(故郷)29
僕は冒険者ギルドを出た。
収穫はあった。
ギルドはあくまでも第三者。
味方にも敵にもならないとも分かった。
ギルドカードが継続して使えるから、んっ、良しとしよう。
想定外もあった。
書類だ。
タルゼなりの配慮なのだろう。
誰が読むかは知らないが、それはそれで満足だ。
喋ったからか、疲れたがドッと出た。
さあ、どこへ行こう。
皆に合流するか。
エリカを探そう。
鑑定を起動して範囲を広げた。
マップでエリカの魔波をストーカー。
直ぐに見つけた。
北だ。
向かっている途中で、妙な動きを捉えた。
尾行者がいた。
鑑定によると冒険者だ。
それも二名。
敵が味方か。
ギルドは第三者を貫くとしても、一人一人の冒険者は違う。
ギルドを通しての依頼がなくても、闇営業すれば稼げる。
闇営業はギルドの保護下にはないが、その分、美味しい。
直接、鍛冶師に卸す、薬師に卸す、貴族に卸す。
中間を省くので両者にとっては旨味しかない。
ギルドを通してないので、ランクアップには繋がらないが、
生活する分には支障がない。
ギルドが事の成り行きを見守るつもりなのか。
それとも代官所に雇われているのか。
僕は判断し兼ねた。
そこで、足止めする事にした。
水魔法を起動した。
水玉・ウォータボール。
それでもって二名の足の甲をロックオン、ホーミング。
威力より速度重視。
速度は上級、威力は初級、放った、Go。
鑑定で様子を見守った。
なのに一瞬で決してしまった。
ターゲットの二名は足の甲を負傷し、その場で崩れ落ちた。
身動き出来なくなってしまった。
経験はないが、ポーションで治るだろう、たぶん。
つまらん。
僕が代官所を訪問する間、エリカ達が無防備になる。
その対処を怠っていた。
すまん、すまん。
対処する事にした。
鑑定で奴隷商を探した。
知らなかった。
意外とあった。
三軒。
それぞれ特徴があった。
借金奴隷専門の店。
犯罪奴隷専門の店。
拉致した者達専門の店。
競わぬ様に棲み分けてると感心すべきか・・・。
僕は寒心に耐えられない。
拉致の店にした。
店の前に偉丈夫が立っていた。
熊人族。
薄汚れた体毛に首輪、痛々しい。
でも疑問が一つ。
こんな奴を拉致できるとは・・・。
偉丈夫を鑑定した。
「名前、ブラビット。
種別、熊人族。
年齢、55才。
性別、雄。
出身地、ベランルージュ王国。
住所、王都。
職業、借金奴隷。
ランク、C。
HP、120。
MP、60。
スキル、身体強化中級、剣術中級、生活魔法(水、火)」
意外だ。
ベランルージュ王国出身で借金奴隷。
不敵なスキル。
これで奴隷に堕ちたと言うのか、理解できない。
足を止めた僕をブラビットが一瞥した。
だが直ぐに視線を逸らした。
人畜無害と判断したらしい。




