(道中)22
攻撃こそ最大の防御なり。
僕は魔法杖に干渉し、魔力を拝借した。
風魔法上級の範囲攻撃・プリズントルネード。
威力のMP数値は50。
門を巻き込む形で、町中に放った。
Go。
もの凄い重低音が響き渡り、見慣れた光景が展開された。
直径高さ共に100メートル以上の竜巻が発生した。
ありとあらゆる物を破壊して空高く巻き上げた。
門衛三名と門、それに連なる高い外壁も、
外壁よりも高かった建物二棟も巻き込まれた。
そして竜巻は全てを持ち去って消えた。
僕は荷馬車の隊列を従えて町に入った。
更地の空間が広がり、その周辺では人々が唖然としていた。
誰一人、僕達には注目しない。
通関の係官ですら身動き一つしない。
僕達の相手どころではないのだろう。
橋の出国門を守っていたベランルージュの将兵が我に返り、
竜巻が消えた更地に駆けて行く。
それは通関職員も同じだった。
彼等も我先にと駆けて行く。
あの辺りに大事な者か、知人がいたのだろう。
悲鳴が聞こえ始めた。
お気の毒に。
合掌。
『レニス橋』
ベランルージュ王国とバラディン王国の間に架かる橋。
剛性強化の術式が施されている。
『ロートレイン川』
ベランルージュ王国とバラディン王国の間に流れる川。
通関手続きはしてないが問題はない。
僕達は出国門を抜けた。
橋の先の入国門では故国の将兵等が群れていた。
通関職員も野次馬と化し、こちらを見ていた。
僕達ではなく、こちらの惨状が気になるのだろう。
だったら体験すればいいのに。
僕は体験させてやりたいけど、下手すると橋も消えてしまう。
我慢した。
代わりに別の物を体験させることにした。
まず一人一人を鑑定した。
ここも手抜かり無し。
国境だけに人材が豊富。
戦士系スキル持ちや魔法使いが揃っていた。
僕は風魔法を起動した。
威力上級、破壊力特化の風玉・ウィンドボールを三十発。
入国門へ向けて乱れ撃ち。
Go、Go、Go。
流石は威力上級。
当たるや否や破裂、その破壊力が凄い。
周りの者達も巻き込み、大きく弾き飛ばした。
入国門もズタボロ、破片が飛び散った。
人陰がなくなったので僕達は安心して前進した。
邪魔になる人間や破片は風魔法で川に投げ落とした。
人間は、たぶん、泳げるよね。
『ワルセフ町』
ベランルージュとの国境の町。
人口一万人。
国境守備隊と交易の町。
橋を渡り終えて町に入った。
そんな僕達の前に新たな将兵の群れ。
皆が皆、猜疑心の籠った目で僕達御一行様を見ていた。
やられる前にやる、それが勝つための基本。
幸い、彼等とは距離がある。
まず鑑定した。
こちらも人材が豊富だった。
戦士系スキル持ちや魔法使いが揃っていた。
それにしても彼等が守るのは何なのだろう。
まあ、いいか。
遠慮はしない。
帰国祝いだ。
ここでもMP数値50のプリズントルネードの出番。
それを前方に放った。
Go。
直径高さ共に100メートル以上の竜巻が発生。
真っ先に将兵の群れを巻き込んだ。
悲鳴なんてのは聞こえて来ない。
重低音が全て上書きするからだ。
そして町のメインストリートを更地に変えた。
ものはついでだ。
橋も壊しておこう。
誰も売られないようにしておこう。
プリズントルネードの大安売りだ。
それを橋に放った。
Go。
もう一丁。
町の出口部分にも放った。
Go。
「ピコ~ン」
久しぶりに目の前に半透明化したモニター画面が現れた。
「風魔法が超級に到達しました」説明文。
仕事に復帰するので、これからの投稿が不定期になります。
これからもよろしくお願いしますね。




