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虻蜂虎S'。  作者: 渡良瀬ワタル
37/276

(道中)5

 それにしても外が騒がしい。

エリカは気付かないが、僕は宿舎の魔水晶に干渉し、

探知と察知に相乗りしているので詳細に分かった。

魔物が複数、徘徊していた。

【魔物忌避】が効果を発揮しているので宿舎への接近はないが、

魔物同士の争いには効果がない。

強者が弱者を食い物にしていた。

こちらに偶然に接触しなければ問題ないのだけど。

 危機に際して宿舎に張られる魔力障壁ドームは、

宿舎の中心から半径8メートル、高さ5メートル。

自動修復機能があるから防御は完璧だと思う。

よほど凶暴凶悪な魔物でなければ。


 目が覚めた。

爆睡してしまった。

隣ではエリカが大の字になっていた。

泣き疲れか、目元が腫れていた。

 僕は嵌め殺しの窓を見た。

スチールスモークガラス窓なので、外から中は見えないが、

中から外は見える。

見えるが薄闇の中にいる様なものなので、朝か昼か、

正確には分からない。

 僕はエリカを起こさぬ様に注意して布団から抜け出した。

玄関ドアを開けて外を見た。

木漏れ日だ。

「ジュリア」エリカが上半身を起こし、僕を見ていた。

「起きたのか、朝だよ」

 エリカが跳ね起きて、駆けて来た。

僕にしがみつく。

ついでだ。

「魔法を使うよ」ライトクリーンプラスを二人にかけた。

 エリアの目元の腫れが消えた。


 布団をしまってモーニングにした。

木皿と竹コップ、それぞれ二セットを取り出した。

木皿には干し肉と、青空市場で買い求めたバナナ。

竹コップには、同じく青空市場で買い求めたスープ。

 エリカの味評価は厳しい。

「しょっぱい干し肉ね」

 汗をかくから問題ない。

「大き過ぎない、このバナナ」

 噛めば問題ない。

「味の濃いスープね」

 大人の味と言ってほしい。


 僕は亜空間収納から従士用の物を取り出した。

パンツ三枚、肌着三枚、ズボン三本、シャツ三枚、靴下三組、

剣帯三本、革靴三組、フード付きローブ三枚。

それを見てエリカが不審な顔をした。

「これは」

「エリカの着替えだよ」

「えっ、男の子の物でしょう」パンツを指差した。

 忘れていた。

武器庫から盗んだ物は男物ばかり。

しまったなあ。

青空市場に寄った際に女の子用を買っておけばよかった。

ほんとう、後悔先に立たず。

「だよねえ」返す言葉がない。

「もしかしてジュリア」

「見るかい」


 僕はズホンとシャツを脱いで下着姿を見せた。

エリカが目を丸くした。

「えー」引かれてしまった。

 僕は考えた。

いくら何でも盗んだとは言えない。

そこで男物だけに、珍説を披露した。

「誰も頼れないから、僕は男になる事にしたんだ。

このパンツや肌着から始めたんだよ」苦しい言い訳。

「んー、分かった。

エリカも男の子になる」


 錬金術を起動した。

まずはパンツ、肌着、ズボン、シャツ、靴下、剣帯。

手持ちの術式があるから、それをコピーするだけ。


【自動サイズ調整】

【自動魔力供給】

【ブラックボックス、コーティング】

【魔力認識、作成者登録、所有者登録、盗難対策】


 慣れた手順なのでパパッと終えた。

「エリカ、魔力認証を済ませてから着替えて」

「はい」

 いい返事。

直ぐに全裸になった。

僕を女の子と信じて疑わない。

当然だな。

僕の身体は女の子なんだから。

視線を逸らして革靴、ローブ付きフードに取り掛かった。


【防寒、防暑、防水、防塵、防汚、防刃、防火】

【自動修復】

【自動サイズ調整】

【自動魔力供給】

【ブラックボックス、コーティング】

【魔力認識、作成者登録、所有者登録、盗難対策】

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