3:ベルトコンベアー
あの男の言葉を最後にもう小一時間は何も起こってないだろう。
シンと静まり返ったこの密室から一刻も早く脱出したかった裕介は手当たり次第に壁を
ぶん殴って回った。どこかにもろいところは無いかと・・・
ついに美香はいてもたってもいられずついにレバーに手をかけた。
「上でも下でもどうせ死ぬのは一緒なんでしょ!!!」
「・・・・・・・」
美香はレバーを思いっきり下に下げた。
何も起こらない。美香は心の底から安堵の息をもらした。
が、しかし急に美香のいる部屋の電気が消えた。
「!!!?」
突然の事にパニックになる美香だがそれを遥かにしのぐ恐怖があったのはそれからまもなくの事であった。
ジジジ・・・ジジ・・ジジジジジジ・・・・
ゼンマイでも巻くかのような不気味な音が美香を撫でた。
そして部屋の一面が開き、奈落の底をその口からのぞかしていた。
「な・・・に・・これ・・・・・」
さらに美香をあざ笑うかのように床が急にその奈落の底へと動き出した!!
まるでベルトコンベアーのようだった。
美香はその震えで止まらない足に無理やり鞭を打ち走った。
あれから何があったのかやけに静かだ・・・
和也は冷静にこの事を受け止めていたためか、落ち着いてこの密室を見ていた。
「絶対にここから出る・・・」
その目はこんな状況でありながらかすかな希望を見ていた。