二話
衝撃を受けたのは攻撃を喰らったからであった。身体自体には不具合はない。オーラがダメージを肩代わりしてくれたからだ。心なしかオーラの色が薄まっている様な気がしないこともない。
それよりも優先すべきは脅威の排除である。視線を向けると後方のゴブリンが弓を番えておりその攻撃によって樹はダメージを受けたらしい。
木の矢は先端がナイフか何かで削られており先が尖っていた。もし、胸や頭に当たれば混乱しそのまま押し切られていたかも知れない。
矢には返しはついていなかったがそれも運が良かったのだろう。矢を引き抜く際にも傷口を悪化させ縫合しにくくすることで手痛い傷を与えることを目的としていても不思議ではないからだ。
ホローポイント弾は命中した際に破裂することによって人体を破壊する弾で弾の摘出が難しいだけでなく威力も通常弾よりも高いとされている。即死させなくとも継戦能力を奪うだけで戦闘は有利に進めることが出来るのだ。
そして、不思議なのは樹にオーラがあってもゴブリンにはない事である。高位の魔物ほど人類が太刀打ちできないために人類だけにある恩恵という、見方もできるがその恩恵を与えている存在がある筈なのだ。
日本の宗教観で考えればその時の都合によるという実に信仰心もくそもない状況だが事実、樹は特定の宗教に傾倒していない。葬祭の際には仏教を頼り、クリスマスやバレンタインなどキリスト教の行事に抵抗がある訳でもない。
出会いが学生時代から激減したが彼女がいた事もあるしそれなりの経験もある。そして一部のキリスト教みたいに進化論を認めていないという視野狭窄にも陥っていない典型的な宗教に無関心な日本人である。
神は死んだという有名な言葉があるが元々、神がいたのかすら不思議であり聖書にあるような奇跡が本当にあったのかも疑わしいものであった。
アニメの影響もあってロンギヌスの槍は格好良いと思うし北欧神話で神々に翻弄された人間を哀れに思ったりもするが一般論を逸脱したものでないことは確かだろう。
素早く距離を詰めて作業となりつつあるが頸動脈を短剣で切り裂いた。ゴブリンが腰につけていた矢筒も弓も無くならないし装備が迷宮に取り込まれる時間に差異があっても直ぐに消滅するということは無さそうであった。
初めて出会った武器を持つゴブリンは鑑定してみるとゴブリンアーチャーと出た。死体と出るだけの鑑定もいつの間にかゴブリンの死体と表示されるようになり、今回はゴブリンアーチャーの死体と表示されたのだ。
胸を切り裂いて取り出した魔石もゴブリンアーチャーの魔石と表示されるが正直なところ鑑定がなければゴブリンの魔石と見分けはつかないだろう。もし魔法を使うゴブリンがいればゴブリンマジシャンもしくはゴブリンシャーマンだろうか。
含有する魔力量に差異が出て買取価格が上がるかもしれないが、それならばゴブリンよりも強い魔物を倒した方が効率は良いだろう。物語では討伐証明としてゴブリンの耳を集める描写があるが金になるとしても集めたいとは思えない。
魔石の大きさは指の第一関節ほどの大きさであり血や肉を拭えばそれほど邪魔にはならないだろうが、買取価格が低かったら剥ぎ取ることすらしないだろう。
ゴブリンの肉は臭そうであり、異世界で一般的に流通している描写のあるオークであっても普通なら躊躇するはずなのだ。ゴブリンとオークは別物だと考えても鶏肉や豚肉などがあればそちらを食べるという人は多いだろう。
樹としても極限状態にでもならない限りはゴブリンの肉を食べたいと思わないし遥か昔にはトマトですら毒があると誤解されていた時代があるために魔物肉を食べないということは無いだろうがそれは先人に任せて異常が発見されなかった場合に限るだろう。
赤い色を警戒するのも黒板を引っ掻いた音を不快に感じるのも祖先の経験が引き継がれた結果であるとされている。人類と敵対していた生物の鳴き声だったり毒のある食べ物だったり理由は様々だが辛みというのも基本的には毒を警戒して発達した味覚である。
だから迷宮は人類に革新を与える可能性があり、同時に害になる可能性も孕んでいるのだ。オーラがどのくらいの耐久度があってどのくらいで回復するのかは生死に関わるために興味が尽きない樹であったが実験できるのはまだかなり先になるだろうなと感じていた。
わざと攻撃を受け続ける余裕があればそれでも良いが攻撃力と防御力の数値化でダメージを正確に算出できるようにならなくてはならないし、レベルアップでオーラも回復するのかなど試さなくてならないことは沢山ある。
オーラの回復に生命力が使われている可能性もあれば鑑定できない摩訶不思議な力が作用しているのかも知れない。武器持ちが現れたことで休憩をこまめにとることに決めた樹。
オーラがなくなるまでは安全圏であると言えたが回復させる方法は不明。どのくらいのダメージまで受けられるのかも不明となれば過信する方が危険である。まだ攻撃を受けても大丈夫だと思っていた時にオーラを貫通されて負傷したともなれば相当、混乱するだろうしそれで致命傷を受けないとも限らない。
レベルが上がった時に得られたBPは二P。ステータスにはレベル表記はないが謎の声が正確であればレベル五になったときに得られたのだ。
三あれば即決で生活魔法を取得していたが、十レベルの時にも得られるのが二Pならば十五レベルの時に魔法適性を取得するかにかなり迷うだろう。もとから素養のある人間でないと使えない可能性。
知らないだけで魔法使いの家系や日本で言えば陰陽師の家系なら魔法が使える可能性は高い。田上家は一般家庭であるし武家や公家だったという言い伝えもない。
適性がなくともレベルアップにより変質し生活魔法が扱えるようになるのならそれで良いが無いのなら火か水属性を取得して試してみるしか無くなる。飲水を確保できるのは冒険において有利に働くだろうし、火は閉所や可燃物のある場所では取り扱いに注意がいるだろうが有用だ。
謎の声。案内人とでも呼称しようか。詳細を聞こうにも声が一方的に伝えられるだけであり意思疎通は出来ない。今、樹が得たいのは情報である。魔法って浪漫というよりかは魔法が有用なのかが知りたいのだ。
情報を握った者が優位に立てるのは当たり前だし、仮想通貨の当時が世間に浸透した頃に始めた投資家はその殆どが損失を被っただけで終わっただろう。圧倒的な資金力と判断力があればまた違うのかもしれないが多くの人間は自分で掴んだ正しい情報の価値と誰かに知らされた真偽の分からない情報では前者の方が圧倒的に良い。
その情報を正しく使えるかもまた才能の一つだろう。十レベルに上がった時に得られるBPが三よりも上なら樹は魔法適性を取得するだろう。そうすれば何かしらの称号が得られる可能性が高いからだ。
称号の効果にBPは見逃すには惜しすぎる恩恵だ。今、初代討伐者の称号がなければ情報で優位に立つ所かゴブリンに殺されていても不思議ではなかった。ネットゲームでもそうだがスタートダッシュによって大きな差がつくし資金力・情報力によって他者を引き離すことも可能なのだ。
後は政府機関にマークされないように上手く立ち回ることだろうが。二日間は休みなのでまだ時間はある現在の時刻は十七時。照明がつかないことで不審に思われるかも知れないが、田舎の町とは言え隣人との交流は殆ど無いために通報されることはないだろう。
いくら見知った人間であっても面倒事は避けたいはずであり、身内や同僚でない限りは無関心を貫くだろう。そうでなければ単身者の孤独死した者が数ヵ月後に遺体となって発見される事件は起きないだろうし、バイト先の人も不審に思って家を訪ねてくることは無いだろからだ。
ゴブリンアーチャーから弓と矢を回収して試し打ちをしてみる。弓道やアーチェリーの経験がないために命中率はそれほど高くは無いだろうが近接戦闘しか出来ないのと遠距離攻撃が出来るのとでは雲泥の差があるからだ。
弓を引いてみた感想としてはそれほど力は必要ないみたいである。ゴブリンが引けるのだからそうだろうとは思っていたが実証するのが大切であり、レベルアップの恩恵もあるだろう。
慣れる為に単体のゴブリンを攻撃してみて間合いが詰まったら短剣で攻撃するのが良いだろう。カッターでも皮膚が切り裂ける強度しかないために通常個体であれば問題なく矢は刺さるだろう。
木の矢には尾羽もついていたが、何処から調達したのか気になるが気にしても無駄な気もした。矢筒に入っていた矢の本数は十本。再利用できる事を考えれば少なくもないが多くもない量だ。
後、この矢が敵対者(冒険者)を狩るためのものなら良いが食糧を得るためのものだとすれば獲物はどこにいるのだろうか。木の実や植物もないただ無機質な通路だけが続いているのが今いる迷宮の特徴である。
魔力もしくは瘴気などで食事を必要としない体と言うことで納得できなくもないが高校生の身体が喰われていたことからも多少の食事は必要なのかとも思う。
射っている所をみたことはあっても樹、自身は弓の素人である。感触を確かめるために弓を放ってみたが、思うようにいかないのがもどかしかった。身体能力で無理やり飛ばしているだけで勢いはあっても当たらないのであれば意味はないと思う。
恐らくだが、樹が格闘術を取得できたのは逮捕術を習っていたのは無関係ではないと思う。迷宮の中のみでスキルの熟練度が上がるかどうかは重要なことだった。マラソンをしていたら持久力が上がるスキルを手に入れる可能性もあるし、販売職なら交渉や算術といったスキルが習得できるかも知れない。
少なくともレベルを一にする必要があり、レベルとスキルの熟練度が収入に少なくない影響を持つ可能が高くなるのだ。いくら顔が良くともその職業に適したスキルがないと就職できないのであれば異性としての魅力がないということになる。
そして、学力もレベルが上がることによって知能が上がるのであれば勉強しても意味が無くなるし学歴が通用しない世の中へと変化することになるのだ。その変化が緩やかならまだ社会も対応出来るかもしれないが急激すぎれば様々な弊害を生むこととなる。
既存の優れた存在が新時代の優れた存在になれるとは限らない。レベルアップには少なくないリスクが生じるし、ゲームでいう所の寄生プレイヤーが多く現れることになるだろう。
それも優れた護衛が手傷を負わせてそれに止めを刺すだけでレベルアップができるという前提に成り立つものだが。見た目で現状では判断できないというのも怖いだろう。ひょろっとした外見でもレベルが高ければ見た目だけは強そうな人に勝ててしまうのだ。
銃器が有効でもレベルによっては弾頭の銅は柔らかいので無効化してしまう可能性もある。弓術も取得できれば良いとも思うがそれよりも短剣術を取得したい。
リーチが長いということはそれだけ安全圏から攻撃できるということであり、武士の命である刀より実践では槍の方が多くの戦果を挙げてきただろう。それが弓となり銃となりミサイルとなる。
スキルの存在は言わば名も分からない神の公認なのだ。同じレベルでもスキルの熟練度で大きく差が出来ることになるし逆に低レベルでも高熟練度のスキルを有していれば逆転は不可能では無いということだ。
安全レベル帯の狩りをしていた者と常に格上の狩りをしてきた者では雲泥の差が出来るということでもある。樹としては安全マージンを大きく取って狩りをしたいところである。
武器を持ったゴブリンも油断さえしなければ倒すことはできるだろう。だが、突発的な遭遇戦において敵が強いから見逃して下さいとも言えないだろうから適度な緊張感をもって迷宮を踏破したいのだ。
短剣も使えるが弓も使える者と短剣もしくは弓しか使えない者では戦術の幅が変わるのは当然だ。そして、これはテストでもある。迷宮の外から持ち込んだ銃は使えなくとも迷宮産の短剣はスキルがなくてもゴブリンにダメージを与えている。
ゴブリンから奪った弓と矢でも魔物にダメージは与えられるだろう。それならばボウガンはバットや鉄パイプはどうだろうか。恐らくは一定以上の文明の武器が禁止されているのであって有効なのでは無いかと思う。
文房具であるカッターは機能としては物を切ることだが武器としても使う事はできる。接近してライターでゴブリンを炙るのは現実的ではないが火傷させることはできそうだ。
人にできるのだから魔物にもオーラみたいなものがあり、チートは許さないという意思表示であるかのようにも思えるのだ。
ゴブリンが近付いてきたのを視認し、矢を放った。肩へと突き刺さり、ゴブリンは痛みに呻いている。このゴブリンは武器持ちだったらしい。
とは言ってもどこから手に入れたのかも分からない棍棒だったが、ATK+一の効果はあるようだった。樹が望むのは危険はあっても宝箱からアイテムを獲得することだった。
回復薬がどのくらいの効果を持っているか分からないがアイテム一つで生死を分ける可能性は低くはない。持病化してしまった腰痛の痛みを抑えるために鎮痛剤を持っているが、痛みよりも出血の方が怖いのだ。
流石に骨折クラスになると痛みも侮れないが回復薬に価値があることには変わらなかった。短剣を鞘から抜きゴブリンに止めを刺す。
肩に突き刺さった矢は抜く際に折れてしまい使える矢も少なくなっている。膂力が上がっているために試射の時点で通路に当たった矢の先端が折れてしまい使い物にならなくなってしまった物も多い。
ゴブリンの魔石を抜き去った後はそのまま放置した。迷宮が取り込んでいるのか、はたまた他の魔物の餌になっているかは疑問が多い。現時点で言えるのはゴブリンしか現れずどうやって生態系を維持してるのかは謎だということだ。
魔物なら気にしないのかもしれないが人であれば食人は最終手段のはずだ。数が多ければそれだけ異端者が生まれる可能性が高まり好んで同族を食べる個体がいるのかもしれないが、食糧を発見していないし冒険者にとっては厳しい環境となるだろう。
階層が深くなり、一層ごとに広さがある場合は食糧を持参しなくてはならないだろう。食用可の魔物が生息しているかもしれないが、不確定要素を信じて食糧を持ってこないという選択をする冒険者はただの自殺志願者でしかない。
魔物のいる世界の人類が地球人よりも強靭な肉体を持っていても空腹を誤魔化すには限度があるからだ。そして、迷宮は踏破された時点で消滅するのかは不明だが未攻略の場合、先行者は利益を得られる可能性は高くともそれは危険と隣り合わせである。
マッピング技術も必要となりマッピングしても迷宮が変化しない確証がない中で魔物に有利な領域で戦闘を強いられることになる。樹は田舎育ちであるが食べられるキノコに詳しくもないし野草も同様だ。
もし、食糧が手に入る環境にあってもそれに人体に有害な物質が含まれていないかの判断が出来ないために口にするのは本当に飢えてどうしようもなくなった時だけだろう。
鑑定で確認することも視野に入れて獲得してみたが、熟練度が存在しており、恐らくはまだ完全な確証を得ることは出来そうになかったからだ。鑑定も本人の知識を参照している可能性が高い。
地球産であれば殆どの情報はインターネットを経由して得られる為に確度は高くなるだろうが異世界産についてはどこまで信用していいのかは悩みどころだ。経験や知識は馬鹿には出来ない価値のある資産で後世に残すために文字も活躍している。
一から全てを学ぶのには人の命は短すぎるのだ。そして、また小部屋があり、宝箱とともに下りの階段を発見した。一応、鑑定してみたが罠の有無は分からなかった。
【危険察知】や【罠解除】のスキルを持っていればまた違う鑑定結果になったのかもしれないが出来ることから一つずつこなしていくしかないのだ。ゴブリンの棍棒は長さが足らないが横から開けることは出来そうだった。
鑑定をしているのは宝箱に擬態する魔物を警戒してのことだが、擬態能力を鑑定能力でどこまで見破れるのかも現在は試行錯誤中であった。
木の宝箱には鍵がかかっていなかったために現在は開けられているが【解錠】スキルもいずれは必要になるだろうなと考えていた。盗賊系スキルは取得しただけで警察にマークされる可能性もあり、【職】システムが存在しているかも分からない。
ゴブリンに役割という名の職があるために人類にもあるとは思うが前衛・中衛・後衛とバランス良くパーティを組める保証もなければ後衛が近接戦闘が全く出来なくとも良いとはならない筈だ。
転職するのは容易では無いかも知れないしジョブを取得する機会があれば慎重に判断する必要があると樹は感じていた。
Name
初級解毒薬
Rank
普通
Explanation
【微毒】から回復することの出来る薬。毒を解毒することは出来るが身体的な後遺症は治癒できない
この宝箱から得られたのは初級回復薬二本と初級解毒薬一本だった。状態回復薬と簡易鑑定結果が出て歓喜したが、詳細鑑定すると麻痺・石化・暗視・沈黙などの状態異常は回復できないらしい。
称号でも現れたがどこまでが微なのかも気になるところだ。毒にも蛇で言えば出血毒・神経毒・筋肉毒に分類できるらしい。そして、種類によって血清も異なり解毒にはタイムリミットも存在する。
そして、同じ蛇でも地域差があることもあって解毒は難しいのだ。この解毒薬一本で蛇の毒を解決できるようになるのであれぼ製薬会社は欲しがるだろう。
もしウイルスや細菌にも対応できるのであれば複製技術もしくは新薬の開発には利権が生まれる。難病に苦しむ金持ちが大金を叩いてでも買い漁る可能性もあり、また冒険者の地位向上に寄与するかもしれないが薬剤師や医師といった職業が不要になる可能性もあり社会的混乱を抑えるのは困難だと思う。
初級というからには中級があり上級もあるのだろう。そして、鑑定能力を持たないものが詐欺に遭う事件も多発するだろう。実際に起きてみなければ分からないが樹の身内に難病を抱えた人がいれば治療の為に奔走する未来もありえた。
両親は現役だが引退も近く、妹も成人しているためにほぼ心配するのは自分だけで家族もその範囲に含むというのは喜んで良いことなのかは分からなかったが。下層を探索する時間はまだあるが、喉の渇きも気になってきていた。
だが、回復薬を使用するほどではなく、水源が見つかるという微かな希望も捨て難い。希望は毒だ。樹の現状は絶望するほどではないが、希望に縋っていても救われるのは極一部のものだけだ。
迷宮という奇貨を上手く使えるかどうかはその人次第である。生活の向上と安定は樹が望んだものであるが、命を天秤にかけてつり合うものなのか。
樹の年齢は多少の向上はあっても徐々に身体能力が落ちてくる年齢でありプロスポーツ選手でいえば旬な世代だが、技術がない樹には条件がきつすぎるとも言える。
稼げる期間は普通に考えれば一般のサラリーマンよりも短いだろう。破格の報酬を得られる可能性もあるが多くの屍の上に成り立つものだ。
また頭痛が起こるかもしれないと考えながらも鑑定をしながら歩く樹。そして、それは突如として現れた。樹の真横を火の玉が通り過ぎ樹は臨戦態勢をとるのであった。