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冒険者からの成り上がり~迷宮経営も楽じゃない~  作者: 浩志
コンビニ店員、冒険者になる
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三話

 迷宮に可燃性の油があってそれを布に染み込ませて燃やしたと考えても良かったがそれよりも現実的なのは魔法で攻撃されたということだろう。


 火属性の厄介なところは攻撃を受けた場合に火傷として後遺症が残ることまた閉所では窒息の可能性がある事だ。目の前の魔物の名前はゴブリンマジシャン。


 ゴブリンも人と同じで多様性を持っている証左となるが喜ばしいことではない。魔法を使う相手がこの層から出てくるのであれば警戒度を上げなくてはならないからだ。


 遠距離攻撃を持っているゴブリンアーチャーも厄介だが、魔法を使えるというだけで知識層である可能性が高い。そして、支配層でもあるということだ。


 知識の独占で他を従えるのは当たり前だ。魔法という特殊技能はそれだけで畏怖の存在となり得る。純粋に身体能力が高いのも脅威だが、ノーマルゴブリンとほぼ変わらない見た目であり、思考できる知能があれば戦術を用いて冒険者を苦しめるだろう。


 現に樹はゴブリンマジシャンに接近できていない。迂闊(うかつ)に接近するのは悪手であるのも理由の一つだが、錆びた剣を持つゴブリンが護衛として控えているからだ。


 ゴブリンの攻撃を掻い潜りゴブリンマジシャンを仕留めることも不可能ではないだろう。だが、ゴブリンに阻まれているうちに魔法攻撃を受けることは決して低い確率ではないだろう。


 実際に使用してみないと回復薬の効果が分からないのは手痛く回復できる量によっては現状維持が出来ないかもしれないというのは賭けであった。


 ゴブリンの威嚇くらいなら何となく分かるが、それが仲間への指示なのか詠唱なのか判別がつかないというのは思っているよりも心理的負担があるのだ。


 護衛ゴブリンはゴブリンマジシャンから離れる事を選択したらしい。相手側もこちらが魔法を使うことを警戒しなくてはならずまた武器を持っていることでこちらに致命傷を与えることができるとも考えているのだろう。


 ジーンズにパーカー。お洒落に興味もなく金もない樹はファッションには無頓着である。防御力は無きに等しく矢による狙撃を警戒しているのかもしれない。少なくとも武器を持たないゴブリンよりかは警戒しなくてはならない敵であることには間違いはない。


 弓から短剣へと武器を持ち替えて警戒態勢をとる。武器のリーチは向こうの方が長く、倒すには接近しなくてはならない。そして、詠唱が長いほどに放たれる魔法の威力も上がると考えるのが自然で護衛ゴブリンに手間取ることもできないのだ。


 オーラは心なしか攻撃を受けた時よりも濃くなっていたが盾として機能するかは賭けである。それならばなるべく攻撃を受けない様にして魔法攻撃を受けた際の保険にするのが正しい使い方だろう。


 竹刀を持つ警官相手に練習したこともあるが間合いはきちんと見極めるのは難しい。相手の実力を見抜けるほど樹は武道に精通していないからだ。


 だが、目の前の護衛ゴブリンは剣道有段者の実力はないだろう。武器を打ち合わせない為には攻撃を躱すしかない。


 膂力はこちらが上でも錆びているとはいえ長剣が相手だからだ。鉱石の硬さを測る単位としてモース硬度があるが長剣を鑑定する暇はなかった為に鉄であると想定して動いている。


 刀は鍔迫り合いに向かない武器だが刀でも指を切り落とされる可能性が零とは言えないのだ。そして、振り下ろした際にできる隙で懐まで潜りこむのは身体能力が上がった今でもタイミング次第で結果は天国と地獄ほどの差があると言える。


 殺意をもって行われる攻撃に身が竦む思いだが、立ち止まる訳にもいかない。鞄に無造作に突き刺してあったゴブリンの棍棒を護衛ゴブリンに投げつける。


 殴打を目的としているために叩かれればそれなりに痛い。どうせ価値はあまりないのだから壊れても構わない。護衛ゴブリンの肩に当たり一瞬だけ動きを止めることに成功した。


 どの段階でスキルを取得できるのかは不明だが、【投擲】も取得しておきたいスキルの一つだ。強引に剣を振り下ろした護衛ゴブリンは痛みからなのか奇声を発しているが理解できないために威嚇にもなっていない。


 攻撃を加えようと一歩を踏み出そうとした時、いつの間にか詠唱を終えていたゴブリンマジシャンによる魔法攻撃が飛んできた。不意を打たれればそれなりに脅威となるが、タイミングが分かれば避けることは可能だった。


 魔法攻撃はそのまま護衛ゴブリンに当たり肉が焦げる匂いがした。ゴブリンマジシャンの意図は不明だが、確実に敵を仕留められるなら味方ごと焼くのもありだとは思う。


 ゴブリン達の上下関係がどうなっているのは不明だがろくなものではないだろうなと思う。現に火傷で苦しんでいる護衛ゴブリンを見捨ててゴブリンマジシャンは逃げ出しているからだ。


 確実に脅威となりうるゴブリンマジシャンを逃がすつもりはない。確かに護衛ゴブリンはノーマルゴブリンよりは強いだろう。

 もしレベルが上がってなかったらもし称号を得ていなければ地に伏していたのは樹の方だろう。レベルゼロの一般人にはゴブリンでも脅威になることを男子高校生が身をもって教えてくれている。


 だが、レベルが上がり、装備を手にした樹にはレベルアップの為の経験値袋にしか思えなかった。外に出れたらこの考えも矯正しなくてはならないと思う。


 身体能力の向上やスキル効果が迷宮のみ有効ならイキることも無いだろうが、突如として力を手にした者の大半は力をコントロールするのではなく飲み込まれるからだ。


 精神耐性のスキルもあって神経衰弱となっていないだけで死体を見れば動揺くらいは普通の感性をしていればする筈だからだ。


 命のやりとりをした後に日常に戻ってコンビニのアルバイトを続けられるかはまだ未知数であるが、それでも食べるためには働かなくてはならないのには変わりはない。筋肉が付き辛い体質とは言え夜勤の不規則な生活で体重が増えているのは樹も自覚していた。


 とにかくコンビニ弁当はカロリーが高く、休憩時間に食べるために理想と言われている夜の二十時以降の飲食を避けるでは体力が持たないからでもある。


 敵を追うのもそうだが、逃げるのにも瞬発力と持久力が必要になる。ランニングをするのを良いのかもしれないと思った所でゴブリンマジシャンに追いつき頸動脈を短剣で切り裂いた。


 そして、魔石を回収して、護衛ゴブリンの元へと歩き始める。痛みに呻いていたが死んではいない。そして、長剣を回収する必要があった。メインウェポンになることはないだろうが鉄の塊はそれなりに武器になる。


 そして、この迷宮で人と接触する可能性もある。その人が戦えるならまだ良いがレベルが低く武器を持たない可能性も視野に入れての行動だ。樹の最初にいた階層が一階であるのならまだ良いが、落ちた先が下層だったという場合もあるだろう。


 潜在的に敵対するかもしれない人物に武器を渡すのはどうかとも思わなくはないが、もしあの男子高校生が生きていてもし助けられる立場に樹があったとしたら見逃すことはできないだろう。


 それが可愛い女子高校生で庇護すべき存在ともなれば樹のモチベーションも上がる。例えそれがおばちゃんであっても見逃すことはないだろうが一緒には行動しないだろうくらいには俗である。


 護衛ゴブリンはゴブリンソードマンという鑑定結果が出てやはりノーマルゴブリンよりも魔石は大きかった。


 そして、期待したゴブリンマジシャンの魔石は少し赤みがかかっており、これが火魔法を使える魔物の特徴なのかもしれないと樹は思った。属性を持つ魔石の価値がどれほどのものになるかと考えるだけでワクワクする。


 魔石利用には技術革新が必要不可欠だが、困難を可能とする研究者には頭が下がる思いだ。需要と供給のバランスから出遅れるほど利益は少なくなるだろうが、ゴブリンよりも良質な魔石が取れるだろうし、危険に見合った金額になればとも思う。


 下層には誰も辿り着いていなければそれだけ金になるということであり、宝箱が開けられた形跡もなく、戦闘の痕跡もない。やはりこれは絶好の機会(チャンス)だと思うと同時に危険だとも思った。


 二十時になって小部屋を確保して最後の食糧を食べる。これで引き返せなくなったのと同時にタイムリミットが迫っていることを否応なく感じさせた。現在は落ちた部分を一層だと仮定すると六層まで下りて来ている。


 役割を持ったゴブリン達は連携をし始めて樹も何度かひやっとする場面もあった。そして、ゴブリンの上位種であるホブゴブリンが現れたのもこの階からであった。


 身長は百六十くらいで筋肉もゴブリンよりも発達していることが外見からも分かった。ほぼ大人と同等くらいの力はあり、武器も持っているから厄介だった。ジョブ持ちのゴブリンよりかは魔石は大きかったがそれでも誤差と思える範囲であり、手下ゴブリンを捨て駒として使うのもゴブリンマジシャンと同じだった。


 一度、緑の皮膚でなくやけに赤い皮膚を持つホブゴブリンらしき個体に出会ったが直ぐに引き返してしまった為に討伐できていない。レベルも上がっており、ステータスも上がったがどのくらい実力差があるかは実際に戦ってみないと分からないのだ。


 変異ゴブリンと対決するときは苦戦するだろうから雑魚ゴブリンで経験値を稼いでおくのが良いかと思っていたときにまたしても称号を得た。、


 《規定数の小鬼族(ゴブリン)の討伐を確認しました。称号【小鬼族の敵】を獲得しました。BP三を獲得しました》


 効果は憎悪(ヘイト)増小と小鬼族に対する特攻小だった。得られたBPは三で【水魔法適性】を取得した。飲料水を獲得することを諦めたということでもある。


 どこまでも通路で小部屋はあっても水源はなかった。食糧がなくなって喉の渇きが無視できなくなっていたのも影響している。問題なのは適性であって直ぐに魔法が使える訳ではないということだ。


 体内の魔力を何となくだが感知できるようになったのはレベル五あたりでゴブリンマジシャンの攻撃を躱せたのも魔力感知能力が上がっていたことも原因の一つだと思う。瞑想をすると言ってもなるべく無心になろうと努めるくらいの子供騙しであったが、効果はあったらしい。


 臍の中心あたりが一番熱く、心臓を経由して全身に行き渡らせるイメージが樹にはしっくりときていた。心臓は全身に血液を運ぶ役割を持っているし血液に魔力が混じるとイメージすれば全身に行き渡らせるのも不可能ではない。


 だが、放出するイメージは出来ないでいた。流石に下半身から尿でないと理解していても出てきた水を飲みたくはないし口からも同様だ。指先もしくは手のひらから出すのが無難なんだろうがイメージ力が足りていないのか体内魔力を上手く水属性に変換できていないのか定かではないが、成功しない。


 蛇口を捻るイメージもしてみたが錆び付いているのか水は出て来なかった。魔法適性を得て理解したことは属性をもたなければ一定以上の出力が出ないということであった。


 誰しもが微かに適性は持っており、魔力を持っていれば生活魔法が使えるからだ。生活魔法が使えても魔法師とされないのは魔物を撃退するだけの威力が必要であり、他人にもできることは自慢にもならないからだろう。


 案内人(ナビゲーター)と呼んでいる存在はただ一方的に告げるだけである。レベルアップやスキル取得は教えてくれても熟練度アップには無関心であるらしい。鑑定で得られる情報も増えていたが鑑定の回数なのか知識なのか詳しく教えてはくれない。


 小鬼族の敵があるなら上位称号もあるだろうし類似した称号もあると推測できるが推測の域をでないのだ。特攻の効果もレベルが上がったからなのか称号の効果なのか実感は少ない。


 ただ逃げるゴブリンが少なくなったのは確かであり、向かってくる敵を迎撃すれば良いのは気が楽になったとも言える。ゴブリンの長剣も切るというよりは叩くといった感じだが敵を無力化できるのであれば問題はない。


 そして夜行性である可能性が高いゴブリンが彷徨く通路よりも安全を確保した小部屋内で休息をとるというのが樹の判断であった。


 人の目は光がなくては見ることは出来ない。対してゴブリンは微かな光を増幅している目をもつ可能性が高い。相変わらず暗い通路だが、ゴブリンの赤く光る目を見逃さなければ遅れを取ることはないだろう。


 樹の持つ鑑定眼のスキルは目視しなくては効果を発揮することができない。鑑定をしたいと思うだけで発動はするが視線が切れれば効果も無くなるのだ。逆に【鷹の目】や【千里眼】といったスキルがあれば距離を無視することができる。


 実際には低レベルであれば実際に触ってみたり見ることによって得た情報を文章化する能力が、鑑定の本質である。喉の渇きも限界に達し水の事しか考えられなくなり始めた頃に樹はびしょ濡れになっていた。


 あれだけ熱いと感じていた魔力も感じられずに手のひらからには水球が浮かんでいた。それを飲み干した樹は気を失った。魔力の枯渇により意識を保つことが出来なくなっていたのだ。


 本来であれば枯渇する前に魔法自体が発動しない。魔力は魔法を発動するエネルギー源であると同時に身体の活動を維持するために必要なエネルギー源である。地球には魔法という要素がなく、また極微量の魔力しか本来であれば持ちえないために科学文明として発達してきただけであっただけで過去に全く利用されていない訳ではない。


 オーパーツを発掘した遺跡を調査すると通常では有り得ない新発見がされることがあるが大体が魔法関連なのだ。気を失っていた時に夢を見た気もするが、内容は所々しか覚えていない。


 今日中に迷宮を攻略できなくてはまた鬱蒼とした日々が待っているのだ。帰還するだけなら六時間もあれば可能だろう。戦闘を極力避け、ゴブリンだけならば複数を相手に立ち回る事も可能だ。


 宝箱を発見したいところだが、それは運に左右される為に期待し過ぎるのもまた危険であった。有用な装備も手に入れたい欲求はあるが殺し合いに慣れ過ぎるのもどうかと思うのだ。


 今までに殺意を覚えたことはあるが、実行するのと妄想するのでは超えてはいけない一線が確かに引かれている。確かに前職の上司は良い人もいたが上層部は死ねば良いのにと何回、思ったことか。


 能力がなかったといえばそこまでだが、新卒というプラチナカードを糞企業に使ってしまったのは痛恨のミスであった。世間は脱落者に対して酷く冷たいのだと知ったのもこの時だ。


 店舗にいた時も倉庫にいた時もずば抜けた能力があった訳でもないが、自分の仕事はきちんとこなしていた。要領が悪いと言われてしまえばそこまでだが、もし冒険者になれるのであれば完全出来高制となる。弱ければ死ぬリスクがある一方で迷宮は、前人未踏地(フロンティア)だ。


 魔物よりも人間に気を付けなくてはならないだろうが、一人(ソロ)でも生活できるだけの成果があれば問題ない。人の命が軽く扱われると批判する者もいるだろうが恩恵を甘受しておいて負の面だけに文句をつけるのであればそれ以上に滑稽なことはないだろう。


 新時代に適応できないのならその末路は淘汰されるだけだ。迷宮だけでなく、市街地にも魔物が現れないと誰が断言できるのだ。普段から自衛隊は憲法違反の存在だから解散しろと主張する者たちは大災害に見舞われた時に果たして自衛隊の助けなど要らないと主張するだろうか。


 普段の主張を忘れこんな時の為に税金で運営されているのだから自分を優先して助けろと主張するのではないだろうか。力をつけておけば死ななくて良いし大切な人を守れるかもしれないとなればそれだけで迷宮に潜る価値はあると樹は思う。


 数年したら確実に迷宮が発生したという日は人類史に刻まれることとなるだろう。樹は英雄(ヒーロー)になるつもりなどこれっぽっちもない。英雄とは基本的に政府の失策を個人に贖わせる罪深い行いだとすら思っているからだ。


 そして、九層に足を踏み入れたら景色は一変した。そう、目の前に広がっていたのは見慣れてしまった通路ではなく草原だった。視界が広がるのと同時に草の高さによって視界が遮られるこれまでにないパターンであった。


 魔物さえ排除していれば後方の確認はそれほど神経質にならなくても済んだのが、この層からは警戒しなくてはならない存在となる。そして、目を覚ましてから確認したところ【魔力循環】のスキルを得ていた。


 魔石を持つ魔物は多少であるが魔力もしくは瘴気を体内に宿しているために副産物として察知能力が上がっていた。どの個体が魔力が多いかまでは感じることは出来なかったが、それでも警戒すべき箇所が分かるだけでも段違いであった。


 恐らく進行方向に潜んでいる敵は三体。複数と戦闘する経験を積みつつあったが、意識を全体に満遍なく振り分けることは難しいと感じていた。どうしても目の前の敵に集中しがちであり、腕は二本しか無いために一度に防げる攻撃の数も決まっている。


 起床後にも魔法の訓練をしてみたが体内にあるうちは循環させていても殆ど消費しないこと。発現する水球一つで現存の魔力の殆どを持っていかれるために魔力を増やす方法を探さないといけないということだった。


 熱を持った部分が移動するために強化されているんだろうなとは思うが強化率も持続時間も不明。そして、血流に乗せているために強化する位置すらも常に移動するために戦闘にはまだ役に立たないということだ。オーラみたいに体を包んで守ることも将来的には可能だろうが水球が作れるのも利き手である右手だけであった。


 左手で作るのも不可能では無いだろうがまだ訓練が足りていないのもまた事実。まだ取得してから日が浅いために可能性の塊だと評価して良いものかの判断も出来ないのだ。


 魔力がどのようにして作り出されているかの研究も必要になる。消費が命を縮める結果にならないとも限らない。人に元々ある機能であるのならある程度の安全性は確保されているが後付けの様に本来なかった機能がつけられたのであればとごかで歪みの代償を払うことになるだろう。


 ゴブリンの長剣一振で二体のゴブリンの頭を飛ばせたのは僥倖であった。残りの一体は仲間が殺られた隙を見て背を向けて逃げ出した為に放置しておいた。ゴブリンの長剣を手に入れてから棍棒は置いてきてしまったし、剥き身の長剣をしまう鞘がないからである。


 遠距離攻撃を持つゴブリンから積極的に潰して所々に生えている木の実を確認していた。食糧として量は少ないかもしれないが鑑定で毒の有無を確認できればと思ったのだ。微毒であれば解毒薬がある。


 全ての毒に効くとは考えていないが安全地帯で食べてみるのも危険ではあるが必要なことなのだ。毒があれると分かれば次回からは鑑定結果に反映されるだろうという目論見もある。


 そして目立った野草を鑑定しているのも薬草を手に入れるためだ。生憎、樹はトマトやきゅうりくらいしか家庭菜園で育てたことはないがハーブの繁殖力の強さは聞き及んでいた。


 生育環境として魔力が必要になるかもしれないが規制植物にしていされていない限りは所持も販売も育成も罪にはならないのだ。


 水魔法には樹の魔力が多少は含まれているだろうし、水道水を与えるよりかは良いだろうという判断だ。初心者冒険者の収入を得る手段の一つとして薬草の採取が物語などであるが危険を冒さなくても良いのであればそれにこしたことはない。


 迷宮を攻略できなかった際に収入を得る手段になればとも思っていたのだ。魔法薬に利権がある可能か高い以上はその素材に価値が零な訳がない。


 寧ろ熟練度を上げるために【薬師】のジョブ持ち達がこぞって必要とするだろう。職業スキルに必要そうなBPは最低でも五からであり、樹も現時点で【鑑定士】を名乗ることが出来るだろう。


【調合】や【錬金術】といった項目もあり、BPさえあれば誰でもスキルを取得することは可能なのだ。可能性に期待を膨らませながら樹は草原を歩いていた。

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[一言] 続きが読みたいです。これからも楽しみにしてます。
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