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虻蜂虎S'。  作者: 渡良瀬ワタル
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(故郷)37

 僕は浅慮だった。

安心した途端、別の敵が襲って来た。

倒した者達から発せられる血や糞尿の入り混じった臭いだ。

真っ先にエリカが呻き、鼻と口を手で塞いだ。

流石に獣人。

人より敏感な鼻を持つ者。

当然、僕も逃れられない。

一拍おくれて襲われた。

魔力障壁ドームを解くのが早過ぎた。

 対処するには光魔法上級しかない。

範囲は一階フロア全体。

ライトクリーン。

空気の入れ替え、洗い流し、拭き掃除、乾燥をイメージした。


 満足気に頷くエリカ。

僕のローブを強く引いた。

「次はどうするの」

「頂く物を頂くよ」

 鑑定で場所は事前に把握していた

三階に上がった。

代官の執務室だ。

奥に鍵がかけられたドアがあった。

それを錬金魔法で弄った。

鍵自体を壊した。

 

 倉庫になっていた。

右の棚には領地の過去書類。

左の棚には現金や貴金属類。

領地を恙なく治めるには過去書類。

非常時には現金や貴金属。

そういう訳で欠かせない物だ。

 僕は遠慮しない。

慰謝料代わりと同時に嫌がらせの意味合いもあり、

全てを亜空間収納に取り込んだ。

それを見てエリカが呟いた。

「まるで泥棒ね」

 否定はしない。

僕もそう思う。

これで何度目だろう。

異世界で泥棒の真似事は。

たぶん、これが神の思し召しなのだろう。


 終えて一階フロアに戻ると、意外な人物がいた。

それも二名。

冒険者ギルドの職員・タルゼ。

もう一人は冒険者・レイガン。

組み合わせで何となく分かった。

タルゼがレイガンに護衛を依頼したのだろう。

僕を見てタルゼが表情を歪ませた。

「やはり君だったか」

「そうだけど、何か用事があるのかな」

「騒ぎを聞いて確かめに来ただけだ。

全て君の仕業かな」

「当然」

「ここに倒れている者達や、表で行われたと言う土魔法も」

「そうだよ。

前に説明しただろう。

代官と伯爵の処分を。

今回は代官のみだけど、次は伯爵だ。

こちらの騒ぎを聞けば、飛んで来るだろう。

ジッとしてれば笑い者だからね」


 レイガンが僕を見た。

「お前が噂の土魔法の使い手か。

問答無用で生き埋めにしたのか」

「それは答え辛いな。

まるで僕が狂人に聞こえるからね」

「ふん、狂人だろう」

 言い訳はさせて貰おう。

「敵討ちだよ。

家族の、村の皆の。

誰も僕達を助けてくれないから、自分でやるしかないだろう」

「何とでも言える」


 僕はレイガンは無視した。

代官を鑑定で探した。

大量出血で死亡していた。

あっけない幕切れだ。

いたぶる気がないから、それでも良いけど。

僕はタルゼを見た。

「頼みがある。

レイガンを下げさせてくれるか。

今にも斬り付けて来そうだ」

 当のレイガンが反応した。

「怖いのか」

 Cランクの冒険者だけに、威勢が良い。

ただ、スキルは生活魔法のみ。

少々ものたりない。

「無関係な者を殺す趣味はない」

 タルゼが慌ててレイガンを引き離した。 

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