表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虻蜂虎S'。  作者: 渡良瀬ワタル
57/282

(道中)25

 僕は幌馬車の女子供二十三名の【奴隷の首輪】を外し、

その場で解放した。

解放される間、女子供は周りを見回して言葉がなかったが、

説明するのも面倒臭いので、無言でちゃちゃっと首輪を外した。

死体とか、馬とか、残した物は多いが、知らんがな。

「それじゃあ、次は捕まらないようにな」

 エリカを促して、そそくさとと別れた。

一人が追いかけて来た。

しっかり顔の婦人だった。

「ありがとうございます」

「分かった、気にしなくていいよ。

気をつけて村に帰りなよ」

「はい。

それで御礼は」

「いらない、先を急いでいるんだ」

「それなら幌馬車か馬を」

「皆で分けなよ。

これから先、必要になると思う。

死んでる連中の持ち物も皆に譲るよ。

特に財布かな」

 婦人は深く頭を下げた。

「ありがとうございます」

 それに倣ったのか、後ろの者達も一斉に頭を下げた。


 途中、アイリール山の姿を見ながら枝道へ進んだ。

詳細な道路地図がないので、覚えている山の形を参考にした。

たぶん、これで間違いはない筈だ。

時折、擦れ違う行商人や冒険者に尋ねながら、方向を転換し、

村へ村へと近付いた。

 一泊した次の昼、見慣れた光景が前方に広がった。

丘の先の草地に囲まれた村。

崩れ落ちた家屋が多い。

手前には川が流れ、橋が架けられていた。


『プルセヌ川』

アイリーン山から流れて来る川。


『ミナリュ橋』

木造の橋。


『カリス村』


 鑑定の表示がおかしい。

人口が表示されない。

村名のみ。

これは・・・。

遠目にでも荒廃しているのが分かった。

エリカがローブの裾を離した。

「先に行くね」

 返事も待たずに小走りで向かった。

彼女は居ても立っても居られないのだろう。

僕も辺りを鑑定しながら足を速めた。

魔物はいない。

人は・・・。

村の中に六人いた。

それらは村の中を動き回っていた

鑑定で村人として計上されない者達。

スキル的にも危なくない者達。


 村の中でエリカが六人に囲まれていた。

エリカが僕を振り返った。

囲む者達も僕に気付いた。

僕の中のジュリアの記憶に残っている者ばかり。

全員が元村人。

エリカが僕に説明してくれた。

「生き残った人達は隣の村に移ったんだって。

そこにねえ、私のお祖母ちゃんがいるって」

 嬉しいのか、嬉しくないのか、分からぬ声音。

それはそうだろう。

父母や兄弟姉妹に言及がない。


 僕はこれまでの経緯を適当に端折って説明した。

エリカも分かっているので、僕に合わせてくれた。

それで元村人達は納得し、逃げて来た事を喜んでくれた。

一人が言う。

「大変だったろう。

小さな身でよく戻って来てくれた」

 もう一人が言う。

「ここを片付けて、何れ村を再建するつもりだ。

二人も力を貸してくれよ」

 更地になっているのは八棟か九棟。

残った家屋は三十棟ほど。

圧倒的に人手が足りない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ