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実りの地  作者: 金城絢


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第四章 秘密裏の取引

翌日、和田は、愛人の尚子の自宅に向かった。インターフォンを鳴らすと、秋田弁がややまじった若い女性の声で応答があった。

小柄でややふっくらとしている尚子は、額の汗を拭いながら玄関の扉を開けると、「お疲れさまでした。んだら、どうぞお入りくださいな~」と和田に声をかけ、家に招き入れた。

「言われた通り、あんたとの間に子どもがいることも、きっちり報告書に入れて渡したよ」

和田は、会うなりぶっきらぼうな物言いをしながら、尚子を見下ろした。

「奥さん、どんな反応だったんですかね?」

尚子は、せがむように状況を聞きたがった。

「かなりショックを受けていたようだが、取り乱すわけでもなく、淡々としていたよ」

尚子は一瞬がっかりした表情を見せたが、すかさず大量の資料を和田に見せた。

「これは、健太さんと過ごした日々の記録ですけ。写真もあります。新たに報告書を作成して、奥さんに渡してもらえますか?できるだけ、離婚を決意させるようにうまいこと誘導してくんろ」

和田は、やや怒りを含んだ低い声でまくしたてた。

「あんたの亡くなった父親に、頭が上がらないほどの恩義があったから、今回は手を貸した。ただ、俺も地元で食っていかなきゃならないんでね。これ以上、危ない橋は渡れない。もう、これきりにしてくれ」

尚子は深くうなずきながらも、和田にしがみつくように懇願した。

「私、身寄りも友達もいねくて……。障害のある子、ひとりで育てるのは、ほんとに大変なんですよ」

和田は、憐憫のまなざしで尚子を一瞥すると、無言のまま家を出た。


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