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虻蜂虎S'。  作者: 渡良瀬ワタル
15/276

(生贄)15

『バシュテル街道』

パラディン王国へ通じている街道。


『ノリス橋』

剛性強化の術式が施されている。


『初心者の森』

小型の魔物が多い森。


 F級クラス冒険者向けの『初心者の森』。

定期的にギルドで魔物を間引いているそうだ。

僕はゴーリン川に沿って北に向かった。

ギルドの売店で買った地図によると、

この先が薬草の自生地の一つ。

鑑定で調べた。

前方の水辺に数種類、薬草を確認した。


 僕は身体強化してないので疲れた。

足が重い、まるで一本の棒。

ボーッとしながら左右を見回した。

手頃な場所を見つけた。

 凹凸の凸地に腰を下ろして一休み、一休み。

すると背後から子供達の声が聞こえて来た。

見習いのみで構成されたパーティ。

五人がドッと水辺に押し寄せ、左右に広がって行く。

「俺が周囲の警戒をする。

皆は川の中のスライムに注意しろよ」

「はーい」

「あっ、薬草みっけ」

「わあー、いっぱい」

「こっちも」

「全部とるな、少し残すんだぞ」


 疲れが取れたので僕は移動した。

人がいない方へ、人がいない方へ。

気付いたら、『初心者の森』が目の前だった。

鑑定すると薬草の自生地だけでなく、魔物も見つけた。

 兎の種から枝分かれした魔物・ラブラビが群れなしていた。

体長は成体で50センチほど。

武器は額の左右の鋭い角、四本の牙。

特筆すべきは俊足、機敏、跳躍力と三拍子揃っていること。

初撃は角、手傷を負わせたら即座に牙で噛み砕く。


 僕は丈の高い雑草群に身を隠し、ラブラビの様子を窺った。

角は見るからに鋭そう、怖い。

でも兎耳が、鼻先が、可愛い。

気が緩んでいるのか、のんびりと薬草をハムハムしている。

 とっ、ラブラビの様子が一変した。

一斉に耳をピーンと立てた。

鼻を上向きにしてフムフムと空気を嗅ぐ仕草。


 しまった。

風向きが変わっていた。

こちらが風上。

 ラブラビ一同の視線が僕の方へ向けられた。

雑食の彼等、僕を獲物と認識したのだろう。

短い会話を交わすや、散開してこちらに駆けて来る。

数は七体。


 でも、僕にとっては好都合。

魔法の練習ができる。

即座に風魔法を起動した。

まずは防御から。

風盾・ウィンドシールドを選択した。

ラブラビの跳躍力を警戒し半径2メートル、高さ5メートルの円柱。

実に大人げない大きさにした。

 念の為、身体強化、

鋼の短剣を抜き、亜空間から鋼の小さな盾を出した。

これで備えは万全。


 大型のウィンドシールドを張ったので、僕の周囲の空気が揺らぐ。

けれど、ラブラビは何ら頓着しない。

包囲を完了するや、一斉に跳びかかって来た。

 跳躍力が凄い。

小さな身体なのに3メートルほど先からジャンプした。

角を突き出して攻撃して来た。

それでも、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン。

シールドの円柱を突破できない。

弾き返されて、ひっくり返った。

 ラブラビは諦めない。

起き上がるや、攻撃を再開した。

ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン。

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