表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虻蜂虎S'。  作者: 渡良瀬ワタル
83/282

(故郷)25

 ここで僕は深く反省した。

殺すのは簡単だが、だが、その死体の処理はどうする・・・。

この村の者達は第三者、巻き添えにしたくない。

では元の村の者達はどうだ・・・。

甚だ頼りない。

 僕は方針を転換した。

水魔法、水槍・ウィンドスピアを手代の喉元に突き付けた。

「一度ここで死んでみるか」


 手代が短い悲鳴を上げて、文字通り、腰を落した。

「ウギャッ」真っ青な顔。

 手代が引き連れて来た者達が動きを止めた。

判断に迷っているようで、僕と手代を交互に見た。

手代が引き摺った顔で吠えた。

「殺せるものか、俺は代官所の手代だぞ。

この小娘が。

多少は魔法を使えるようだが、

代官所や伯爵様に歯向かって無事に済むとおもってるのか。

一族悉く皆殺しになるぞ」


 僕は応じた。

「一族で残ったのは僕と弟だけだ。

一族の多くは傭兵団に殺された。

その恨み、代官や伯爵に返してやる」

「言うからには、その証拠があるのだろうな。

お代官様や伯爵様が傭兵団を動かしていたと言う証拠が」

「僕は捜査権力も裁く権力もないただの平民だ。

だから心証だけで十分だ。

代官も伯爵も有罪。

よって、代官や伯爵には死罪を申しつける」

 また言ってしまった。

でも後悔はない。


 僕は手代の喉元に水槍を深く突き入れた。

噴き出す鮮血。

それを見て代官所の者達が動こうとした。

僕は言葉で制した。

「動くな、お前達にはやってもらい事がある」

 それで全員が足を止め、仲間内で顔を見合わせた。

「代官所に今見た事、聞いた事、余す事なく伝えろ。

近日中に代官を処刑に行く、それも伝えろ」


 男達が動きを止めたままなので、僕は力の一部を示す事にした。

鑑定を起動した。

広げて場所を選定した。

村の外で、誰もいない丘。

そこは街道や間道から離れているので所有者はいない。

いるとしても魔物だけ。

実際に魔物がいた。

低級三十二匹と中級五頭。


 僕は水魔法を起動した。

水玉・ウォータボール。

それを僕の周辺に待機させた。

三十七個。

途端、居合わせた者達が驚いて一斉に退いた。

僕と距離を置いた。


 魔物をロックオン、ホーミングした。

僕は放った。

低級の水玉だが、僕の水魔法は上級。

本気なので今回の破壊力は低級とは桁違いになる。

 僕の周辺から一瞬で消えた次の瞬間、丘で命中音が相次いだ。

まるで絨毯爆撃。

ドカン、ドカン。

魔物を貫いて着弾。

土煙が上がり、魔物の部位が吹き飛び、丘をも凹凸の形状にした。


 居合わせた者達は皆、青白い顔で黙ったまま。

僕は連中を再起動させた。

「怪我人や死体を持って帰れ。

運ぶのが面倒でも、残さず連れ帰れ。

嫌ならここで土に還す」


 代官所の者達が帰路についた。

それを見送り、僕は弟を見た。

「ナギラ、僕と一緒に行くよな」

 ナギラは躊躇わない。

「うん、行く。

でもどこに・・・」

「どこかに、任せろ」

「任せる」


 エリカが不満顔。

「私は」

「今回の件でお尋ね者になるのは僕。

連座で罪に問われるのはナギラ一人。

でもエリカは血縁じゃないから、罪には問われない。

ここに残っても大丈夫だよ」

「それは嫌、付いてく」

「お尋ね者だぞ、いいのか」

「守ってくれるんでしょう」

「ああ、付いて来るのなら約束しよう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ