(道中)18
☆
僕は仮眠していたが、外からの探知で目が覚めた。
脳内がヒリヒリした。
油断していた訳じゃない。
元奴隷達に交替で見張りするように指示して置いた。
それが仕事をしていなかった。
交替するのを忘れて居眠りしていた。
馬鹿々々しさにも、ほどがある。
鑑定を起動した。
探知スキルの持ち主は直ぐに見つけた。
問題はそれじゃない。
気付いたら包囲されていた。
鑑定の範囲を広げた。
いるわいるわ、わんさか、大漁だ。
遠巻きしている者も含めると五百余。
間近には手練れが百余。
その中核が中級スキル持ち。
これは手強い。
僕は肩掛けバッグ経由で魔法杖を取り出した。
魔法杖に干渉し、魔力を拝借、鑑定を起動した。
エリカを起こした。
「ついてきて」説明を省いた。
近くで仮眠していたジョニーが起きた。
「どうした」
「包囲されてる。
僕が潰すから出かける準備をさせておけ。
指示するまで外に出さないようにな。
巻き込まれたら死ぬぞ」
エリカが寝ぼけ眼で私に尋ねた。
「でも大丈夫なんでしょう」
「エリカは僕が守るから大丈夫。
ローブの裾を掴んで離すなよ」
「わかった」
僕が倉庫から出るのに合わせ、敵が退いて行く。
一見すると表は無人。
人影一つないが、人陰だけは隠せない。
こちらの出方を警戒して、物陰から大勢が窺っていた。
薄明るさの中、無関係の者達も遠くにチラホラ。
あの辺りは規制していない。
安全と判断しているようだ。
魔法杖が反応した。
魔水晶が赤くフラッシュ、バイブ。
防御魔法が展開した。
魔力障壁ドームを張った。
攻撃魔法が放たれた。
火魔法中級と土魔法中級。
矢も飛来した。
物陰から戦士系スキルの持ち主達が姿を現した。
得意の武器を手にして駆けて来る。
続け様に響き渡る衝撃音。
その悉くをドームが弾き返した。
それでも手数で押して来るのでドームに罅が走った。
ドームの【自動修復】との競争になった。
加勢しようと新手が現れた。
前方の倉庫群の陰から次々に飛び出した。
路上をこちらに駆けて来る。
エリカが心配した。
「お姉ちゃん、大丈夫だよね」
「任せな」
僕はドームの真上に攻撃魔法の射出口を開けた。
風魔法を起動した。
威力は上級。
風玉・ウィンドボールを十三発、待機。
ドームを包囲している小うるさい十三名の左膝をロックオン、
ホーミング。
放った、放った、Go、Go、Go。
スキル持ちでも攻撃に専念しているので、
こちらの反撃には気付かなかった。
一人として逃れられない。
悲鳴と鮮血。
全員が左膝を失い、バランスを崩して路上を転げまわる。
新手全員の足が止まった。
驚き、足を踏み出すのを躊躇っていた。
そんな事は僕には関係ない、関係ない。
ここでも風魔法、範囲攻撃のブリズントルネード。
威力のMP数値は50。
それを彼等に向けた。
Go。
彼等の中央でいきなり、それが炸裂した。
突風が湧き、低重音を響かせて黒い強風が渦巻く。
一瞬で直径も高さも共に100メートル以上の竜巻が発生した。
人も建物も、ありとあらゆる物を破壊して飲み込み、
空高く巻き上げた。




