(道中)24
窓口で売る物を出した。
肩掛けバッグ経由で亜空間収納から取り出した。
収納力を見抜かれたくないので手加減した。
低ランクの魔物の魔卵と部位にした。
それでも十分に驚かれた。
「見習いにしては凄いね。
成人した暁には飛び級だな。
・・・。
合計で86,500ベレルになります」
ギルドの表に回った。
依頼表が張り出してある掲示板を覗いて見た。
依頼表ではなく、ギルドからの注意事項が気になった。
魔物情報だけでなく、地域の情報も張り出してあるからだ。
盗賊、治安、流行り病、道路、橋等々。
あった。
僕達が向かうアイリール山方向だけではなかった。
けっこうな数の地方に盗賊が出没し、治安悪化となっていた。
隣接する領地間の紛争も記されていた。
どうなっているのだろう、この王国は。
肩掛けバッグ経由で亜空間収納から魔法杖を取り出した。
とにかく村に戻るしかない。
アイリール山へ向かった。
治安が悪化しているせいか、行き交う人や馬車は少ない。
そんな中、こちらに向かって来る不審な集団を見つけた。
雑然としていて、何やら気にかかる。
鑑定した。
四輌の幌馬車と騎馬四十七騎。
四十七騎と馭者四名は盗賊団。
戦士系スキル持ちと魔法使いもいるが、
ただの数任せの無法者集団だった。
幌馬車の中には捕らわれた女子供二十三名と分捕った物。
見逃す訳には行かない。
「エリカ、あれは敵だ」
「分かった」ローブの後ろに隠れた。
魔物杖に干渉し、魔力を拝借した。
土魔法を起動した。
馬の膝ほど深さの沼地をイメージした。
それでもって奴等を足止めする。
威力中級、範囲を決めた。
Go。
空気が揺らめき、風が僕を撫でた。
一瞬で奴等の周辺が沼地化した。
馬も幌馬車も動けない。
理解が追い付かず、呆然とする盗賊団。
僕は奴等の方へ歩み寄りながら、次の攻撃に転じた。
同じく土魔法。
破裂も貫通もしない硬いだけの土玉・アースボールをイメージした。
まず十一発、待機。
右胸をロックオン、ホーミング。
放った、Go。
馭者四名と騎乗の七名が悲鳴を上げて沼地に落ちた。
あっ、もしかして泥で溺れるのか。
そこまでは計算してなかった。
残りの連中、ようやく事態に理解が追い付いたらしい。
全員が僕を睨み付けた。
慌てて馬を走らせようとした。
それを馬は拒否、微動だにしない。
まあ、膝までの深さの沼地を、人を乗せたままで動ける訳がない。
アースボールで手前から次々に狙い撃ち。
気の回る奴もいた。
急いで弓を手にした。
馬鹿な奴。
矢を放つまで待つ訳がない。
真っ先にそいつをロックオン。
Go、ゲット。
怒る奴もいれば、降伏を申し出る奴も。
でも僕は悪党には平等。
手前から落として行く。
二三名が馬から飛び降りた。
脇の草地に逃げ込もうとした。
あっ、こいつら最優先だな。
人数は多かったが大した手間はかからなかった。
五十一名全員を沼地に撃ち落した。
馬の膝ほどの深さの沼地なので、そんなに深いとは思わない。
でも落ちた連中の誰一人、顔を出さない。
気絶したまま落ちたからなのか。
まあ、いい。
終わった。
沼地の解除をイメージした。
凄い。
一瞬で街道が元に戻った。
路上には身動きしない五十一名、所在なげに佇む四十七頭、
そして馭者のいない幌馬車四輌。




