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虻蜂虎S'。  作者: 渡良瀬ワタル
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(故郷)16

 復元により沼地から水が抜けて平地に戻った。

雑草の一本もないから整地同然。

大樹を中心にして真新しい地面になった。

雑草はないが、所どころから魔物の部位が生えていた、そう見えた。

ガゼローンの足が突き出たり、尻尾が出ていた。

あっ、ガゼミゼルの顔が半分が出ていた。

目元から上が、けど生体反応はない。

知らぬ者が見たら理解に苦しむだろう。


 僕は鑑定を広げた。

他の魔物は異常を感知したのか、不自然な迂回していた。

けれど、冒険者パーティの一組がこちらに向かって来た。

五名。

足取りからすると、異常を察知しての事ではなさそうだ。

 僕は彼等と遭遇したくないので大樹から飛び下り、

離れた所の草藪に身を潜めた。

見ていると、パーティは警戒怠らず、斥候を先行させていた。


 斥候が手前で足を止め、後方の仲間にハンドサインを送った。

「止まれ」

 後方の四名が足を止め、円陣を組んで周囲を警戒した。

斥候は危険がないと知るや、大樹の方へ慎重に足を進めた。

足下の真新しい地面と、生えている奇妙な物に目を配った。

後方を振り返り、仲間に告げた。

「異常なしとは言わない。

それでも大丈夫だ、こちらに来てくれ」

 四名が訝りながら駆けて来た。

「意味が分らん、何を言ってるんだ」

「見てもらった方が早い」


 斥候の傍で四名の足が止まり、辺りを見回した。

一目瞭然。

「生えているの、埋められているの」

「生えてるはないな。

たぶん、埋められてる」

「どうやってなの」

「見た事はないが、土魔法の使い手なら可能かも知れん。

 古手らしいのが断言した。

「土の感じから、ついさっきの事だな。

使い手は俺達に気付いて、姿を消した」

 五名がキョロキョロし始めた。

足跡を探しているのだろう。

僕は大樹を飛び下りた際、足跡を残した筈だ。

これは参った。

僕は草藪から退くことにした。

抜き足差し足忍び足。


 草藪を抜け出ると、さらに後方へ移動した。

足跡を残さぬように、身体強化と風魔法の連携で、

手頃な岩陰に飛び、身を隠した。

一足違いで五名が草藪に踏み込んだ。

「いない、誰もいないわよ」

「逃げられたか」

「でも、どうして逃げるの。

埋めた魔物はどうするの。

掘り出して魔卵や部位を取らないの」

「たぶん、魔力が減って出来ないんだろう。

これだけの大仕事だ。

からっけつだ。

別の魔物が来たら対処できない」

「だからって、このままで逃げたの」

「死ぬよりは良いだろう」


 五名は話し合いの末、掘り出す事にした、

「これも何かの縁だ、有り難く頂こう」

「何の縁なの」

「奇縁・・・かな」


 僕は文句はない。

お譲りしよう。

掘り出してもらおう。

後の問題は噂だ。

土魔法の使い手の存在が冒険者仲間の口に上がる。

探す者も現れるだろう。

 僕は噂から距離を置くことにした。

逃れる為に一時帰郷しよう。

そう決めると身体が軽やかに動いた。


 冒険者ギルドの買い取り窓口に薬草は当然、

魔卵や部位を差し出した。

このところ毎日なので、窓口の職員も慣れたもの。

「よく獲れるね」

「自分を囮にすれば、魔物は真っ直ぐに突っ込んで来てくれます。

その目の前に剣先を突き出しておくだけです」嘘だ。

「なる程ね、でも失敗すると死ぬよ」

「それは覚悟しています。

生きる為です」

「・・・そうか」


 金貨は口座に預け、銀貨や銅貨は手元に残した。

職員が感心した。

「貯めるね、いい子だね。

この調子で貯めて、ある程度の金額になったら、

商人ギルドに貸すのも良いかも知れないよ」

「そんな事が出来るんですか」

「ああ、そうやってお金を増やしている冒険者は珍しくない。

引退後が心配だからね」

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― 新着の感想 ―
[一言] お金は十二分に持っているのだから、趣味と訓練のために働いているんだろうな。
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