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異世界召喚はもういらない  作者: るぷるぷ
22/40

異世界の神界①

 翌々日の月曜日。


 日曜日にふりつづいた雨もはあがって、今日は快晴だった。




「おはよう」




 今朝も、ナギが家の前でまっていた。




「おはよう。……あ、そうだ。はい、これ」




 海咲が、ナギに紙袋をわたした。中には、ナギのジャージがはいっている。




 合流して、二人で学校へむかう。




 いつもと変わらぬ通学路には、昨日の雨がのこした水たまりが、そこかしこにあった。




 そういえば、ナギと出会ってから雨がふったのは、初めてな気がする。案外、晴れ男なのかもしれない。




 そんなことを思いつつ、他愛もない雑談をくりかえしているうちに、学校に到着した。




「おはようー。お二人さん」




 校門の前のところで、アカッシーに遭遇した。ちょうど、部活の朝練でランニングをやっていたようで、体操着姿のアカッシーは、額に汗をうかべていた。




 アカッシーは海咲とナギのそばまでかけよってくると、ランニングの足をとめた。




「今日も二人で登校とはおあついねー。そういえば、最近なんだか暑いよねー。マジ朝練がきついっすわ」




 そんなことを言いつつも、部活を辞めないのだから、すごいとおもう。




 足もとの水たまりが、太陽の光を受けてかがやいていた。


 その時、一台の軽トラックが視界のはしにうつった。




 学校の近くを走っているというのに、凄まじいエンジン音を上げながら、猛スピードで海咲達に接近してくる。






 咄嗟に――アカッシーにせまる危険を、海咲の目がとらえた。






「あっ――」




 危ない。そう叫んで、アカッシーの手をひこうとおもった。




 ――だが、間にあわない。


 ――そう判断した瞬間、反射的に体が前にでた。




 軽トラックとアカッシーの間に、海咲が飛びだす。




「海咲――!?」




 ナギが悲鳴みたいに名前をよんだ。




 そして――。








「ばしゃああああっ」








 猛スピードの軽トラックが水たまりのうえを通過した。




 泥水がはねあがって、海咲は頭のてっぺんから靴の中まで、びしょびしょに濡れた。




「…………」


 前髪から、ポタポタと水がしたたった。




「海咲!? うそうそうそ」


 海咲がかばったおかげで、アカッシーは無事だった。アカッシーは目を白黒とさせながら、首にかけていたタオルを海咲の頭にのせてくれた。




 海咲の状態に気づかなかったのか、軽トラックは猛スピードのまま去っていった。




「もしかして、私のことかばった……?」


「うん。まあ……とっさに」


 隠す必要もないので、正直にこたえた。




「やばい。海咲超イケメン! ていうか、今の動き、すごく速かったね! フットサルに興味ない?」




「こんな時に部活の勧誘しないで……」




 アカッシーに顔をふいてもらいながら、海咲がいった。




 濡れた服をみおろす。白いシャツがすけて、花柄のブラジャーがくっきりと浮いていた。




 アカッシーが海咲を校門の塀におしやって、周囲の視線から隠してくれた。




「どうしよう? 今日体育ないし、体操服なんてもってないよね? 私の制服かそうか?」




 アカッシーが提案してくれる。しかし、身長の低いアカッシーと海咲の間には、ずいぶんな体格差がある。彼女の制服を借りても、おそらく海咲の肩がはいらないだろう。




「困ったなぁ……私の体操服は汗だくだし……」


 アカッシーがつぶやいた。




 すると、ナギが視線をそらしながら、帰したばかりのジャージをさしだしてきた。




「とりあえず、これ着とき?」


「いや、汚れるし……」




「かまへん、かまへん。千円のジャージやけん、気にせんで」


 押し付けられるようにして、海咲がジャージを羽織らされた。




「一回、帰るか?」


 ナギが提案した。




 今から帰ると、確実に遅刻だった。そして、海咲が家に戻るとなれば、おそらくナギもついて来ることになるのだろう。




「帰っても代えのシャツは洗濯中だし、いいや。かわくまでジャージ着てるよ」




 長袖のジャージの前を閉じて、濡れた白シャツを隠す。ナギのジャージは、海咲には少し大きいサイズだったが、そでの部分がゴムでしぼられているので、問題なく着られた。




「彼シャツだ彼シャツだ」




 アカッシーが嬉しそうにしていたので、ほっぺたをムニっとつついてやった。




「だから、そういう関係じゃないってば」







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