2:レバー
「まず、最初のゲームは個人戦です。あなた達の運も含め全ての
ステータスが解析されますのでちゃんとやってくださいね。」
・・・クソっ!!
何がゲームだ!?こんな事をするヤツの気が知れねぇ!!
一刻も早く戻りたい………安らかな家族の輪に。
………ん? まてよ……あなた達??
俺外にもこんな目にあっているヤツがいるのか?
だとしたら、個人戦とは他のヤツ等と戦うって訳か……
ククッ…上等だァ!必ず勝ち残ってやるんだ!!俺が!!!
怒りと憎しみに燃える裕介の目が不気味に光った。
また、あの不吉な音が聞こえてきた…………
ジリリリリリリリリリリリリン………
ジリリリリリリリリリリリリン………
和也は無意識のうちに身構えていた。
この、誰もいない部屋にただただ一人残され無理難題を押し付けてくるこの空間
に和也は耐え切れなくなっていた。
「えー、最初の試験は……『必ず生き延びる事』!!」
しばらくの沈黙があった。
美香はこの男の言ってる意味が本当に分からなくなっていた。
ゲーム?試験?生き延びる?
こんな何も無く閉ざされた空間で何が出来るというのだろうか?
第一、このままだったらいずれ餓死してしまうだろう……それなのに生き延びれと?
そんな事が渦巻く中、あるものが目に入った。
何一つ無い部屋にある不自然なもの………
『レバー』
美香はレバーに恐る恐る近づいていった。
トラップかもしれない……
レバーの周りにはヒントになるようなものはひとつも無く
それどころか大きな文字で
『↑』『↓』
と横に書いてあるだけだった。
「上か下に下げろって言う事……?」
レバーにそっと手を触れる。
取っ手にはゴムが付いているが、鉄のように冷たく感じた。
決断できない……!!
上か下かで何が起こるかすらわからない。
ましてや何も書いてないのでから、トラップである可能性のほうが高いだろう。
まさか!!
上か下かで生と死が分かれるのでわ無いだろうか?
だとしたら確立は2分の1!!
なんという事だ……美香はその場に崩れた。
だが、そうじゃない可能性もある。
その希望が今の美香の支えでもあった……