(故郷)24
皆が黙ったので僕は推理を披露した。
前世のドラマや映画、小説で培ったものだ。
「傭兵団や盗賊団の横行を見逃しているのは、
村々の土地を差し押さえする為ですか」
途端、手代が顔を真っ赤にして怒鳴った。
「馬鹿者、何を申す。
不敬罪で打ち首ものだぞ。
直ちに皆の前で訂正しろ」
手代は伯爵や代官の真意を知る立場にはない。
完全な蚊帳の外。
それで疑いもしないのだろう。
黙って見返す僕を睨む。
「どうした、捕えて王都に送ってもいい。
それともここで斬り捨てか。
どちらが望みだ」
「不思議に思わないのですか。
領兵が傭兵団や盗賊団の討伐に送られた形跡がない。
それどころか、領内の巡回すらない。
我々の人頭税は何に使われているのですか。
他にも色々細々と徴収していますよね。
それは何に使われているのですか。
まさか、全て王都に送られているとは言いませんよね」
手代が息を飲む気配。
連れの者達も同様で、声がない。
僕は口を盛大に滑らせたようだ。
気にしない、気にしない。
滑っちゃたのは、しょうがない。
最初に動いたのはピレリ。
こそこそと、うちの村人の中に隠れた。
無関係を装う事にしたらしい。
なんて姑息な。
遣り取りを見守っていたヒトライム村の者達も動き始めた。
波が引く様に、足早に家々に姿を消して行く。
関わりたくないのだろう。
まあ、当然の心理だ。
僕は退かない。
ここで退いたら負け犬確定。
手代と連れの者達の動きをじっくり観察した。
どうとでもなれ、なる様にしかならん。
手代がようやく口を開いた。
引き連れている者達に指示した。
「この女子を捕えろ。
代官所に連れ帰る。
お代官様の裁きに任せよう」
敵は十二名。
槍持ち五名、弓持ち三名、騎乗が一人、荷物担ぎが二名。
そして下馬している手代。
槍持ち二名が動いた。
槍を同僚に手渡し、僕を捕えに来た。
はい、そうですか、と捕まる優しい僕ではない。
警告代わりに水魔法を活用した。
初級、水玉、ウォータボールを二名に当てた。
威力を弱めて、濡らすだけにした。
「わー」
「あー」
二名は驚いたまま濡れ鼠。
騎乗の者は手練れか・・・。
即、動いた。
馬に鞭をくれた。
真正面から踏み潰すつもりのようだ。
少女相手になんて大人げない。
判断としては正解なんだけどね。
僕も即、対応した。
僕の前に大きな水玉を置いた。
適当な大きさだが、優に馬の二倍はある。
それを突っ切るのは可能だろうが、結果は分からない。
馬が野生の勘か、突っ込まない。
前足二本を大きく上げて、急停止、立ち往生、
騎乗の者を振り落した。
濡れ鼠の二名が再起動した。
僕の方に駆けて来た。
素手で捕まえるつもりのようだ。
ここで警告はお終い。
本気でやろう。
通常の初級水玉を二名の足の甲に放った。
接近しすぎて目では追えない。
躱すのは不可能。
それが確実に当たった。
盛大に転び、悲鳴を上げる二名。
僕はついでに落馬した者も同様にした。
計三名が転がりながら足の甲を押さえた。
それを見て手代が叫んだ。
「全員でかかれ。
怪我させても構わん。
殺しても構わん」焦りが顔に現れていた。




