二十六話
「鑑定」
Name
春日
Job
〈指揮官〉
Status
HP E
MP G
STR E
VIT E
INT F
RES E
DEX F
AGI E
LUK H
BP 七
所持スキル
精神耐性 格闘術 銃術 指揮 剣術 生存術 気配察知
Name
武田
Job
〈兵士〉
Status
HP E
MP H
STR E
VIT E
INT G
RES G
DEX F
AGI E
LUK H
BP 四
精神耐性 格闘術 銃術 生存術 気力操作 気配察知
春日分隊の隊長と副隊長の鑑定をさせて貰ったがステータス的には大きな差はないみたいでレベルとしてもそこまでの差はないということなのだろう。素質という意味では多少の差はあるみたいなのだが鑑定で認識することができないのでまだ習熟度が足りないということなのだろう。
このステータスでオークとやりあっているのだから銃の力は偉大である。本音で言えば銃の使用・所持許可と銃術を獲得するまで練習をしたいところである。だが銃を触ったこともなければ撃ったこともない樹が取得するのには時間がかかることが予測されており、今は時間がないのである。
紙に書き出して渡すがこれだけでも二十分近く時間がかかっている。隊員すべてでなく帯同する予定の人員のみであるがステータスプレートと差異がないかの確認と取得したい希望のスキルがあるのかの聞き取りをしていたら時間がいくらあっても足りないと思う。
魔法系統に耐性がないのは弱点であるが今回は攻略部隊の一人に火魔法師がいるのだ。MPがFであるためにそこまでの威力を持った魔法を放つことはできないが物理攻撃の効きにくい敵が現れた時には役に立ってもらう予定である。
アンデットのような魔物も出現しており、剣撃や銃撃の効果は低く打撃が有効な敵もいる。レイスの様な物理攻撃無効の魔物は確認されていないがこれまで出ていないからこれからも出てこないと考えるのは危険である。
ちなみにスライムが出てくる迷宮も確認されており厄介な魔物として認識されている。剣の威力は減衰し核を壊さない限りは倒すことができない。そして核は魔石であるために壊してしまうと報酬を受け取ることができなくなる冒険者泣かせの魔物である。
そしてスライムを攻撃すると武器が痛むというオマケつきであり、進路を邪魔しているなどの事情がない限りは放置されるのだ。オークを倒すためには銃があれば十分であり、樹のように短剣だけで殺せる冒険者もいる。
そして確認しなくてはならないのは迷宮主が知性のある魔物なのかということだ。レベル的に迷宮主と一騎打ちができるかは微妙であり、迷宮核を支配できるかも不透明だ。隊員たちは雀の涙ほどの危険手当がつくが樹に関してない。
そして、日給とは別に隊員と頭割りの割合で迷宮で取得したアイテムに関しての所有権が発生する契約を結んだのだ。隊員の人には悪いが樹は契約期間の間でできる限り稼いでおこうと考えていた。
週休二日であり、勤務時間も一日につき八時間までの制限をつけてできる限りの優遇を勝ち取っていた。流石に自衛官みたい残業手当もつかなければいつ呼ばれるか分からない状況はお断りしたいのだ。オーラや魔力操作の指導だけでなく鑑定によるスキル指導やジョブ指導もすることになると思えば格安なのではないかと思う。
闇雲になって可能性を潰してしまうのであれば多少の指導料を払ってでも情報を得るべきであり、少しの差が生死に関わるのであれば余計である。育成に金のかかる隊員であれば尚更だ。給与を払った上で訓練しないと使い物にならずまた簡単に失って良い存在ではないのだ。
隊員達は銃を所持しているために誤射されない立ち回りが必要になるが樹に求められるのは戦闘ではないので後方支援要員とともに行動し迷宮核があるとされている山頂を目指す。やはり樹が見ている限りでは春日は戦士系よりも魔法師系の職に就いた方が良いように思えた。
漏れ出す魔力はオーラよりも多く、その場合、ステータスを見ても無意識のうちにBPを割り振ってしまったようには思えない。近接格闘をする可能性がある以上は前衛職である戦士系が優先されるのは理解できる。
それに指揮官が真っ先に倒される訳にはいかないことも。アーチャー系の敵は指揮官をどう見抜いているのかは不明だが、頭から潰してこようとする動きを積極的に行う。目視出来るスピードならまだ良いが銃のように遠距離から一方的に攻撃されてしまうと部隊が全滅する可能性すらあるのだ。
待ち伏せされてしまうと相手の殺傷範囲に知らないうちに入ってしまう可能性が高い。昨日、負傷した自衛官は銃撃されたというのが対策本部の見解であり、警戒しながら探索しなくてはならないために防弾車が用意されたがそれでも不安は残るのだ。
全ての迷宮主が敵対的ではないが樹が侵入すれば問答無用で攻撃してくるだろう。それは樹も同じ為に文句は言えないが迷宮の等級に比べて迷宮主のレベルが著しく低いのは好ましいことではないと考えている。魔物への支配は絶対とは言いきれない。
そうでないと変異種が誕生しないからである。魔物にとって存在進化は生物としての階梯を駆け上がる方法の一つだ。人型でないと人間のジョブのような役割分担は起こらず群れのリーダーと群れの一員に分かれるだけで力が衰えれば簡単に下克上される内憂外患の状態で敵と戦わなくてはならないからだ。魔物が反乱するとは考えにくいが何が起こるか分からないのもまた迷宮である。
反乱を起こすのは迷宮主が魔物の時に限った話かもしれないがリスクを負う訳にはいかない。目に見える値として忠誠度があるのかもしれないが実際に迷宮を構え魔物を召喚したことがないために不透明である。九つの公営迷宮では隊員たちが迷宮主をサポートしているために事前に反乱の芽を摘んでいるとも考えられるのだ。
隊員たちのスピードについていくことは可能だが、どこまで信頼していいのかは不明だ。一般人である樹を見捨てて逃げるとは思わないが、隊員たちが対処ができない魔物が出てこないとも限らない。その時に逃げられるだろうか。
ヘルメットを被り防弾ベストをつけるように指示されたが単発式でも銃は脅威である。それに魔物が偵察を組織だってした事実が気になるのである。少ない経験だが幕山迷宮ならスモールボアを偵察に出せば事足りるように感じる。仮称オークライダーやオークガンナーを出して被害を出してまで強行偵察をする意味があったのかということだ。
知性ある生物が迷宮主であるかどうかによっても迷宮の難易度は左右される。迷宮主が現れていないためにどちらとも言いきれないのが現状である。そして、政府も迷宮を攻略すべきなのかを判断していないことが自衛官たちの行動を縛っている。
安全保障という観点からはからは迷宮は攻略した方が良い。ただ、経済活動としてみれば宝の山を捨てる訳にもいかないのだ。
民間企業が所有していた土地に迷宮ができた場合にそれを攻略して元の企業に所有権を売却する際に攻略が利益供与にあたるかというのも問題だった。
例えば東京駅迷宮をJRに売却する際には攻略にかかった費用を乗せて売却すべきなのかは微妙なところである。国としては企業から法人税という形で回収できるのであれば問題はないと思えるが、国が企業に対して便宜をはかる行為が贈収賄となるかは法の解釈によっても変わるだろう。
輸送を制限されることは経済的なダメージが大きく受け入れられる下地はある。だが、一企業の要請を受けて他の要請を受けないというのも問題になるのだ。そして、攻略を冒険者にさせるのかという問題もある。迷宮核を冒険者に渡す訳にもいかず適正価格を出すのも難しい。
幾らなら受け入れるのだろうか?百万くらいならまだ自分で迷宮を経営した方が金になるだろう。かと言って一千万円は高位の迷宮でも払われない気がする。命の対価として十分な報酬は支払われないだろうし企業に雇われる冒険者は出でこないだろう。
安全に狩りのできる迷宮など公営迷宮以外ではありえないだろうし公営であれば採算度外視の経営を求められる部分もあるだろう。そして覚醒者となってしまえば非覚醒者に戻ることはできないのだ。
樹が危惧しているのは人類の生活圏が狭まることだ。先進国の貧困と発展途上国の貧困では程度はかなり変わってくる。そして世界には綺麗な水もなければ食糧を手に入れらずに生活することを強いられる層がいる。先進国のフードロスを改善するだけで発展途上国での食糧問題の解決に寄与するはずなのに経済活動が優先され手は差し伸べられないのだ。
肉食文化を止めるだけでかなりの穀物が浮くことになるだろう。そして、肉となった動物も命を全うし食されるのであればまだ良いが廃棄される量は多い。動物愛護も経済的な側面を排することはできずペットの遺棄問題は深刻になっているのだ。
魔物になって襲ってくる恐怖を考えれば確かに仕方ない部分はあるだろう。だが、散々に家族だと嘯いていたのに自分たちの都合で振り回されるペット側からみれば憎しみを覚えるのもまた仕方ないことだ。野生化したペットに襲われる事件が起きたのもこの頃だった。
そして車に揺られていたが、無事に幕山迷宮の中腹へと辿り着いた。自身の有用性を証明するために隊員に鑑定をかけつつもスキル取得に関するアドバイスを行う。魔法師の数は少なく魔法の有用性は証明されつつある。持ち運びに厄介な水を荷物にしないだけで疲労は段違いとなるし、土魔法での塹壕も同様だ。
そして、今回は樹の眼が必要なのであって戦闘能力はそこまで期待されていない。護衛対象が魔物を自身で対処できるのは有事には必要かもしれないが銃を持った護衛がいればその必要性は高くはないのだ。
土嚢も身体能力が強化された隊員が積んでいるためにそれほど時間をかけずに用意ができ、樹も知らされていなかったパーティシステムを隊員から教わることになった。
経験値が共有化されるだけでなく、はぐれた際にはいる方向が何となくであるが分かり、ステータスプレートを通じて通信を行うことも可能だ。そして、死亡した際には強制的にパーティから除かれるために生死の確認もできる。
ただ、養殖やパワーレベリングは特警隊では推奨されていない。後方支援要員だとしても戦闘の必要がある場面に陥る可能性があり、単独で対処できない場所にいるのは危険だからであった。
そしてオーラの特性として回復効果を高めるというものがある。オーラの操作に習熟していないとオンかオフしかできないが樹は迷宮の中でオーラによる防護をしないという選択肢もとれる。不意打ちによるダメージを防ぐにはオーラは有用だ。
展開していれば何もしていなくとも消耗するということになる。朝食を済ませスタミナは十分にあるはずだが、行軍を樹のペースに合わせるわけにもいかないために中腹まではトラックで移動するがそれ以降は徒歩になる。
銃撃によるダメージをどこまでオーラが緩和してくれるかということにもなるが金剛でもダメージを受ける可能性は否定できず、奥の手の一つである金剛を隊員たちの前で披露したいとは思っていない。力を示すことは必要になるのかもしれないが不要な警戒をさせることはないと個人的には考えているのだ。
隊員たちが強くなれば国民の安全に繋がるのは理解できるが自衛官でも対応できない魔物が現れるまでは逆効果になる。俺TUEEEEなどやりたい人にやらせておけば良いのだ。ひっそりと冒険者として埋没しつつ迷宮を経営するという目的は果たされないが何でもかんでも頼られるのは健全ではないからだ。
もし最先鋭である特警隊が対処のできない魔物が出たらどうするのだ。ゴブリンやオークがでるのだからドラゴンが現れても不思議ではない。ドラゴンと戦うなど御免であるしそこまでの力があるなどと自惚れてはいない。
薬師などの登場によって薬事法の改正などは利益になるために歓迎するが普通の職業に就いて普通に暮らすのは変質した世界では難しいと考えて行動しているだけなのだ。
医学の発展に寄与するからと人間スキャナーになることは御免であるしただ役割が違うのだと考えているだけなのだ。力を持つことが望ましいが持ち過ぎると要らぬ緊張を生む。バランスが重要なのだ。日本も島国防衛のために護衛艦や戦闘機、迎撃ミサイルを拡充してきた。
戦力として対地装備も充実させるべきだが戦争になりかねないと禁忌扱いをされている。中国は軍拡路線を走り続け尖閣諸島へと進出しようとしている。大陸国家である中国にとって海洋進出は夢であり統一意思のもとで行動している。
それなのに日本は自衛隊駐屯地に熊が侵入しても地元の猟友会に依頼するしかない。ノウハウがないこともそうだが想定されていないのだ。テロ対策として武器の使用は認められていても害獣は想定されていない。
政府認定特別危険獣【特危獣】であれば適宜、武器の使用は認められているが国民としては情けないと思う。父を始めとした自衛官の苦悩は計り知れない。手足を縛られたまま戦っているようなものなのだ。無論、何でもかんでも武力で解決しようとする軍が自国の戦力でいることも嫌だが、政府は本気で対応する気があるのかと疑ってしまう。
特危獣に有効な武器の開発も行われているそうだが、迷宮外ならいざ知れず、迷宮内だと厳しいものがある。特危獣という名称もだが、魔物を害獣と同等の扱いをするという時点でお察しだろう。特危獣が出現した際にも緊急避難の名のもとに冒険者が武器を使用して駆除することを想定していても冒険者には駆除義務がある訳でもない。
それに生命力の強い魔物に対して迷宮外でも拳銃程度では致命傷を与えるのが難しいというのもある。それに警察官の武器使用は著しく制限されており、銃を奪われ国民が殺害される痛ましい事件も起きている。アメリカのように射殺した後に捜査するのも嫌だが、対処しないということに国民の不信感は募るばかりである。
樹は隊の中央に位置しながら山を登る。春日分隊のステータスを見る限りではここ幕山迷宮でも戦えるだけの実力はある。だがそれも銃に依存した攻撃力であり、弾薬が尽きる前に帰還しなくてはこちらがやられることになるだろう。樹が持っているのは飲料と少量の食糧だけだ。武器は携帯しているが自衛以外で使用しないでくれと春日から言い含められていた。
倒した魔物の傾向から難易度を計るのと迷宮主の特定が今回の調査目的だ。恐らくではあるがオークであることはほぼ確定だと思う。生態系の頂点となっている魔物がそのまま迷宮主であることが多いと冒険者講習でも言われていた。
死なないために情報を集めるのが冒険者に最も必要な資質であると自衛隊の教官は言っていた。教官もおそらくではあるが特警隊の後方支援要員であった様に思える。
迷宮に潜ったことのない素人の意見など参考にならないし徒に死体を量産する結果で終わると思うのでそう外れた推測では無いと思う。ただでさえ日本は生産人口を大きく損なっている。経済成長率も先進国で下から数えた方が早く、老人たちは逃げ勝ちを狙っていて若者に未来を示せなくなってから久しい。
樹の親くらいから終身雇用制度は崩壊の兆しをみせており、就職氷河期に生まれたばかりに非正規雇用に甘んじるしかない労働者が増えたのだ。迷宮という奇貨を生かすも殺すも政府次第なのだが希望を持つだけ無駄という雰囲気は良くない傾向である。
現状が政府の限界なのだ。今、大災害が起こったら死傷者を減らすことなどできないし元々、日本は災害の多い国なのに傍観するしかできない政府は無能なのだ。若きリーダーを望む声は多いが利権で雁字搦めになっている政治を変えるのは難しい。
そうであるのなら政府をあてにしないか自分が政治を変えていくしかないのだ。樹は前者だった。少し武術をかじっている程度であっても戦えたのだ。命の危険が高いのであれば危険を冒してでも戦うしかない。高レベルの冒険者の需要が高くなるのが予想されるのもある。
既存の護衛では覚醒者の冒険者に勝てず、魔物に襲われた時に力がなくては蹂躙されるしかない。自衛隊からは鑑定士の育成も頼まれたが正直な話スキルで無理矢理に習得しているのであって技術としての鑑定能力は樹には無いために断わざるおえなかった。
BPを消費する余裕があるのかという問題もあるがアドバンテージを自分から捨てる理由などない。情報の重要性を知っている自衛隊だからこその提案であるらしいが警察でも鑑識に鑑定能力を習得させる動きがあり、時間を拘束されたくないというのが一番の理由だった。
犯罪捜査技術の向上は冤罪の確率を下げたとはいえ冤罪事件がなくなるわけではない。そして、科学技術にも鑑定は適応されるらしいのだ。スキルが与える社会的な地位の向上は馬鹿にはできなくなるだろう。資格に似た程度に収まるのかそれとも資格よりも有用視されるのかは現時点では不明だが少なくとも持っていて損をするスキルは少ないだろう。
犯罪に使用されるスキルの扱いには困ることになるだろうが。斥候に有用となる解錠もしくは罠解除を取得しているからすぐに犯罪者になる訳では無いが、窃盗犯が持っていれば心証はこのうえなく悪いものとなるだろう。
ただ空き巣のスキルが防犯に役立つようにスキルも使いようなのだ。流石に称号に殺人者や同族殺しなど出てしまえば庇う余地は限りなく少なくなるだろうが。樹としては隊員たちの武器を鑑定したいが隙は無さそうだった。
構造を理解したからと言って作成できる訳でもないが銃を一般人に貸与することは難しく、迷宮攻略の生命線となっている武器をそう簡単に見せてくれる訳がない。視線が通れば鑑定はできるが瞳の色で鑑定していることがばれてしまって関係を悪化させる訳にもいかないのだ。
纏部も相当に上達したと思っているがスキル取得には至っていない。時間もかかるし維持することに集中しなくてはならないために実戦では使い物にならないのだ。攻撃役ばかりの部隊編成にも言いたいことはあるが防御役を探すのは難しく樹を除いて全員が強力な遠距離攻撃の手段を持っていることに納得するべきなのだと思う。
一般の冒険者よりも力を持っている樹だが、それでも頭一つ出ているだけで油断すれば簡単に死ぬことになるだろう。体力は有限で集中力もそう長くは続かないものなのだ。ソロというのはそれだけ危険であり、日帰りしているからまだ余裕はあるが迷宮内で一夜を過ごす必要が出た時にその脆弱性は露見するだろう。
休憩中も気が抜けないというのはそれだけ肉体的・心理的な負担となるのだ。しかも迷宮主ともなれば優先的に排除すべき敵となる。樹も簡単に殺される訳には行かず抵抗するだろうがそれでも個人では限界があるのだ。
自身の迷宮の中であれば配下の魔物が盾となるが相手のフィールドではそれは難しい。調教師の存在は少数だが確認されているが認知度は高くはなく、魔物の被害者からしてみれば敵でしかないために有用性はともかく肩身の狭い思いをしているのだ。
ジェラルミンの盾を構えながら移動している。視認性が悪く使い勝手は決して良いとは言えないが、銃撃に対応する手段はそう多くはないのだ。防弾ベストにヘルメットをしているとはいえ防具の隙間を狙われては役には立たない。
普段は隊員たちもなるべく荷を軽くするべく重装備は避けるらしいのだが、今回はフル装備で迷宮攻略をすることになった。現れるオーク達を鎧袖一触で撃ち倒していく。
春日隊以外にも中腹で待機する一般部隊がおり、弾薬もそこに運ばれている。強行偵察として送り込まれた春日分隊は迷宮主の部屋を確認することが今回の目的である。そして、倒した魔物に樹が鑑定をかけながら進んでいく。守護者は他の迷宮でも確認されており、一番に警戒しなくてはならない敵だ。
樹が倒した変異種はそう多くはないが確認されており、変異種の強さは通常種よりも一~二段階ほど強くなるために油断はできない。冒険者協会も冒険者の損耗を抑えるべく情報を伝えているが今の冒険者のレベルでは迷宮主に挑むことは自殺行為にしかならないために深層のデータに報酬を払うことはあっても迷宮核を取得した冒険者に対しては罰則を与えることにしている。
DTuberなる動画投稿者が現れ人気を得ていたが規制も激しいものとなっている。収益化の条件は変わらないが魔物と戦えば返り血を浴びることもあれば怪我をすることもある。戦闘シーンを映すことは原則禁止であり、迷宮内の風景を映しているだけに過ぎないが未知なるものに対する興味は深くチャンネル登録者は激増しているらしい。
自分の弱点になるかもしれない戦闘を映さないというのは賢明だ。敵は魔物だけでなく人も敵になりかねないのが迷宮の怖いところだ。正当防衛であっても証明することは難しい。
自衛隊も攻略風景を録画し分析しているがこれは迷宮攻略による被害者を軽減するために使われるもので軍事機密を多分に含んだものになる。練度を他国に無料公開するなど示威行為でなければする必要もなく要らぬ軍事的緊張を生み出す必要もないからだ。
すんなり行くとは思っていなかったが前方にオーク部隊が現れ樹たちは歩を止めることになった。




