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虻蜂虎S'。  作者: 渡良瀬ワタル
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(故郷)15

 僕は目立たぬように気を使った。

人気のないところで薬草採取、ついでに魔物討伐。

街中ではフードで顔を隠した。

喋るのは買い取り窓口の職員、テルーズ亭の従業員、

屋台の店主、そんなに多くはない。

なのに僕に関心を寄せる者が増えてきた。

特に同じ見習いの子供達。

不躾な視線でジロジロ、チラチラ。

でも声は掛けて来ない。

僕が人を寄せ付けぬようにフードを被っているのが原因だろう。

 それはさておき、エリカや弟と距離を取ろうと考えた当人が、

この街で友達を作るのは考えもの。

作ったとしたら裏切りでしかない。


 市は領都なのだが、周辺はそれほど開発されていない。

喜ばしい事ではないが、領兵の巡回すらも見掛けたことがない。

そのせいで魔物や盗賊の出没が著しい。

お陰で僕は稼げる、稼げる。

薬草採取の片手間に魔物討伐だ。

 盗賊は要らない。

盗賊討伐して目立ちたくない。

それに必要でなければ人殺しはしたくない。


 今日は南側の森を狩場にした。

見習いが入ってはいけない場所だ。

だけどそれを守る見習いはいない。

さっきも見習いパーティが入った。

それを目にした大人パーティも注意はしない。

親の稼ぎが少なければ、子供が助けるしかない。

それは周知の悲しい実情。

だから大人達は見習いパーティを見逃す。

規則は規則でしかない。

破る為にある規則。


 僕は鑑定の範囲を広げて薬草を探した。

他の見習いパーティの邪魔をせぬように、そして見つからぬように、

離れた箇所に足を運んだ。

僕の反則技の鑑定が高値で売れる薬草を見つけた。

この辺りでは珍しい物で、MP回復の中級ポーションの元になる。

お宝、お宝。

ささっと風魔法で採取して竹籠に入れた。


 竹籠が三種類の薬草で一杯になった。

そうなると次は魔物討伐だ。

鑑定をより広げた。

割と近くにバーティや魔物を見つけた。

 そのうちの一つ、ガゼローンの群れが急速で接近していた。

狐の種から枝分かれした魔物で、その種の最下層だ。

一匹一匹は弱いが群れなすと強敵になる。

チームプレーで強者を失血死に追い込む。

実に面倒な相手であった。

それが十四匹、こちらに向かっていた。

何かに追われているのか、何か獲物を見つけたのか。


 僕は久々に身体強化した。

それで手近の大樹にジャンブした。

太い枝に腰掛けた。

やり過ごすつもりでいた。

ガゼローンの魔卵も部位は値段的に美味しくないからだ。

 その十四匹が大樹の下で足を止めた。

包囲して上を見上げた。

どうやら僕が獲物らしい。

 偵察に出ていた奴の目に留まったと言う事なのだろう。

嬉しくない。

どうしてくれよう。 

 んっ、最後尾の一匹がいやに大きい。

鑑定した。

ガゼミゼル。

中位種だ。

武器はブレススノーストーム。

吹雪で相手を吹き飛ばす、あるいは凍り付かせる。

実に嫌な奴が十三匹を統率していた。


 先手必勝。

僕は土魔法を起動した。

範囲を定めて沼地をイメージした。

Go。

 大樹の周辺の魔素が揺れた。

一瞬で辺り一面が泥沼に変貌した。

一頭と十三匹が気付いた時には遅かった。

足下が温み始めたので飛んで逃れるのは不可能。

小柄なガゼローンがそのまま沼地に沈む。

ガゼミゼルも憤慨の悲鳴を上げて没した。

最後に二本の枯れ木が横倒しになった。

 僕はこれに名付けした。

ボグへルン。


 このまま沼地のままでは拙い。

森に悪影響をもたらす。

即座に復元した。

ガゼミゼルの魔卵と部位は勿体ないけど仕方ない。

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