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冒険者からの成り上がり~迷宮経営も楽じゃない~  作者: 浩志
コンビニ店員、冒険者になる
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八話

 魔石を使い切り回復薬が残り少ない樹は追い込まれていた。試してはいないが回復薬の連続使用は避けた方が良いだろう。折られた長剣は地面に転がしてあり、足場を確保しながら戦うにも限界が来ていた。


 体力の低下による集中力が途切れる場面も多々あり、目の前の変異ホブゴブリンの厄介さに舌打ちしたくなるくらいだ。ホブゴブリンソードマンでも十五レベルになれば数合も打ち合えば隙ができ倒せていたはずなのだ。


 魔闘術は素晴らしく、鈍りきった社会人の限界を超えてなお動けていること自体が奇跡みたいなものだ。レベルアップに伴うステータスアップがあっても無茶をしているという自覚はある。


 体も柔らかい方でないために可動域が狭く無理な体勢で攻撃を受けたこともあったのに体に不具合がないのが不思議なくらいである。迷宮から出ることができたのであればのんびり風呂に入った後に柔軟を毎日欠かさずにやろうと決意する。


 スポーツ選手を超えた動きを可能としているが柔軟性がなければ怪我をするのは目に見えている。糖尿病や高血圧といった生活習慣病を抱えていることが多い力士であっても体は驚くほどに柔らかい者が多い。


 体が柔らかければそれだけ怪我をしにくくなるということである。肉体が資本となる冒険者において怪我は致命的だ。怪我で済んで良かったとも言えるが、プロスポーツ選手のように契約で年俸が保障される職業では無いし、全てが自己責任だ。


 治療費や生活費を無収入でも補えるだけの貯金があれば良いが堅実な性格をしている者は冒険者にはならないだろうから怪我はしない方が良いのだ。魔石から魔力を抜けるのだから魔物から直接、抜けないかを試したこともある。


 結果、分かったことは不可能に近いだった。魔力が直接的に生命維持活動に必要ではなさそうだったが、生きている魔物の魔法抵抗を抜けなかったのだ。【魔力吸収(マナドレイン)】と仮称したが、空気中に漂う魔力の中にも瘴気は含まれており、自己魔力に変換するのに時間を要する。


 それが、使用した魔力が瞬時に回復しない理由であり、休息をとることで徐々に魔力が回復する理由なのだ。魔力を知覚してから迷宮外へと出ていない為に比較対象がないが迷宮は魔力が満ちた場所であると樹は思う。


 魔法の熟練度を上げるのには迷宮が適した場所であると同時に危険な場所になり得る。魔物は五感以外にもオーラや魔力を感知して索敵していると思われる場面に何度か出会っていたからだ。人型だからなのかは分からない。


 蛇もピット器官で獲物を探すくらいなのだから魔物もそうだろうという感想だ。レベルが低い冒険者でも安全にレベリングが出来るなら重宝されるかもしれないが、この迷宮に現れたゴブリンは害獣でしかなかった。


 迷宮ランクによってどのくらい出現する魔物の強さに差があるかは分からない。むしろいきなりC級以上の迷宮に放り込まれなくて良かったと思ったくらいだ。


 素質の関係もあるだろうが、非覚醒者が倒せるのは高くてもD級までだろう。それも格闘技の世界チャンピオンレベルでだ。一般人であればゴブリンに勝てるかは得物と運次第といったところだろうか。格闘技をみるのもご無沙汰だが、目の前の変異ホブゴブリンはそんな格闘技のプロでさえ簡単に薙ぎ払うだろう。


 レベルゼロの状態でレベル十から十五と同じ身体能力を持っているというのは脅威だがあくまでも競技という枠組みの中での話である。樹はゴブリンを殺すことができたのは生存本能からだ。


 本人は死にたいと思っていても死ねなかった。樹は鬱病になり、自殺も考えたがやはり生に縋りついてしまったのだ。それが悪いことだとは思わない。自分を守るために人と距離をとるのも処世術だからだ。


 家族は心の壁の内側にいるが、あくまでも他人であることには変わらない。その心理状態が精神耐性というスキルとして発現しただけであり、樹が善良な心を失った理由にはならないのだ。目には目を歯には歯をという原則はあっても自身を優先するのは当然のことだからだ。


 樹は左腕の傷を気にしながら戦っていた。ゴブリンアサシンの持つスキルの力でなく、変異ホブゴブリンの瘴気が樹の持つオーラを抜いて傷をつけていた。樹が纏うオーラはまだ完全には消えていない。


 変異ホブゴブリンの瘴気も魔闘術によって相殺されており、戦闘開始時の力強さは既にない。左腕の火傷は広範囲に渡っており疼痛(とうつう)がしているが戦闘に直ぐに支障が出るほどでもないと言った具合だ。


 一歩踏み込む事に生死の分け目にいることを実感させる。変異ホブゴブリンの剣戟(けんげき)は重く何度か剣を折られている。剣を折られながらも樹が生き残っていられたのは浅くしか踏み込んでいなかったことと魔闘術とオーラの防御を完全に抜かれていなかったからに過ぎない。


 樹は知らないことだが、ここH級迷宮は初心者用迷宮でありゴブリンなどが出てくるG級迷宮に分類され人型魔物は出てこないはずだった。


 動物に毛が生えた程度と認識されるスモールラビットやスモールマウスが主な魔物であり成人男性なら負けるはずもない最弱の魔物しか敵として出てこない比較的安全なものだ。


 それを改変したのが目の前の変異ホブゴブリンだ。迷宮主の特徴として該当等級の最大二つ以上までの等級の魔物までしか迷宮を支配できないという原則がある。G級であれば最大でもE級に該当する迷宮主しか出てこないのが本来の常識であった。


 変異ホブゴブリンの脅威度は最大でもD+本来の迷宮主であった職持ちホブゴブリンを倒して存在進化したのが変異ホブゴブリンの正体である。野良ゴブリンがH級迷宮の支配権を手に入れて書き換えが行われたことでG級迷宮へと進化した。


 ホブゴブリンへと存在進化する術を手に入れた野良ゴブリンだったが圧政に耐えかねたゴブリンによって討たれ変異ホブゴブリンが生まれた。


 そして、地球と超常空間である迷宮が繋がってしまった時に起きた時間差がいきなり迷宮に放り込まれるといった悲劇を生んだ。樹が迷宮に投げ出された日の死者は世界で一万人を超えており、先進国の軍隊を出動させた軍人がその半数を占めた。


 残りの半数は樹と同様に迷宮に突如として放り込まれた哀れな被害者と米国などの銃所持が認められた国の一般人が興味本位で入って魔物に喰われて命を落としたのである。


 武器の本数が少なくなったことで樹は方針転換を迫られた。武器にオーラを通して強化する方法を試みたが今までに一度も成功しておらず魔力も同様であった。魔法剣士と呼ばれる者たちには必須の技能であっても魔力やオーラに馴染みの浅い地球人に簡単にできることではない。


 魔法の威力を決定付けるのは想像(イメージ)だが、魔力を扱う術が分からなくては物理法則を学んだ現代人であっても高威力な魔法を放つことなど出来ないのだ。単体級である初級魔法が放てるだけでも御の字なのだ。


 金剛スキルを使うことは現状を変えるきっかけにはなるが博打でもある。完全に押し負けていないだけにオーラが使えなくなる状態へと早める金剛の使用は躊躇ってしまうのだ。


 消費したオーラの分だけ弱体化してしまえば均衡を保つことすら不可能になる。手傷を負わせてないだけに均衡もくそもないと思う人もいるかもしれないが負けないことは勝利すること以上に現状では価値があった。


 敗北が死なのだから当たり前だ。レベルアップの法則から考えてもこの死闘を乗り越えられれば得るものは多い。生憎、熟練度を鑑定できるまでに成長していないが、樹のスキル熟練度は上昇しているはずである。


 《規定熟練度を超えました。スキル【剣術】を獲得しました》


 BPを使用するように強く念じれば消費BPと共にスキルが表示される。消費BPは熟練度が溜まっているほどに少なくなり熟練度が上がっている目安になっていた。全く練習していない項目のBPは多くこれらを優先して取得するかはその人次第であるが目安が分かるというのは鑑定眼を取得した最大のメリットとなりつつある。


 他人の情報を閲覧できるようになるのにどれくらいの熟練度が必要なのかという問題もあるが未知の情報を手に入れられるアドバンテージは大きい。この鑑定の情報を教えてくれるのも案内人(ナビゲーター)の仕事なのかと思う。案内人でなくシステムさんと呼んだ方が良かった気もしたがどちらでも変わらない気もした。


 剣の使い方をある程度は理解できたのは今までの戦闘経験があったからだ。振り下ろす、薙ぎ払う、突くというのが基本動作であり、迷宮に落とされてからは剣道を習わなかったことに後悔したくらいだ。有段者がゴロゴロいる環境で基本的な扱いを学べるというのは恵まれた環境にあると言えるだろう。


 これからは年収や容姿よりも武術をどれだけ身につけているかが男の価値になるかもしれない。ある程度の山菜の見分けはできる自信があるがキノコには手を出していない。プロでも間違えることがあるのがキノコの怖いところだ。


 サバイバル術の基本として判断がつかない物は口にしないというのがある。時にライターよりもマッチの方が便利なときもあり、あるものの中で上手く使っていかないと遭難した場合、生存率は著しく下がることは身をもって知った。


 何故か適温に保たれている迷宮だが、肌寒さを感じてもおかしくはない季節なのだ。そう、この迷宮に落ちた時はクリスマスだったのだ。無宗教であり彼女もいない樹にとってはただの平日であったが、世間は浮かれていただろう。


 ケーキもチキンも食べるつもりのなかった樹は何時もの日課をこなして帰宅しようとしていただけなのだ。左腕につけていたGショックは画面に罅が入っていたが、針は動いているために辛うじて時計としての機能を有していた。米兵の多くが愛用しているだけのことはある信用と実績だった。


 盾として使うことは出来ないがもし攻撃が掠めた時に橈骨(とうこつ)動脈を守ってくれるともなればこれからも愛用しようと思う。不格好ではあるがアームガードをつけるくらいなら両腕にしても良いかなと思えるくらいには有難かった。


 頸動脈も狙われていたがこちらはもう諦めるしかないと思う。防御した剣が折れ破片が飛んだ時には死んだと思ったものだ。金剛を発動したことで事なきを得たが幸運はそう長くは続かないだろう。


 現状維持が出来るのであれば樹は戦闘を長引かせていただろう。同等もしくは格上との戦闘は熟練度の上昇も著しい。剣術のみならず格闘術も混ぜているが上位スキルと思われる必要消費BPは減少していた。


 攻撃スキルの中でも汎用スキルに分類される剣術でなく短剣術を取得したいと欲が出てくるのだ。剣術は刃渡りに関係なく適用されるが、短剣術の場合は刃渡りが長すぎると適用されない。


 拳専用武技、鉄拳も素手でないと使えないのに対してスラッシュは剣と認識できる武器であれば何でも良いのだ。汎用スキルの上位スキルが特化スキルとなるために剣術を取得せずに短剣術を取得するのは困難らしいのだがBPを消費すればその問題も解決できる。


 スキルにも等級が設定されているらしく初級→中級→上級→王級→帝級→亜神級→神級となっているらしい。上記の中でも発現しやすいものを汎用級スキル、人数が少なくなっていく毎に特化級スキル→固有級スキル→唯一級スキルと分類しているみたいだった。


 今、樹が取得している金剛は固有級スキルに分類されている。種族的に大したことがないとされているホブゴブリンが上位職のなかでも一部しか持ちえない金剛スキル持ちと対抗しているというのは異常事態ということだ。


 相応のレベルを本来なら持っている筈なので樹が金剛のスキルを使いこなせていないというのも理由の一つだが変異ホブゴブリンはやはり異常であった。


 これはBPをスキルでなく、ステータスに割り振る必要が出てくるとも樹は思い始めていた。レベルを上げる手間が省けるのであれば貴重だがどうやらステータスの等級によって要求されるBPが異なるのだ。


 それならばステータス上げはレベリングによって行うべきでスキルを取得したほうが得になると考えていたのだが猶予はなさそうであった。パーカーは切り裂かれ焦げあとすらついている。流石に真冬に長袖のTシャツだけで出歩きたくないし職質の対象になりそうなことは慎むべきである。


 治安維持のために頑張る警察官は尊敬するが中には態度の悪い警察官がいるのも事実なのだ。短剣も持ち帰りたいし、回復薬も劣化するとはいえ安心のために手元に置きたい気持ちがある。


 知り合いとなった警察官でも挙動不審な樹を見逃してくれる訳もなく、目的を達成した後に国家機関に目をつけられたくないというのが本音だった。公営迷宮、日本の国家機関によって安全にレベリングできる迷宮も必要だとは思うが迷宮主が誰になるかにもって利権が生まれ面倒なことになりそうな気がするのだ。


 近況を見る限りでは政治家に期待する方が無理であった。世論は既に政権与党を国民の審判によって引きずり下ろすべきだとしていたし樹も同感であった。


 変異ホブゴブリンの動きを観察し弱点がないかと探ってきたが、力任せに振っているだけだが力が強いというのは脅威だった。お馴染みとなった長剣の投擲も弾かれてしまうし距離が離れれば魔法攻撃を遠慮なしに放ってくる。樹も応戦しようとしているのだが、中距離では為す術がなく近距離戦闘に活路を見出すしかないというのが結論であった。


 一歩を踏み出す毎に傷は増えていく。身に纏うオーラが弱くなっているのは樹も自覚していたことである。そして、変異ホブゴブリンのオーラも削っていた。


「鉄拳」


 声に出さずとも発動できるらしいのだが、発声した方が安定して発動できると言うのが案内人の助言だった。あまりにも簡単に倒せてしまうので素手で戦っていたときに武技を発動させられずに困った時があった。


 オーラが枯渇していたわけでもなく安全のための措置らしい。スキルまたは武技を発動する明確な意志とオーラの必要場所への移動がないと発動しないらしい。寝言で発動するには物騒すぎる力だと制約がなされているらしい。


 手を包んでいたオーラが強くなり身体能力を強化する。全身の強化は金剛の方が上だが部分防御では今のところ鉄拳が勝る。樹の狙いは武器を持つ手だ。瞬間的には身体能力が上回り、拳が変異ホブゴブリンの左手を強打する。


 野生の勘からか防御されてしまったが、狙いは悪くなかったと思う。開いた体は隙が出来ており、ぶっつけ本番で武技【スラッシュ】を使う。薙ぎ払った剣筋は左肩から脇腹を斬り裂いた。致命傷とまではいかないが、有効打であった。


 既に見慣れてしまった緑色の血が一瞬だけ吹き出したが、火傷を覚悟で止血したらしい。人と同じで血液を失えば魔物であっても死ぬ。


 人より強靭な肉体を持っているのは変わらないので気休め程度のダメージしか受けてないだろうが突破口となるのは間違いない。踏み込み過ぎていたのか斬り負けた際に頬に傷を負った。視界を塞ぐほどの出血でないためにまだ負けてはいないが樹は距離をとることを選択する。


 攻めどきと感じた変異ホブゴブリンの執拗な攻撃を何とか捌きつつ打開策を練る。回復薬を飲めばまた戦えるほどに体力とオーラは回復するだろう。ただ、一手どころか三手ぐらい足りていないのは事実であった。ホブゴブリンに対する特攻は既に持っており攻撃力を上げるとしたら他の手段を選ばなくてはならない。


 変異ホブゴブリンの攻撃を受ける度に火傷を樹は負っていた。服が燃えないのは助かるが、疼痛によって集中力も乱されている。変異ホブゴブリンが持つ瘴気は人体には有害であるが、物質に及ぼす効果は限定的であると考えるのが自然だった。


 これまでの経験でゴブリン達の持つ長剣はATKのプラス幅は一~三だった。鋼の短剣は+五であるために短剣で戦った方が攻撃力という点では良いがリーチが短い。そして数が一つしかないために使い捨てに出来ないのが欠点だった。


 この短剣では長剣の様に骨まで断つというのは難しい。指くらいであれば斬り飛ばせるが腕などの太い骨だと耐久値を削ってまで断ち斬る必要性もないというのが現状であった。


 変異ホブゴブリン相手に加減して勝てるなどと樹は助長していないので最悪は折れても良いと思っているが格闘戦をしたいとは思わない。通常種のホブゴブリンの筋力は大人より少し劣るくらいだ。


 投げることもできるし絞め落とすこともできた。人と同じ欠点を持つことは既に実験済みであるが、変異ホブゴブリンの瘴気と武器を何とか出来るのであればその時点で決着しているだろう。両方の損耗を狙った戦い方には限界がきているために樹は方針転換を迫られていた。


 魔石を結果として与えてしまったのは悪手だったかと思わなくもないが斬り合いから不意打ちの暗殺スタイルへと切り替えるきっかけにもなった。迷宮の中で手に入れた毒は植物性自然毒であった。


 扱いが難しいこと鑑定結果で弱毒としか出なかったことで候補からは外れていた戦法である。即効毒と遅効毒があったが混ぜて変化を促してみたがかえって毒性を薄める結果となった物も多かった。


 トリカブトや彼岸花ほどの毒性はない。素人が茎や葉を傷つけて採取した毒で適切な扱いができるとも過信していなかったために寧ろ毒性が強すぎないほうが好都合であるとも言える。瓶に溜めてできた一番強い毒は弱毒+三。


 ゴブリンやホブゴブリンで実験してみたところ動きが鈍ったかな?くらいの変化であり毒殺するためには多量が必要そうであった。武器で斬り殺したほうが早いというのが結論であり、矢毒としてもないよりかはマシだというレベルだ。


 それでもポーションの空き瓶にとっていたのは使い道がありそうなことと調合スキルが取得できないかなと試行錯誤した結果である。薬草に関しても青臭く直に食べるようなものでなく傷口に貼るのが正しい使い方だと理解するまではすり潰しして薬液を水魔法で作った水と混ぜたりしてみたが初級回復薬すら作成できなかった。


 鑑定文から素材を予想して作るにはあまりにも時間がなかった。試行錯誤にはとにかく時間がかかる。薬効を調べるにも専用の道具がなくては話にもならなかった。


 自分と同程度を相手するには心もとないが、金剛は切り札としてとっておきたかったのだ。変異ホブゴブリンとの戦闘後には帰還しなくてはならない。今更、通常のホブゴブリンに遅れをとるとは思えなかったが、消耗次第では万が一があるのだから油断は出来ない。


 今まで生き残れたからと言って必ず次もそうであるという保証はどこにもないのだ。樹はここが正念場であると思いながら矢を手にとった。

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