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虻蜂虎S'。  作者: 渡良瀬ワタル
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(故郷)7

 ブラッシュ傭兵団を見つけた。

こうなるとレイガンは不要だ。

エリカに事情を告げて町から出た。

同じフード付きのローブだが、誰も不審な目は向けない。

いや、関心がないと言うべきなんだろう。

生活に余裕がないから他人には構っていられない。

そう感じた。

 僕達は目的地に向かった。

マップの性能が良いので地理が分かり易い。

迂回にはなるが平地を歩いた。

僕の手には魔法杖。

エリカの手には木杖。

途中で遭った魔物を討伐しながら小川に到着した。


 上流にブラッシュ傭兵団の拠点がある。

「エリカ、何かあったら必ず僕に報告すること、いいね」

「はい」

「それと、危ないと思ったら僕の後ろに隠れること、これも良いね」

「はい」

 エリカは聞き分けが良い。


 前方を鑑定しながら足を進めた。

藪が有れば藪陰に、木があれば木陰に、

とにかく物陰を利用して前へ前へと進んだ。

驚いたことに見張りも、巡回する奴もいない。

安心し切っているのだろう。

普通、傭兵団を襲う奴はいない。

討伐する兵を差し向ける気概のある領主もいない。

そこに安住しているのかも知れない。


 子供達と大人達が小川にいた。

子供達は洗濯。

大人達は見張り。

そこに会話は一つもなかった。

楽しい河原遊びの雰囲気は微塵もなく、

時折、大人達の誰かから叱咤する声が飛ぶ。

下手すれば小石も投げられた。

「そこの奴、しっかり働け。

さぼる奴は飯抜きだ」

 その大人達は魔物の見張りと同時に、

子供達が逃げ出さないようにも見張っていた。


 僕は子供達を鑑定した。

子供達は攫われた者ばかり。

そんな中に弟を見つけた。


「名前、ナギラ。

種別、人族。

年齢、8才。

性別、雄。

出身地、パラディン王国。

住所、なし。

職業、なし。

ランク、F。

HP、10/25。

MP、15/25。

スキル、生活魔法(火、風)」


 子供達に病気持ちや怪我人はいない。

傭兵団としては、子供兵として育てるので酷使はするが、

病気や怪我には注意しているのだろう。

 僕は大人達を詳細に鑑定した。

用心すべきスキル所持者はいない。

七人全員をロックオン。

その足下をマーキング。

僕はエリカに小声で囁いた。

「力を合わせよう」

「どうするの」

「エリカの魔力を借りるだけ、後は任せて」


 僕はエリカと手を繋ぎ、エリカも感じ取れるように、

彼女の魔力を拝借した。

僕とエリカ、そして魔法杖、三者の合同魔法。

土魔法を起動した。

七人の足下に深い穴をあけた。

アースホール。

直径1メートル、深さ3メートル。

途端、七人全員が地上から音もなく姿を消した。

 子供達は誰一人気付いていない。

気付く前に穴を埋め戻した。

人が入っているので盛土になるが、それは仕方ないだろう。

立派に成仏しますようにと祈った。


 理解したエリカが僕を振り返った。

「凄い」

「だろう」

「私も役に立てたのね」

「当然だよ。

まだまだやるよ。

近くの拠点も潰すよ」

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