(故郷)8
川で洗濯させられていた子供達が異常に気付いた。
「大人達がいないぞ」
「こっちにもいない」
「どこに行ったんだ」
「探せ、探せ」
子供達は十五名。
子供兵として育てる為、
五才から十二才くらいまでが集められていた。
否、攫われていた。
十五名は右に左に走り、監視役の大人達を探した。
下手に逃げて捕まると酷い目な遭う、その教訓からだろう。
川沿いを拠点にして必死に探し回った。
もうじき日が暮れるが、拠点を移すつもりはないようだ。
僕は弟を助けに来ただけだが、
今直ぐ手を差し伸べるのは躊躇われる。
肝心のブラッシユ傭兵団の本拠が手付かずだ。
それを解決してからだ。
「エリカ、行くよ」
「傭兵団を潰すのね」
「そうだよ。
潰してからでないと、安心して弟を連れ帰れないからね」
鑑定で索敵しながら進んだ。
本拠は近い。
総勢六十七名。
男だけでなく女もいた。
全員が傭兵だ。
本拠だけに警戒も厳重だ。
立哨が四方に配置されていて、その目を避けるのは無理。
となれば対処するしかない。
先手必勝。
手はある。
先ほど実証済みの技。
ここでもエリカと手を繋いだ。
僕とエリカ、そして魔法杖、三者の合同魔法。
進行方向の立哨二名をロックオン、足下をマーキング。
土魔法起動、アースホール。
二名の足下に深い穴をあけた。
直径1メートル、深さ3メートル。
途端、二名が声もなく落下した。
声を上げる前に埋め戻す。
余りで盛土、立派に成仏しますように。
二名の立哨していた箇所から敵拠点を見渡した。
小さな砦だ。
外壁上を巡回している兵が見えた。
僕は改めて鑑定で傭兵連中を調べた。
低レベルだが、スキル持ちが幾人かいた。
脅威ではないが、戦いの経験者だ。
侮るべきではない。
まずは建物の外にいる二十六名。
生かしたまま捕えるつもりはない。
土魔法起動、土玉・アースボール。
二十六発、待機。
頭部をロックオン、ホーミング。
上空へ放った。
空気を切り裂き、放物線を描いて砦へ落ちて行く。
一つ残らず命中した。
頭部を直撃して陥没させたままでは飽き足らず、破壊した。
赤く染まった部位が骨付きのまま四散した。
まるでスイカの破裂だ。
建物内にいた同僚達が気付いて飛び出して来た。
その途中で皆が足を止めた。
惨状と、原因が分からないので、警戒の視線を周囲に配った。
僕は見逃さない。
十二発、待機。
再び頭部をロックオン、マーキング。
放った。
これも一つ残らず命中させた。
三十八名潰した、頭から。
残りは二十九名。
姿を見せぬ襲撃者を恐れたのか、その後は一人も出てこない。
団長も副団長も生存していた。
これでは拙い、時間との戦いになる。
よくよく鑑定すると外壁や建物の主材料は土。
要所には加工した岩が使われているが、大部分は煉瓦。
これは使える。
魔力は魔法杖に依存しよう。
僕は土魔法を起動した。
範囲攻撃を選択、砦全体を入れた。
イメージで煉瓦を軟化させた。
発動した。
魔法杖から放たれた土魔法が上空へ飛ぶ。
砦上空へ至ると、広がり降下を開始した。
砦全体を大きく覆う。
そして煉瓦に浸透して行く。




