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虻蜂虎S'。  作者: 渡良瀬ワタル
12/276

(生贄)12

 リュックサックを背負って散歩した。

肩や背中を慣らすつもりでいたのに、先に足にきた。

脹脛も太腿もパンパン。

なんて貧弱な足。

誰も見てないところで革靴は亜空間収納に取り込んだ。

これで少し背中が軽くなった。

 お腹も空いていたので、ちょっと早いけど休憩がてら、

小奇麗な店に入った。

異世界で初めての外食、ランチ。

『お任せランチ』を食べていると、

客同士の会話が耳に飛び込んで来た。


「魔法騎士団の駐屯地に雷様が落っこったそうだ」

「だってな。

大層な被害だってな」

「建物のほとんどが被災したんだろう」

「無事な建物はないって話だな」

「下敷きになってる奴や、生き埋めになってる奴が大勢いるが、

瓦礫が邪魔してるんだろう」

「王都に残っていた騎士団の魔法使い達が出動して、

瓦礫を片付けてはいるそうだが、

とても二日や三日では終わらんそうだな」

「どうするんだ」

「魔法ギルドに瓦礫片付けの依頼を出すんじゃないのかな」


 雷魔法がでてこない。

安心した。

お代は800ベレル。

大銅貨一枚と中銅貨三枚を支払って店を出た。

 足も回復した。

店員に場所を聞いた冒険者ギルドに遠回りで向かった。

歩きながら実感した。

この身体、虚弱体質にも程がある。


『王都西町冒険者ギルド』

王都の東西北の三か所にある冒険者ギルドの一つ。


 冒険者ギルドはガラガラだった。

まあ、当然だな。

この時間帯にいるのは寝坊したか、依頼を手早く済ませたか。

僕は受付カウンターの一つに向かった。

優しそうなお姉さんがいる窓口。

「ご用でしょうか」声も優しそう。

「登録したいのですが」

「はい、見たところ未成年ですよね。

でしたら、見習いからのスタートになります。

よろしいですか」

「あっ、はい、お願いします」


 お姉さんが懇切丁寧に説明してくれた。

「冒険者の階級は最上位のSから、A、B、C、D、E、最下位がF。

そしてアナタは、級外の見習いになるわね。

ギルドとしては、見習いには街中での安全な仕事を斡旋してるわ。

どうしてもと言うのなら、郊外での薬草の採取がお勧めね。

もっと稼ぎたいと言うのなら、荷物持ちね。

どこかのパーティに雇ってもらって討伐に参加するの。

でも、お勧めはしないわ。

討伐に失敗して逃げ遅れたら・・・、ねっ」肩を竦めた。

「はい。

僕は薬草採取をします」

「僕・・・、ねえアナタは女の子なんでしょう」

「はい、女の子です。

でも、小さな頃から僕なので、僕でお願いします」そこは譲れない。

 お姉さんは呆れ顔。

渋々と言った感じで説明を再開してくれた。

「わかったわ、好きにしなさい。

それでは手短にギルドの説明をしましょう。

入会の手続きはその後ね」


 全てを終えたら僕の荷物が増えていた。

一つは冒険者ギルドカード。

魔合金で作られたカードだ。

これは各種ギルドに所属するギルド員共通のカードになっている。


「名前、ジュリア。

種別、人族。

年齢、12才。

性別、雌。

出身地、パラディン王国。

住所、ベランルージュ王国、王都。

職業、冒険者見習い。

スキル、身体強化、生活魔法」


 左手には採取した薬草を入れる竹籠を下げていた。

ギルドの売店で買ったものだ。

一緒に大陸の地図や薬草図鑑、魔物図鑑、薬草自生地の地図、

これらも買い、背中のリュックサックに入れておいた。

硬貨はちょっぴり減ったが、背中がずんと重い。

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