのだ!
美香はもう動かない足を息を切らして睨みながら、今生きている自分に本当に喜んだ。
ゆっくりと壁が元の位置にしまり、またいつもの静寂が訪れた。
「終わった・・・」
裕介は壁を殴りすぎたせいか、拳から血を流していた。
しかしその苦労が報われ、壁のある一部分が崩れた。
そこを集中的に殴るその姿はもはや見るまでもなく哀れだった。
バキッ!
ついに裕介の右手は見事に骨折してしまった。
しかし残った左手でまたも殴り続ける裕介・・・
「・・・・・」
突然、部屋の照明が切れた。
「!?」
「なんなんだ!壁を殴るなってかぁ!?」
裕介はこの不安を吹っ切るために自分に叫んだ。
ジジジジ・・・ジジ・・ジジジジジ・・・
美香の時と同じように壁が開き、床が動き出した!
「うおっ・・・」
裕介はすぐに走った。
「ハッ!くだらないマネしやがって!」
しかし、美香の時とは違い床は次第にスピードが上がっていった。
人間の走るスピードの何倍もの速さで床は、奈落の底へ続いた。
「ハァ、ハァ、チクショウ・・・ハァ、人を・・もてあそびやがっ・・て・・・」
もうすでにスピードは裕介の限界を超えていた。
次第に裕介の足はもつれ、どんどん奈落の底へ向かっていた。
「チクショウ!!俺がぁ・・何をしたぁぁ!!!!」
すると突然床が徐々にスピードを落としていった。
もう止まる、と言う所で裕介は気絶してしまった。
そのまま裕介は奈落の底へ頭から落ちていってしまった・・・