表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虻蜂虎S'。  作者: 渡良瀬ワタル
51/282

(道中)19

 僕達には微風すら来ない。

魔法使いが自分の攻撃魔法の影響を受ける事はないからだ。

でも音だけは誤魔化せない。

市街にまで届いただろう。

 隠れていた元奴隷達が倉庫から飛び出して来た。

竜巻を見て言葉もない様子、それでも防衛反応が働くのか、

ジワリジワリと後退りした。


 竜巻が被災地を更地に変えた。

巻き上げられた物は一切、落ちては来ない。

突然あらわれて、全てを持ち去り、スウッと音もなく消えた。

静謐が訪れた。


 最初に動いたのは周辺に散開し、生き残っていた市兵達だった。

悲鳴一つでも上げるのが怖いのか、怯えながら、

ここから遠ざかろうとした。

どこを目指しているのか知らないが、

私とは正反対方向へ逃げて行く。

釣られて港で働き始めた者達も逃げて行く。

付近の町家からも逃げる者が出始めた。


 さあ、仕事を始めよう。

手始めは港の出入り口の左右の灯台。

もう明るくなったから灯りは不要だろう。

威力上級の風玉・ウィンドスピア、二発、Go。

一階部分を突き壊し、倒壊させた。


 入港して来る商船が姿を現した。

ちょっと遠いが、この魔法杖の仕様なら問題なし。

喫水線にウィンドスピアをGo。

狙った箇所に命中し、突き抜けた。

開いた穴から海水が浸水を始めた。

 この勢いのまま停泊中の商船漁船に関わらず、全てを狙った。

勿論、喫水線だ。

これら全ての船が港内に沈没すれば、港湾は使用できなくなる。


 僕はジョニーに確認した。

「荷馬車に積み忘れはないか」

「ないです」

「それじゃ、行き先別に皆を乗せろ。

乗せて待機だ。

出発は僕が指示する」

 皆が僕を恐れるように動き始めた。


 次は港湾内の建物。

遠慮会釈なし、ウィンドスピアで穴を開け、

解体をせざるを得ぬ状態に持って行く。

我ながら、あくどい。


港湾のお掃除は終わった。

仕上げの時間です。

街並みを見回した。

家々から人々が飛び出していた。

手に荷物を持っている者、子供を抱いている者、躓く者、泣く者、

馬車に乗り込もうとする者、様々な逃亡光景が見えた。

 気の毒だとは思う。

でも奴隷に落とされるよりは良いだろう。

君達は幸運なのだ。


 僕はジョニーに手を振った。

「よし、行きな。

次は借金するなよ。

もう助けられないからな」

 先頭の荷馬車にジョニーがいた。

「ありがとうございます」苦笑い。

「上手く難民に紛れるんだ」

「はい、そちらもご無事で」

 最後尾はマット。

初めて見せる愛想の良い顔で、僕に手を振った。

「ありがとう」

「元気でな」

 他の連中も僕に手を振って逃げて行く。

あっ、先頭の荷馬車が人を轢いた。

異世界に転生するのかな。

えっ、起き上がって荷馬車に飛び乗った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ