(故郷)11
昨日の買い物が予想外の事になった。
男児達はそれぞれが必要とする物を、
リュッサックに整えて詰め込んで、それで満足した。
ところがエリカが買い物に参戦してしまった。
村にない物を色々と買い漁った。
それも大量に。
結果、男児達は荷物持ちに任命されてしまった。
エリカと二人なら亜空間に収納すれば、何の問題もない。
けど、それを男児達に見せる訳には行かない。
何故なら口が軽いからだ。
「男子は口が軽いのよ」エリカが断言した。
朝食を終えると、男児達に荷物を持たせて宿屋を後にした。
僕とエリカは何時ものフード付きローブ姿。
手には魔法杖、エリカは木杖。
男児三人はリュックサックを背負い、
手にもう一つのリュックサックを抱きかかえていた。
何とも可愛らしい荷物持ち。
ナギラが嘆いた。
「俺達は荷物持ちか」
エリカが返した。
「当然でしょう。
荷物を持ってるんだから荷物持ち」
話が噛み合わない。
僕達は駅馬車の乗り場へ向かった。
村までの直行便があればいいのだが・・・。
なかった。
途中の町までしかなかった。
男児達の荷物を見ると、町から歩いて村に戻るのは有り得ない。
そこで僕は貸し切りを探した。
一輌見つけた。
箱馬車でも幌馬車でもなかった。
古びた荷馬車であった。
馭者は僕達の足下を見た。
「疑う訳じゃないが、料金は支払えるのか。
村で着払いは困るよ」
僕は肩掛けバック経由で亜空間から金貨三枚を取り出した。
要求された金額より一枚余分に見せた。
馭者の顔色が目に見えて変化した。
欲深い目だ。
「分かった。
ただし途中で魔物や盗賊が出る。
冒険者パーティを雇うが、それで良いか」
至極当然な提案なので依存はない。
馭者が荷馬車を僕達に預け、冒険者パーティを探し、
連れて来た。
大きな男に率いられた三人組。
馬三頭を牽いていた。
「直行だから一日だ。
金貨二枚、支払えるか」見た目通り大きな男がリーダーだった。
適正料金かどうかは知らない。
揉めるのもアレだし、了承した。
「半金は前払い、残金は着払い。
それで良いかい」
「いいだろう」偉そうな物言い。
僕は馭者に半金、冒険者パーティに半金、金貨二枚を手渡した。
僕達は荷馬車に乗った。
荷台は尻が痛いが、そこは我慢、我慢。
騎乗した冒険者パーティが警護に付いた。
先頭に一騎、後方に二騎。
馭者が冒険者のリーダーに言葉をかけた。
「途中で近道する。
道は分かるな」
「分かる、任せろ」
街道から外れた。
雑木林の中の道はあまり使われていないようで、轍が少ない。
ここ最近は走った形跡すらない。
どれだけ使われていないんだ。
馬車が更に脇道に逸れた。
僕は危惧した。
これは・・・。
暫く走ると、荷馬車が止まった。
深い木立の陰だ。
そこは小さな広場のようになっていた。
馭者が僕達を振り返った。
「着いたぞ」
冒険者パーティの三人がニヤニヤしながら馬を寄せて来た。
荷台の僕達を嘲笑う。
「地獄の一丁目だ」小柄な男が言う。
荷台の男児三人は固まった。
エリカは平然と僕を見返した。
信頼している目付き。
僕は彼女に頷き返した。




